花畑の向こうに、雄大な山々。
阿賀町「芦沢高原ハーバルパーク」

その他

2026.09.11

text by Etsuko Saito

阿賀町の山あいに広がる「芦沢高原ハーバルパーク」。季節ごとにさまざまな花が咲き、お花畑の向こうには雄大な山々が連なります。責任者を務める中村さんが「ハーバルパーク」に関わりはじめた頃、園内はほとんど手が加えられていない状態だったといいます。地元のスタッフさんと一緒に少しずつ育ててきたこの場所について、お話を聞いてきました。

Interview

中村 雅美

Masami Nakamura(芦沢高原ハーバルパーク)

福島県生まれ。父親の転勤に伴い、富山、横浜、川崎、名古屋などで過ごし、高校生の頃に新潟市へ移り住む。大学卒業後は新潟市内の園芸店に勤務。植物の知識や売り場づくり、ガーデニング教室などの経験を積む。結婚・子育てを経て、およそ15年前から阿賀町の「芦沢高原ハーバルパーク」の運営に携わる。

休園中のお花畑を再生。
何もない場所からのスタート。

――中村さんが「芦沢高原ハーバルパーク」の管理を任されるようになった経緯を教えてください。

中村さん:大学を出てから新潟市内の園芸店に勤めていました。その後、出産と育児で仕事からは離れていたんですが、夫の職場関係者から、芦沢高原ハーバルパークに来てみないかと声をかけてもらったんです。その頃ハーバルパークは、運営・管理が難しいというので営業を休止していて。ちょうど管理会社さんが交代するタイミングで、私に声がかかったんです。

 

――それっていつ頃のお話ですか?

中村さん:15年くらい前でした。ここに常勤できるインストラクター的な人を探していたみたいで。ちょうどパート勤務に復帰した頃だったので、「せっかく園芸経験が生かせるのであれば」とハーバルパークに来ることにしたんです。

 

――その頃の芦沢高原ハーバルパークはどんな様子だったんですか?

中村さん:休園中なので仕方ないことなんでしょうけれど、花を咲かせるための準備がされていなくて、何もないような状態でした。ただラベンダーの株などがところどころに生き残っていたので、まずはそれをどうにかしようと手を動かして。園内にどんな資材や設備があるのかを確認しながら、「カフェスペースがあるからジェラート販売ができるかな。そのためには資格を取らなくちゃ」と、管理会社さんとも相談して、この場所で何ができそうかを探っていました。

 

――大変なところへ来ちゃった、と思いませんでした?

中村さん:そうですね(笑)。園芸店にいたとはいえ、鉢植えと大きい畑とでは大違いですから。実際にお庭を作る計画を立てて、植物を植えていく作業は未経験だったので、改めて勉強し直しました。

 

――どれくらいの時間をかけて今の姿になったんですか?

中村さん:カフェスペースを整えて、お客さまに来てもらえるようになったのは、私が関わるようになって3年目か4年目だったと思います。管轄する阿賀町は、地元のスタッフさんと一緒にコツコツとハーバルパークを育てていこう、という方針だったので、時間をかけて少しずつ整えていきました。いちばん最初は、私を含めたスタッフ5名で草刈りに取り掛かって。まだ資格も設備もなかったので、この広い敷地をカマを使って、人力で、ですよ(笑)

 

Advertisement

広大な敷地に約100種類の植物。
入園料無料の森林体験施設。

――そもそも芦沢高原ハーバルパークがどんなところなのか、あらためて教えてください。

中村さん:「自然を楽しむ・親しむ」がテーマの森林体験施設です。1997年にオープンして、当初は入園料をいただいていたようですね(現在は無料)。「大人400円」と書いてある看板が残っていましたから。

 

――けっこう前から営業しているんですね。

中村さん:当時の書類が残っていなくてはっきりしないんですけど、ラベンダーや珍しいハーブ類を植えていたみたいですね。でも降雪量が多い上に、夏は蒸し暑い地域だから、ラベンダーには不向きだったんだと思います。

 

――あれ? でもラベンダー畑がありますよね。

中村さん:ラベンダーはハーバルパークの看板植物です。耐寒性があって育てやすく、香りがはっきりしているグロッソという品種を選んで、いろいろな工夫をして植えています。

 

――何種類くらいの植物が植えられているんですか?

