編み物は、一生の友。
「yukotto」さんのものづくり。

ものづくり

2026.10.02

text by Etsuko Saito

編み物作家であり、2年前から編み物教室も運営している「yukotto(ゆこっと)」さん。子育て期間中にはじめた作品販売は評判を呼び、現在ではSNSでも多くのファンに支持されています。家族との暮らしの中で生まれた「ベビーヘアゴム」のエピソードや教室を通して伝えたい思いなど、いろいろとお話を聞きました。

Interview

ゆこっと

yukotto

1985年新潟市生まれ。短大卒業後に一般企業へ就職。結婚を機に退職した後、約10年前からハンドメイド作家として活動をスタート。赤ちゃん向けのヘアゴムなどを中心に作品を制作・販売するほか、2024年から編み物教室を開催。中1、小5、小3三姉妹のお母さん。テニスに夢中で、週末は家族そろって練習に励んでいる。

子育てに奮闘中、
久しぶりの編み物で気持ちに変化が。

――yukottoさんは、小さい頃から編み物が大好きだったそうですね。

yukottoさん:小学校4年生のときに手芸クラブに入ってから、ずっと編み物を続けています。編み物が得意だった母に教わって、最初は棒針で。6年生になってようやくかぎ針で編めるようになって、本を買ったり、近所の手芸店に自転車で糸を買いに行ったり、どんどん夢中になっていきました。高校生の頃に自作のマフラーを巻いて学校へ行き、友達から「いいなぁ」と言われて、同じものを5本作ったのはよい思い出です(笑)

 

――ハンドメイド作家さんとして活動をはじめたきっかけはなんでしょう?

yukottoさん:姉から「以前、娘に編んでくれたベストをまた作ってほしい」と頼まれたことがあったんです。そのベストは、姪が赤ちゃんのときにプレゼントしたものなんですが、とても気に入ってくれて5歳を過ぎるまでずっと大切に着てくれていました。でもその頃の私は、子育てに追われて、しばらく編み物から遠ざかっていて。「とてもじゃないけど、余裕なんてない」と思っていたんですが、いざ手を動かしはじめると、どんどん気分が軽くなっていったんですよ。

 

――それで再び編み物を。

yukottoさん:やっぱり好きなことをするっていいな、とつくづく感じました。嫌なことを忘れて、没頭できて。ただ現実問題、編み物には案外コストがかかります。「せめて毛糸代だけでも自分で稼ごう」とハンドメイド作品のネット販売をはじめることにしたんです。

 

――まだお子さんが小さくて手のかかる時期だったと思います。迷いはありませんでした?

yukottoさん:最初は家族にも秘密で、「予算2万円」と決めてスタートしたんです(笑)。毛糸代だけが欲しかったので、お花モチーフのガーランドをワンコインで買えるようにして。ありがたいことに販売は順調で、少しずつ軌道に乗っていきました。

 

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パパと娘の大騒ぎから生まれた、
優しく使えるヘアゴム。

――いくつもある作品の中で、「ベビーヘアゴム」が代表作だそうですね。

yukottoさん:これを作るきっかけになった、夫と長女のエピソードがあるんです。長女が小さかった頃、よくあるシリコン製のヘアゴムで髪を結っていたんですが、夫が娘をお風呂に入れるとき、そのまま引っ張って外そうとしてしまって。髪が絡まり娘は泣き出し、それに驚いた夫も悲鳴をあげる大騒ぎになりました。それで「外すときに痛くなく、結んでいても違和感がない、優しいヘアゴムを作ろう」と思い立ったんです。

 

――そのヘアゴムには、どんな反響が寄せられましたか?

yukottoさん:「髪を結ぶのを嫌がる繊細なお子さんでも、気にせず使える」というレビューをよくいただきます。ハンドメイドの世界ではかわいらしさを重視したアイテムが人気ですが、私は何より「安全、安心で、使いやすいものを」と考えています。3人の娘を育てる中で感じたことをかたちにした、思い入れのあるものです。誰にも真似できない作品を生み出せたんじゃないかな、と思っています。

 

――Instagramのフォロワーがとても多いですが、どんな工夫をされたんでしょう?

yukottoさん:1年ごとに目標を立てて発信を続けて、特にフォロワーさんが増えたのは、編み物教室をはじめてからのこの2年です。生徒さんからの「自宅で続きをしたい」「復習したい」という声に応えるためにも、以前はあまり載せていなかった詳しい編み方を紹介するようにしました。

 

――教室をはじめたのは、子育てが少し落ち着いたからですか?

yukottoさん:理由のひとつはそうですね。あとは、以前から「編み物を教えてほしい」と何人かに頼まれていたので。それからいちばん大きな理由は2年前に母を亡くして、自宅でひたすら作業を続けるだけではどんどん落ち込んでしまう、と思ったからです。外に出て、忙しくしている方がよいような気がして。教室では、とにかく楽しい時間を過ごしています(笑)。自分と同じ趣味の皆さんとワイワイできるなんて、最高です。

 

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編み物教室は、
自分だけの時間を楽しむ場所。

――作品づくりと編み物教室、どんなふうに両立しているんでしょう?

yukottoさん:今は編み物教室に多くの時間を使っています。初心者さんが通える教室があまりないようで、思っていた以上に需要があると感じています。平日はお仕事をされている方が多いので、火曜日のレッスンに加えて土曜日も開催するようにしました。編み物ブームが落ち着いて、教室のほうに余裕が出てきたら、その分販売を増やしていこうと思っています。

 

――大好きなことをお仕事にできているって、いいですね。

yukottoさん:とても幸せです。「パートに行った方が効率的じゃない」と言うことなく、好きなことをさせてくれている夫に感謝ですね。作品が売れたら一緒に喜んでくれて、教室が好評だと「よかったね」と言ってくれます。

 

――今後はどう活動していきたいと思っていますか?

yukottoさん:編み物は一生の友。必要としてもらえるのであれば、できる限り続けていきたいです。今はベビー用品など必要なアイテムの販売が多いんですけど、いずれは自分の趣味に振り切った「作品」と呼べるものを作りたい、と思っています。

 

――最後に、yukottoさんが編み物教室に込めている思いを教えてください。

yukottoさん:子育て中に必要だと感じたのは、自分の時間でした。なので「自分の時間を楽しむ人のための編み物教室にしたい」と思っているんです。技術を教える学校のような場所ではなく、その時間を楽しんだり、一緒になる生徒さんの話を聞いて、「そういう生き方もあるのね」と感じたりするのもいいですよね。誰々ちゃんのママ、誰々さんの奥さん、じゃなくて、教室では何者でもない自分になれます。そのためにお金と時間を使っているんだ、と感じてもらえる教室を目指しています。

 

編み物作家 yukotto

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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