パンづくりが好きだから続けられた。
長岡「moko bread」の桑原さん。

食べる

2026.06.10

text by Ayaka Honma

長岡市の住宅街の一角にある「moko bread」の営業日は、月に数回だけ。それでも販売日になると、パンを求めて多くのお客さんが訪れます。パンを作っている桑原さんは小さい頃からお菓子づくりが好きで、パティシエとして働いた後、パン作りの楽しさに気づき、2020年にこのお店をはじめました。取材したこの日は、月に1度の「パンセット」が販売される日。開店前のお店にお邪魔して、桑原さんのお話を聞いてきました。

Interview

桑原 麻衣子

Maiko Kuwabara(moko bread)

長岡市出身。専門学校で製菓を学んだのち、新潟市内のケーキ屋さんで働く。その後長岡に戻り、パン屋さんで働くかたわら、自身でも自家製酵母を使ったパンを作りはじめる。イベント出店をきっかけに「moko 休日のパン屋さん」として活動をはじめ、2020年に「moko bread」をオープン。最近のマイブーム「台湾」で、近々旅行に行く予定もあるのだとか。

お菓子づくりが好きな桑原さんが、
パンを作って、お店をはじめるまで。

――早速ですが、桑原さんのこれまでのことを教えてください。

桑原さん:小さい頃からお菓子を作るのが好きで、小学生の頃は児童書の『わかったさん』シリーズをよく読んでいました。本の最後のページには、お菓子のレシピが書かれていたので、それを自分のノートに写して、家でお菓子を作っていたくらいでした。

 

――すごい熱量だったんですね。

桑原さん:当時はコピーできる環境が家になかったので、ひたすら書き写していたんです。中学生、高校生になってもお菓子作りが好きで、卒業後はパティシエになりたくて製菓の専門学校に入りました。

 

――その後、パティシエとしてケーキ屋さんで働かれたそうですね。働いてみて、どうでしたか?

桑原さん:それが、理想と現実のギャップに押しつぶされてしまって……。「これからどうしよう」って一度これからのことを考え直したんです。作ることは好きだったので、何か作るものを変えてみようと思って。そのときに専門学校でケーキと一緒にパンも習ったな、と思い出したんです。それで、長岡のパン屋さんで働くことにしました。

 

――作るものをケーキからパンに。

桑原さん:パン作りもすごく楽しくて。パン屋さんで働くようになってから、自家製の酵母を作りはじめるようになりました。実は自家製の酵母って、ほっとけばできるので、意外と手軽なんですよ。ハーブとか果物の皮とか、いろんな素材で酵母を作っていましたね。

 

――身近な素材からも作れるんですね、意外でした。

桑原さん:そうなんですよ。自分で起こした酵母を使ったパン作りが本当に楽しくて。毎日、働いた後も家でパンを焼いていたほどです。その中で、失敗ももちろんありましたけど、それもすごく楽しめましたね。

 

――そんな桑原さんが自分のお店を開くことになったきっかけは?

桑原さん:専門学校の先輩から、「イベントでパンを売ってみない?」ってお誘いがあって、そこで自分のパンを売りはじめたのがきっかけですね。イベントに向けてパンを作るのも、実際にお客さまに販売するのもすごく楽しくて。それから4年くらいイベントでパンを売っていたんです。

 

――そこで、手応えを感じてお店を?

桑原さん:そうですね、ぼんやりとですが「自分でもお店ができそうだ」って感じていました。そんなときに、今までパンを作るために借りていたシェアキッチンが借りられなくなってしまったんです。そしたらちょうど、家を改造して自分のお店を作った人の投稿をInstagramで見かけて。自分でもやってみようと、自宅にお店を作ることを決めました。

 

パイナップルケーキ。桑原さんが台湾で食べて感動して、お店でも作ったのだとか。

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甘酒と塩麹から生まれる、
「moko bread」のパン。

――「moko bread」は2020年にオープンしました。

桑原さん:今年の4月で6周年を迎えました。 パンを買ってくださるみなさんのおかげで、楽しくパンづくりをさせてもらっています。あっという間の6年でしたね。

 

