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古着屋の枠を超えた空間を。40代女店主が営む「古着屋ファジーの店」。

三条市にある「古着屋ファジーの店」には、手に取りやすい価格帯のアイテムが揃っています。コンパクトな店内で、古着らしい手軽さを存分に楽しめるお店です。お店のお客さんは10代の学生から70代まで、かなり幅広い年代の方が訪れるのだとか。「古着屋ファジーの店」のこだわりについて、店主の石坂さんにお話を聞いてきました。

 

古着屋ファジーの店

石坂 友美 Tomomi Ishizaka

1981年生まれ燕市出身。20歳で結婚し、三条市に居住地を移して3人の子どもを育て上げる。子育てが落ち着いた2020年、福祉関係の仕事に従事しながら自宅の倉庫にて「古着屋ファジーの店」を開業。2023年に現在の場所に移転オープン。趣味はカラオケ。スナックで歌うのが好き。

古着をもっと身近に感じてもらうために。

――「古着屋ファジーの店」に置いてあるアイテムは、手頃な価格帯のものが多いんですね。

石坂さん:そこはこだわって仕入れています。私自身、学生の頃に古着に出会ってからずっと好きで着ているので、「古着は手頃で気軽に楽しめるもの」っていう部分を崩したくないんですよね。

 

 

――かつて古着がブームだった時代、今では考えられないような値段で次々と服を買っていたのを思い出します。

石坂さん:私も古着を買いすぎてよく親に怒られていました(笑)。学生でも自分の好きな服をたくさん買えたからこそ、その中で組み合わせたり、流行りを取り入れたりしながら自分の「好き」を探すことができたと思うんです。

 

――価格帯がわかるとお店に入りやすい一面もある気がします。

石坂さん:お店のSNSアカウントで「40代女店主」と書いてあるのもわざとなんです。同年代やそれより上の世代の人たちが少しでも立ち寄りやすくなるようにしています。顔出しやインスタライブを続けることでお店や私自身のことを知ってもらえる機会が増えるので、「この店なら行っても大丈夫そう」って思ってくれるんじゃないかなって。

 

 

――効果はありましたか?

石坂さん:結構反響をいただいています。インスタライブをはじめたばかりの頃は、ひとりにしか見られてないなんてこともザラにあったんですよ。辛かったけど、でもそのひとりのためにやり切ろうと続けていたら、今は平均して20名以上の方が来てくれるようになりました。

 

――それはすごい、継続の力ですね! 石坂さんのSNSを見てる方だと、主婦層の利用も多そうですよね。

石坂さん:私と同じくらいの年代の親で、子どもと一緒に来てくれる人もいます。70代くらいのご年配の方が来てくれるのも嬉しいですね。「昔は好きだったけど、もう着られないと思ってた」とか。アンティークやヴィンテージ物が中心の古着屋だと気後れしちゃって気軽に入れない人でも、うちなら敷居低めなので入りやすいですよというアピールをしています。

 

――石坂さんはお話好きな印象を受けますが、利用されるお客さんもお話好きな方が多いのでしょうか?

石坂さん:うちは、はじめてきたお客さんでも長いと2時間くらい滞在されますね。だからといって女性ばかりではなくて、6対4くらいで男性のお客さんのほうが多いんです。サイズもSサイズから2XLサイズ以上まで幅広く置いていますし、どんな方でも歓迎です。

 

好きだった古着を仕事に。自転車小屋から、一軒家を借りて新規オープン。

――「古着屋ファジーの店」は移転オープンされたと聞きましたが、以前はどちらに?

石坂さん:三条市内にある自宅の自転車小屋からはじめました。私は当時まだ福祉の仕事をしていて、家族にも無理のない範囲でと言われていたので、土日だけ古着屋をオープンしていたんです。

 

――こちらに移転したきっかけをお聞きしてもいいですか?

石坂さん:移転前は3畳か4畳くらいの広さで、エアコンも試着室もない本当に小さなお店でしたから、いつか仕事を辞めて古着屋一本でやりたいと思っていました。店舗を借りるなら空き家や古民家でやりたくて、もちろん商店街や人通りの多いところの物件も見ましたが、全然条件に合うところがなかったんです。

 

 

――第一条件として、空き家や古民家でお探しだったんですよね。物件数がそもそも少なかったのでしょうか?

石坂さん:あるにはあったんですけど、修繕費で大幅に予算オーバーしてしまったり、賃貸ではなく購入しようと思った物件が権利関係で買えなかったりで……。この物件は6件目でやっと出会いました。どうせ壊すつもりだから好きにしていいよってオーナーさんがおっしゃってくれて、かなり自分たちでDIYして内装を変えました。

 

――立地的には少しわかりにくい場所にあると思いますが、お客さんに知ってもらうまで大変ではなかったですか?

石坂さん:とても大変でした。移転オープンして半年くらいは試行錯誤の毎日でしたね。でも今はありがたいことに口コミやSNSからうちを知って来ていただけるので、この頃は「場所って関係ないんだな」と思うようになってきました。

 

自分の居場所にしてほしい。古着がきっかけでも、古着が好きじゃなくても。

――お店の中にテーブルや椅子があるのは珍しいですよね。ここは何に使っていらっしゃるのでしょうか?

石坂さん:まだもう少し先ですけど、カフェにしたいんです。お客さん同士でここに上がって、古着を見ながら知らない人同士で会話できるスペースがあったら素敵じゃないですか。古着って特に一点ものだから、お店に来てあんまりピンとくるものがないときって結構あります。そういうときでもコーヒー一杯飲んで帰ろうか、みたいな。

 

 

――古着屋さんの中にカフェ、いいですね。

石坂さん:もともと古着って枠に縛られず、誰かにとってこの店が「立ち寄りやすい場所」になったらいいなと思っていたんです。古着がそのきっかけになれば嬉しいし、集まる人を目当てにしてもいいし、もちろん喋るのが好きな店主もいますし(笑)

 

――きっと退屈することはないですね(笑)。カフェスペースのためにレイアウトも変えるんですか?

石坂さん:スペースをしっかり区切ろうと思ってます。窓っぽいのを取り付ける予定なので、またイメージは変わると思います。楽しみにしててください。

 

 

――次に来るときが楽しみです。そういえば、「古着屋ファジーのお店」って可愛いお名前ですよね。由来を聞いてもいいですか?

石坂さん:お店のアイコンになってる犬の名前なんです。私が自宅で古着屋をはじめるときに飼っていたフレンチブルドッグの保護犬です。引き取ってから3ヶ月で亡くなってしまったんですけどね。

 

――3ヶ月……、それは早いお別れでしたね。

石坂さん:もともと病気を知って引き取ったので、覚悟はしていました。この子と過ごしたのは3ヶ月でしたけど、「ファジーの店」と名付けたことで名前を呼んでくれる方がたくさんいます。私自身もこの名前を大切にしていこうと思えるので、店名にして良かったなと思っています。皆さんに親しみを込めて呼んでもらえると嬉しいです。

 

 

 

古着屋ファジー

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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