「生きる」をもっとおもしろく。
人生の総合案内所「飯塚菜央」さん
その他
2026.08.28
今日ご紹介する飯塚菜央さんのお仕事は、起業塾やグループセッション、ワークショップなどの企画・運営。「講師」というのであればわかりやすいのですが、飯塚さん自身が何かを教えるわけではありません。人と人をつなぎ、それぞれの得意なことや「やってみたい」という気持ちを引き出し、新しい動きを生み出していく。そんな飯塚さんの活動をどう表現するのか、ご本人に聞くと「人生をおもしろがったり、楽しんだりする入口」と答えてくれました。
飯塚 菜央
Nao Iizuka
1984年新発田市生まれ。大学卒業後、管理栄養士の資格を生かして横浜の病院や地元企業などに勤務。結婚・出産を機に夫が営む鍼灸院の仕事を手伝い、2020年からは講座やワークショップ、イベントなどの企画・運営を行っている。
誰かの視点で展開が広がる、
起業塾。
――まず最初に、飯塚さんがどんな取り組みをしているのか教えてください。
飯塚さん:主に講師を招いての起業塾や、自分の人生や仕事について他者の視点も加えながら整理する「グループセッション」を企画・運営しています。自分の役割はフリーランスの裏方をサポートすることなのかもしれないな、と最近思っています。専門的な仕事を続けていくには、ひとりでは手が回らない部分が出てくるものなので、そこを私が「外付けの運営部隊」のようにお手伝いしている、という気持ちでいます。
――起業塾やワークショップを行うとなると、講師陣など協力してくれる人が必要になりますよね。
飯塚さん:たとえば、ある人のワークショップを行うとして、そこに来てくださる人も何かをはじめたい人だったり、もうすでに得意分野を持っている人だったりするので、おのずと次の展開が生まれるんです。起業塾はまさにそのパターンで、2021年から現在まで定期的に続いています。
――起業塾では具体的にどんなことを?
飯塚さん:参加者さんには、現状のネックになっていることや不安に感じていることなどを話してもらいます。そこに他の人の視点が加わると、アイデアが生まれたり、方向性が定まったりするんです。知識や技術を講師から学ぶ場とはちょっと違う、みんなで一緒に豊かな対話をする時間を作っています。
――起業を視野に入れている人にとっては、貴重な機会になりそうです。
飯塚さん:私と同じくもう5年以上、「自分のメンテナンス」みたいな感じで起業塾に参加している人もいますよ。ひとりでは答えが出せない悩みや吐き出したいことを言葉にして、次に進むきっかけを見つけてもらっています。