――桑原さんの作るパンは「幻のパン」と呼ばれているそうですね。

桑原さん:営業日が少ないから、そう呼んでくださったんだと思います(笑)。今は家庭とのバランスをとりながら、工房販売を月に2、3回と、月に1回「パンセット」の販売をしています。あと、ケーキを作るのもやっぱり好きなので、月に一度オーダーケーキを作ってお渡しする日を設けています。

 

――「moko bread」のパンのことを詳しく教えてください。桑原さんが作るパンには、どんなこだわりがあるのでしょう。

桑原さん:他のパン屋さんとちょっと違うのは、甘酒と塩麹を使っていることですかね。甘酒が好きで、自分で米麹から甘酒を作っているんです。全部のパンに使っているわけではないんですが、甘酒を使ったパンはうちならではかな、と思っています。

 

――甘酒を使ったパンって、食べたことがないです。どんな違いがあるのでしょう。

桑原さん:仕込み水に甘酒を使った「甘酒ミニブール」は、米麹のふんわりとした香りを楽しんでもらえると思います。パンにして焼くことで、おせんべいみたいな、ちょっと香ばしい香りがするんですよ。よかったら、パンの香りをかいでみてください。

 

――確かに、普段パンでは感じない香ばしさがありますね。ちなみに、塩麹はどんなふうに使っているのでしょう。

桑原さん:塩の代わりとして、ベーグルやパンに塩麹を使っているんです。塩麹を使ったパンはふんわりするんですよ。今日の「パンセット」には用意していないんですけど、「塩バターパン」はぜひ食べていただきたいですね。

 

――今日は「パンセット」を販売する日です。どうしてこのセットを販売することにしたのでしょう。

桑原さん:工房販売のとき、パンが買えなかった方に向けてはじめたものなんです。いつも11時半くらいにお店を開けるんですけど、13時くらいにだいたいパンが売れてしまって、欲しいものが買えなかったっていうお客様がいらっしゃったんです。予約制の「パンセット」をつくれば、普段なかなか買えない方にも、パンを楽しんでもらえるかなって。オンラインでも販売しているので、長岡から遠いエリアの方にもお届けしています。

 

――「パンセット」はセットの内容が毎回変わると聞きました。

桑原さん:選んでいる基準としては、定番のパンと旬の食材を使っているパン、それと私がそのとき食べたいパンを選んでいます(笑)。季節の食材を使ったパンを考えるときも、その食材を使って、私が食べたいものからメニューを考えることが多いです。だから、新しいパンを考えているときって、すごく楽しいんですよ。

 

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無理をせず、楽しみながら、
パン作りを続けていきたい。

――普段、桑原さんが大切にしていることって、どんなことなんでしょう。

桑原さん:パン作りでいえば、いろいろあるんですけど、見た目をきれいに作ることですね。見た目からもお客様に楽しんでもらえたらって思っているので。あとは、楽しんでパンがつくれるように、無理はしないことですね。自宅にお店を作ったのも、無理をしないで仕事を生活の中に組み込めるようにしたかったんです。

 

――それが、6年間お店が続いている秘訣なのかもしれないですね。

桑原さん:本当は、土日も工房で販売できたらって思うんですけど、子どももいるので、今はまだ無理をしないかたちで続けられたらって思っています。それを受け入れて、パンを買いに来てくれるお客さまには本当に感謝しかないですね。以前、「パン屋になりたい」って言っていた女の子がファンレターをくれたこともありました。いいお客さまに恵まれたなって思っています。

 

――最後に、桑原さんのこれからの目標を教えてください。

桑原さん:お客さまがいる限り、自分の体力が続く限り、お店をやっていくことですね。パン作りを楽しみながら、お客さまにパンを届けていけたらいいなと思っています。

 

「moko bread」の「moko」は、パンの発酵みたいに夢がもこもこ膨らむように、との思いが込められているそう。

moko bread

長岡市猫興野95−12

営業日はInstagramをご確認ください。

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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