あの人の本棚<第3話>
家族と経営、その真ん中にある本棚。

あの人の本棚

2026.09.20

text by Etsuko Saito

その人を知るには、いくつかの方法がある。 趣味、休日の過ごし方、好きなYouTubeチャンネルを探ってみるとか? でももっとパーソナルなエッセンスが詰まっているのは、あの場所かもしれない。 そんな予感がして、この連載をはじめてみました。 3人目の本棚の主さんは、経営者でありお父さんでもある新潟市「つばさ整骨院」の小高先生。私にとっては、首肩腰を痛めたときにお世話になるだけでなく、プライベートでもつながっている方です。いつも穏やかな小高先生ですが、かつてマネジメントの壁にぶつかったことがあるのだとか。やっぱり本棚には、まだ知らない「あの人」が詰まっているのかも。

Interview

本棚の主

小高 翼

40代、新潟市在住。つばさ整骨院・整体院グループ代表。

みんなの本と
子どもたちが集まる場所。

新潟市で整骨院、整体院を経営する小高先生の本棚には、組織づくりや心理学の本、これまで4人の子どもたちに読んできた絵本、家族それぞれのお気に入りの本や漫画、そして思い出が詰まったアルバムが並んでいる。

 

「それほどたくさん本を読むタイプではないんですが、大きな本棚に憧れがあったので」と、自宅を建てる際に壁一面を本棚にした。広々とした棚には、家族それぞれのエリアがなんとなく決まっている。

 

『キャプテン翼』のコミックスは息子のコレクションだが、その一部には小高先生が少年時代に夢中になって読んだ「当時のキャプ翼」も混ざっている。家族でいちばんの読書家だという中学3年生の長女の本棚には、『少女のための海外の話』(三砂ちづる/著)があった。グローバルに働く女性たちの生き方に触れ、自分の未来を思い描いているのかもしれない。

 

この家には「子どものひとり部屋」は存在しない。その代わり本棚がある共有スペースで、子どもたちが並んで宿題をしたり、本を読んだりできるようになっているという。

 

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「他人は変えられない」が
教えてくれたこと。

家族の本棚の一角には組織作りに関する本やテキストが並び、小高先生の経営者としての一面がうかがえる。組織のトップとして大きな転機となったのは、「選択理論心理学」という考え方だった。「かつては目の前の患者さんの痛みを改善することや妊娠を望む人をサポートすることなど、提供するサービスそのものにしか意識が向いていませんでした」と、以前のことを振り返る小高先生。

 

少年時代はサッカーチームに所属。そしてスポーツトレーナーを目指し、その道で多くの有名スポーツ選手を支えてきた師匠のもとでひたむきに技術を身につけてきた。

 

「ずっと師弟制度のなかで生きてきたので、自分にとってトップダウンは当たり前。『人は指示に従うもの』と疑わず、自社でもそうしていました。自分の思い込みでマネジメントをしていたのだから、誰もついてこなくて当然ですよね」

 

当時は離職率が高く、忘年会のメンバーが翌年には半分近く入れ替わっていることもあったという。そこで2018年から人材育成を学び、「選択理論心理学」と出会い、従業員との関わり方を変えた。面談の機会を増やし、相手の話にじっくりと耳を傾ける。経営者の急な変化に、周りは「妙な魂胆があるのではないか」と訝しんだものの、4年ほど経つと組織は明らかに変わっていたという。従業員の離職が減ったのだ。

 

小高先生はスタッフを信じてどんどん仕事を任せ、学びの機会を提供するようになった。かつては自分が現場に立ち続けなければ会社は成り立たないと思っていたのが嘘のように、今では施術を担当するのは週に1日だけ。組織の未来を考えることに多くの時間を費やしている。

 

「結局、他人は変えられません。自分が変わるしかない」と小高先生は断言した。自身の変化を「OSが入れ替わったと同じ」と表現する。思い通りに人を動かそうとしていた経営者は、自らをアップデートし、人材が育つ組織を作っている。

 

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今も本棚に残る、
原点の一冊。

本棚の中には、ひときわ付き合いの長い一冊がある。20歳頃に弟子入りした恩師・三宅公利先生から贈られたスポーツマッサージに関する本だ。三宅氏はスポーツマッサージの第一人者として活躍し、多くのJリーグクラブに教え子たちを派遣した。小高先生が新潟へやってきたのも、23歳のときにアルビレックス新潟のトレーナーとなったことがきっかけだ。

 

『スポーツマッサージ&テーピング』『プロが教えるスポーツ選手の応急手当』『自分でできるテーピング』いずれも三宅公利/著(日本文芸社)

 

師匠から受け継いだ技術は、今も小高先生の土台になっている。その一方で、近年はホスピタリティや栄養学に関する本も手に取るようになった。かつてスポーツマッサージの技術を追い求めていた小高先生は、現在、栄養学の知識も取り入れながら患者さんをサポートしている。その実践のなかで出会ったおすすめの本が、次の2冊だ。

 

小高先生自身がカウンセラーの資格を持っているオーソモレキュラーの入門書。慢性的な身体の痛みや不眠症の患者さんにおすすめしている。

 

『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門 』溝口徹/著(光文社新書)

 

つばさ整骨院には「妊活はり灸治療院mamari」が併設されており、食事や栄養の観点からも妊娠を望む方をサポートしている。知っておきたい栄養の話を食事と身体の関係からわかりやすく紹介していて、日々の食生活を見直すきっかけをくれる。

 

『卵子の老化に負けない 「妊娠体質」に変わる栄養セラピー』古賀文敏、定真理子/著(青春出版社)

 

<本棚の主さんが登場した記事>

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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