中村さん:一年草、二年草、多年草、宿根草に球根植物、ハーブ類とぜんぶで100種類くらいはあると思いますよ。けっこうこだわって珍しいものも植えているので、季節ごとに楽しんでもらえると思います。

 

――ちなみに9月のシルバーウィークの頃は、どんなお花を見ることができますか?

中村さん:最近一生懸命に手入れをしているダリヤや、小さい丸い花を咲かせるセンニチコウは、シルバーウィークの頃も見応えがあると思います。あとは今後の天候次第でサルビアが間に合うかもしれません。今年はひまわりの見頃が早く終わってしまって。みなさんが楽しみにしてくださる7月、8月にはもうピークを過ぎていたんです。でも、先日新しく種を蒔いたひまわりも育ってきているので、シルバーウィークには間に合わないものの、あと1ヶ月くらいで咲くんじゃないかな、と思っています。暑さが長く続いているので、季節外れのひまわりも楽しんでいただけるように準備しているところです。

 

――やっぱり気候の影響は大きいんでしょうか?

中村さん:ここ数年は春の余韻がほとんど感じられないですよね。いきなり夏がきちゃって。本来であれば春の終わりから梅雨時期に成長する植物がうまく育たないケースが出ています。去年はまとまった雨が降らなかったので、ひまわりが大きくならなくて。それで今年は時期をずらして種を蒔いたら、そのまま順調に成長し、夏には終わってしまっていたという(苦笑)。これまで通りにいかないことが増えました。

 

Advertisement

「こんな場所があったなんて」
驚く景色が阿賀町に。

――せっかくならぜひここを見てほしい、というおすすめはありますか?

中村さん:お花好きの方でなくても、この景色にはきっと驚かれると思います。私は初めてここに連れてこられたとき、まるでヨーロッパのような雄大な景色に「こんな場所があったなんて」と圧倒されました。以前、世界各地の素敵な場所を見てこられた方をお招きしたときも、「ここはいいところだね」と言っていただいたんですよ。その言葉に「やっぱり特別な場所なんだ」と確信を持ったんです。目の前のお花畑の向こうに見える山々はずっと遠くにあるんだけど、すぐ近くにあるようにも感じられて。視界に広がる花畑から山並みまでが、そのままひと続きになっているような不思議な感覚があるんです。

 

――お花が好きな方に向けてはどうでしょう?

中村さん:せっかく阿賀町まで来ていただくのだから、いろいろな植物を楽しんでいただきたいですね。ちょっと珍しい植物も植えていて、園内で採れた植物の種から育てた鉢植えをお安く販売しているんですよ。私のわかる範囲ではありますが、園芸の話も惜しみなくお話ししたいと思っています。

 

――中村さんにとってハーバルパークはどんな場所ですか? 「職場」という感じでもないのかなと思うんですが。

中村さん:始業から終業まで仕事をして終わり、という感覚ではないですね(笑)。私ひとりではなく、みんなで手を動かして少しずつこの場所を育ててきました。今はありがたいことにお客さまが増えて、私が接客に回ることが多くなり、なかなか畑に行けないのがもどかしいです。これだけの敷地でお花を育てているので、やりたいことは山ほどあります。手をかければかけるほど、「あれもしたい、これもしたい」って思うんですよね。

 

芦沢高原ハーバルパーク

東蒲原郡阿賀町津川3915

0254-92-5522

入園料無料

毎週火曜日・第2・第4金曜日定休、冬季休業(12月~4月下旬)

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

Advertisement

関連記事

新しい記事

ランダムピックアップ

新津で60年近く続いてきた老舗「箱岩」の味を守る三代目。

この記事へ

この街の、人、モノ、こと。
ちょっと知って、ちょっと好きになる
新潟のウェブマガジン[ シングス ]。

PR | ベルーナグルメ

「ベルーナグルメ」が届ける、
新潟地酒飲みくらべ。

詳しくはこちら
レコメンド一覧

Advertisement