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あの人とあの人をつないだら。
ポケモン集めのようなマッチング。
――飯塚さんが現在の取り組みをはじめるようになったのは?
飯塚さん:夫が営む鍼灸院で一緒に働くようになったことです。そこにはおもしろいお客さんがたくさん来てくれていたんですね。みなさん、施術中には夫と、受付では私と、最近の仕事や趣味の話題などいろんな話をしてくれるんです。でもせっかくの話題が「夫とその人」「私とその人」という一対一の関係のだけで終わってしまっている……、「これって、とてももったいないぞ」と思ったんですよ。それで、お客さま同士が出会える場を作ってみたんです。みなさんがつながると、何かワクワクすることが起きるかもしれない、という予感がしたんですね。
――それで反響はどうでしたか?
飯塚さん:占いでパーソナリティーを知る会、スパイスの調合の仕方を学ぶ会、パーソナルカラー診断を実施する会とさまざまな企画を開催して、おかげさまでとても好評でした。数十人の集まりを繰り返すうちに起業塾が立ち上がり、さらにその後にお互いの悩みを話し合うグループセッションにつながっていったんです。
――よい関係性のコミュニティが生まれたんですね。
飯塚さん:特に「フリーランスという働き方に興味はあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない」という方にはぴったりだったようですね。得意分野がない人なんていないから、毎月会って話を整理していくと、「実はやりたいことがあって……」と、本人が薄々感じていたことを言葉にできるようになって。そこから「じゃあ、できることをかたちにしていきましょう」と、一緒に企画を立てるお手伝いをするようになりました。
――そのご経験が今の飯塚さんの軸になっているんですね。
飯塚さん:鍼灸院のお客さまから生まれたコミュニティがどんどん大きくなっていったので、そこで培ってきたことを私の仕事として独立させました。でも当初は「独立したい」とも、「これが仕事になる」とも思っていなくて。人から言われてハッとしたんですが、私の場合はそもそも「コミュニティを作りたい」「人と人をつなげたい」と思っていたわけではないんですよね。アロマやファッション、占いといったテーマに合わせて、都度、人を集めるスタイルです。参加したい場合はぜひ、でも気が乗らないようなら休んで大丈夫、というスタンスがよいのかもしれません。
――各自の得意分野を知れば知るほど、イベントやワークショップのジャンルが広がりそうです。
飯塚さん:自分にできることがはっきりしてきて、さらに「この人にはこれがお願いできそうだ」というフラグが立つとどんどん楽しくなっていくんですよ(笑)。私、ゲームが好きなんですけど、この感覚ってポケモンを集める興奮に近くって。近くにいる人を知れば知るほど、「あの人とあの人に声をかけたら、きっとこんな雰囲気のイベントになりそうだな」って丁寧なマッチングができるんです。

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人生をおもしろがる人が起こす、
化学反応。
――こういった活動を続けられる、飯塚さんのパワーの源を知りたくなりました。
飯塚さん:あまりパワーを使っている自覚はないです(笑)。私ひとりで取り組んでいるようで、そうではないからなのかも。そもそも「やらなければ」とは思っていないんですよ。先月開催した「おとなとこどもの しごと市」も知人であるお寺の住職さんから、「空いているスペースで何かしたいんだけど」とご相談いただき、私の周りにいるイベント出店をされている仲間たちに声をかけてお祭り感覚で開催しました。 ちなみにそのときは、子どもたちにも自分たちのお店を出してもらったんですよ。
――子どもが来場ではなく、出店ですか?!
飯塚さん:日頃から両親がイベントに出店するとき、そのご家庭のお子さんはご実家や学童に預けられているんだろうな、と気になっていて。それであれば子どもも働く体験をしてみたらいいじゃない、と思ったんです(笑)。普段なかなか見ることができない、親のかっこいい仕事っぷりも見られますからね。
――ところで、飯塚さんが活動をはじめてから、特に印象に残っていることって?
飯塚さん:最初は「何も持っていない」「得意なことがない」と思い込んでいた人が、眠っていた本心に気づいて行動をはじめたところから、だんだんと「その分野の人」として認知されていく過程を近くで見ると、とてもワクワクします。私の役割は、「人生をおもしろがろうとしている人たちの集まりを作ること」だと思っています。それができれば目的の90%を達成したのも同然です。「人生をおもしろがろうとしている人たち」が集まると、勝手に化学反応が起こるんですよ。
――最後に質問なんですが、飯塚さんはご自身の職業をどう表現していますか?
飯塚さん:それがけっこう難しくって……。でも「人生をおもしろがったり、楽しんだりする入口」みたいな仕事だと思っています。ここへ入ってきてくれさえすれば、私だけじゃなく、私の周りにいる人との関わりが生まれます。そこからまた新しい展開が次々に生まれていくので、私は「総合案内所みたいな存在」でしょうか(笑)
――よい言葉が聞けました(笑)
飯塚さん:あと裏のテーマとしては、アイドルの運営をしているみたいな気持ちでもあるんですよ。いろんなアイドルがいる中で、この子はこういうコンセプト、あの子はまた別の路線で、というふうに「アイドルたちがどうしたら羽ばたいていくか」と頭を悩ましつつ、最前列でオタ芸しているんです(笑)

飯塚菜央
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