「血の通った」雑貨に出会える、
和合町の雑貨屋さん「Songs」
カルチャー
2026.09.26
今年1月、桜木ICを下りてすぐのところに「Songs」という雑貨屋さんができました。店内に並ぶのは、陶器や本、ZINE、お香など、ジャンルも国もさまざまなもの。一見するとバラバラですが、ひとつずつ背景を辿っていくと、作った人の顔や音楽、カルチャーが見えてきます。今回は店主の稲吉さんに「Songs」をはじめるまでのことや、雑貨を選ぶときに大切にしていることなど、いろいろお話を聞いてきました。
稲吉 匡人
Masato Inayoshi(Songs)
1984年新潟県出身。ファッション系の専門学校を卒業後、Tシャツなどを印刷する会社で働く。その中でデザインの仕事にも携わるようになり、昨年から個人で活動もはじめる。2026年に、自身で集めた雑貨やZINEを販売する「Songs」をオープン。
かっこいい先輩の背中を追いかけて。
自分の選んだ雑貨を、届けるお店に。
――今日はよろしくお願いします。稲吉さんは、デザイナーさんとしてもお仕事をされているんですよね。
稲吉さん:ファッション系の専門学校を卒業してから、Tシャツの印刷をする会社でデザインの仕事をしていました。はじめた頃はデザインの知識もほとんどなくて、仕事をしながら徐々に身につけていった感じですね。昨年、ひとりのデザイナーとして仕事の幅を広げたくて、個人でデザインの仕事をはじめたんです。
――そもそも、どうしてTシャツを印刷する会社に?
稲吉さん:働いていた人が入院することになって、「1ヶ月だけ手伝ってくれないか」って声をかけられたことがきっかけですね。僕も最初1ヶ月限定のつもりで働きはじめたんですけど、なんだかんだ、そこから1回もやめずに働いていましたね。きっと20年近くは経っていると思います(笑)
――そんなことあるんですね(笑)。「Songs」をはじめようと思った経緯も教えてください。
稲吉さん:前から「お店をやってみたいな」という気持ちはあったんです。僕が選んだものを、誰かが買って喜んでくれるって、めちゃくちゃいいじゃないですか。でも、お店をやるにしても何を売るかが決まらなくて。ファッションは好きだったけど、僕がアパレルのお店をするのも「なんか違うな」って思っていたし、音楽も好きだから、レコードを売るお店もいいなと思ったけど、新潟にはいいレコード屋さんがたくさんあるから、それも違うかと。
――悩んだ末、雑貨を売ることに決めたんですね。
稲吉さん:ここで置いているような雑貨をまとめて扱っているお店は、新潟にはあんまりないんじゃないかなと思ったんです。それだったら面白いかなと思って。僕は花瓶とかZINEとか集めるのが好きだったんです。今まで集めたり、面白いと思ったりしたものを並べて、「Songs」というお店を作りました。
――稲吉さんが今「Songs」に置いているような、いろんなカルチャーにどうやって出会っていたのかも気になります。
稲吉さん:昔、遊びに行っていたお店やイベントで出会った、かっこいい先輩たちの影響が大きいですね。先輩たちを見て、漠然と「あんなふうになりたい」と思って。そうなると、先輩が着ている服とか、そこで流れている音楽がどんなものなのか、自然と気になってくるんですよ。そこから服や音楽だけじゃなくて、映像や本など、いろんなものに興味を持つようになっていきました。


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作った人の思いが伝わるものを、
ジャンルにとらわれず、出会えるお店。
――「Songs」という店名は、どんなふうにつけたのでしょう。
稲吉さん:ものすごく深い意味があるわけではないんですけど(笑)、口にしやすくて、覚えやすくて、読みやすい言葉だったから、「Songs」にしました。音楽が好きだから、最初は曲名をつけようとしていたんです。でも格好つけすぎかなって(笑)。それで、いろんなものをひっくるめて「歌」でいいかなと思ったんです。歌って、きれいなものもあれば、結構くせの強いものもあるじゃないですか。このお店も歌みたいに、ジャンルもタイプも、ルーツもいろんなものを集めたお店にしようと思ったんです。
――ここに置いてある雑貨たちを選ぶとき、稲吉さんには何か基準があるのでしょうか。
稲吉さん:なるべく作った本人から買えるものを選んでいます。ある程度ネームバリューがあって、別の人を経由して買うようなものよりは、作った本人の思いやコンセプトを知ってから、直接買いたいと思うんです。そのほうが、つくり手にもダイレクトに還元しますから。それと「血の通ったもの」を置きたいとも思っています。
――それはいったい、どんなものなのでしょう。
稲吉さん:説明が難しいんですけど、作った人の気配や、本気で作っていることが感じられるものなのかな、と思っています。どんな人が、どんな思いで作っているのかが、お客さんにも伝わるようなものを集めています。「これは売れるかどうか」で選んでいないことは確かですね。
――その思いは、Instagramのキャプションや雑貨に書かれている説明文からも、分かる気がします。
稲吉さん:このお店にあるものって、そもそもどんなものか、分からない人のほうが多いと思うんです。僕がこれをどうして選んだのかを、ものの背景も含めて知ってもらえたら嬉しいですね。本当は、「NEW ARRIVAL」みたいに、1行でまとめたい気持ちもあるんですが(笑)。僕の性格上、説明せずにはいられないんです。
――でも、そのおかげで、今まで知らなかった雑貨を知れるきっかけにもなりますよね。
稲吉さん:ここに置いてあるものって、一見バラバラなんですけど、背景を辿っていくと意外と音楽につながっているものが多いんですよ。音楽に合わせて香りをつくっているお香があったり、オーストラリアの音楽レーベルがつくっているバッグがあったり。お店のTシャツをデザインしてくれたアルゼンチンのアーティストも、音楽のミックスを公開するサイトをやっているんです。そこから知らないカルチャーにふれてもらうのも、面白いと思っています。



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偶然の出会いを楽しんで。
カルチャーにふれる、入り口になる。
――お店をはじめてみて、稲吉さん自身はいかがですか?
稲吉さん:お店をやってみて、新潟でやっていることに意味があるなと実感しています。若い子たちにもお店に来てもらえることが多くて。新潟にもこういうお店を探していた人が少なからずいたんだなと。僕が言うのもおこがましいですけど、そんな人たちに、僕が選んだものやその背景にあるカルチャーを知ってもらえたら嬉しいですね。
――私もここでいろいろ手に取ってみて、新しいカルチャーにふれてみたいと思いました。
稲吉さん:ぜひ。来てくれる皆さんにとって、新しいものに出会える場になっていけたらいいなと思っています。「こんなものがあるんだ」とか「自分はこんなものにも興味があるんだ」みたいな発見をしてもらうのが、僕にとってはいちばん快感なんです(笑)。オンラインでの買い物ではできない、偶然の出会いも楽しんでほしいですね。
――これから、このお店でやってみたいことを教えてください。
稲吉さん:オリジナルのプロダクトをもっと作ってみたいなと思っています。カセットテープみたいな、音楽に関わるちょっとひねくれたものがいいですね。あとは、新潟の人が作ったものも、お店に置きたいと思っていて。ローカルなアーティストさんが作ったものやうちのオリジナルの商品をめがけて、県外からもお客さんが来てくれるのが、今の理想ですね。


Songs
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