新潟で唯一の「マキコレワイン」取扱店
西蒲区の「吉川酒店」。

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2026.02.20

text by Etsuko Saito

文久3年(1863年)創業の新潟市西蒲区の「吉川酒店」。160年以上続く老舗酒屋は、新潟県で唯一の「マキコレワイン」の取扱店でもあります。5代目店主の吉川さんに、ワインを販売しようと奮闘したこれまでのことや「マキコレワイン」を知ったきっかけなど、いろいろとお話を聞いてきました。

Interview

吉川 利弘

Toshihiro Yoshikawa(吉川酒店)

新潟市生まれ。書店でのアルバイトなどを経て、20代後半に実家の「吉川酒店」に入る。5代目店主。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインソムリエ。高校生のときにドラムをはじめた経験豊富なドラマー。邦・洋ロック好きで、忌野清志郎の大ファン。

老舗酒屋に、
新しい風。

――「吉川酒店」さんの創業は、文久3年(1863年)。なんと160年以上も続いているそうですね。

吉川さん:その昔は桶屋でもあったみたいですね。父の代までは農業もやっていました。子どもの頃は、稲刈りを手伝った記憶があります。

 

――家業を継ぐのは、自然な流れでしたか?

吉川さん:自分では「継ぐんだろうな」みたいな気持ちでいましたけど、家族からは特に何も言われませんでしたね。でも書店でアルバイトをしていた頃、父が盲腸だったかになって、「そろそろ家に入らないか」という具合になったんですよ。

 

――小売以外もされていたんですか?

吉川さん:いえいえ、小売商売でしたよ。その頃は酒類販売の免許は酒屋しか持っていませんでしたから、年末やお盆は大忙しで、配達から帰ってくると、もう次の配達分が準備されていて。その繰り返しだったんだから、今じゃ考えられないですよ(笑)。このあたりの皆さんがご家庭で飲むお酒、それにみりんに料理酒なんかも販売していました。

 

――まさに三河屋さんです。

吉川さん:家業に入って1年くらいした頃でしたかね。お酒のディスカウントストアがオープンして。それからジリジリと売り上げが右肩下がりになっていったんです。漠然と「酒屋だけでは厳しいよな」と感じはじめていました。

 

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うまくいかないワイン会と
運命を変える出会い。

――状況を変える策はあったんでしょうか?

吉川さん:日本酒に関しては、私より先代の方が「長年培ってきた考え」を持っているわけですよ。なので、あれこれ口出しされないためにも、日本酒以外の「何か」ないかなと思っていて(笑)。それで、問屋さんが主催するワインの会に参加して、ブルーチーズにハチミツをかけて「貴腐ワイン」と合わせる鉄板のマリアージュを体験しました。それがとても美味しくて、ワインに興味が湧いたんです。

 

――それがきっかけでワインに関心を持ったんですね。

吉川さん:問屋さんに尋ねたら、「PLAKA」の1角にワインバーがあるから、と紹介してくれて。持ち寄りワイン会に顔を出させてもらうと、ソムリエの資格などを持っている方が大勢いらっしゃいました。それで私も、ワインの資格を取ってみようと思ったんです。

 

――吉川さんとしては、ワインに商機があるという予感があった?

吉川さん:「なんだか面白いことになるかも」という期待はありました。やっぱりブルーチーズとワインのマリアージュから受けた感動が、とんでもなく大きかったんですね。

 

――その後は、どんな取り組みをされたんでしょう?

吉川さん:ワインを皆さんにアピールしなくてはいけない、ということで、友人にチラシを作ってもらって、ご近所さんにかなりの枚数のチラシを配りました。「資格を取って、ワインを頑張って勉強しています」というようなものを。なのに結果は、問い合わせなし(苦笑)。「さて、次はどうするかな」と取った策は、ここを会場にしたワイン会でした。

 

――ワイン会というのは、どういう企画ですか?

吉川さん:要するに試飲会ですね。ワイン数種類とちょっとしたおつまみを用意して。

 

――集客はどうされたんです?

吉川さん:最初は、友達や知り合いに頼んで来てもらいました。

 

――徐々に口コミが広がっていったんですね。

吉川さん:それがそうでもないんですよ。ぜんぜん、うまくいかなかったです。「これを繰り返していてもダメだな」と思っていたら、ある参加者さんが万代の飲食店を紹介してくれました。日曜日のランチとディナーの間の数時間、その場所をお借りしてワイン会を開きました。でもさっぱり、ワインは売れません。もうね、だんだん心が折れてしまって、しばらく何もしない期間もありました。

 

――何か契機になったようなことはあったんでしょうか。

吉川さん:経営塾みたいなものに誘われて、あまり気乗りはしなかったんだけど、一応参加して。懇親会の場で講師陣に経営計画を発表したところ、「あなた、ワインを頑張っているって言ってるけど、ぜんぜん売れていないじゃない」と言われてしまいました。お酒を飲みながらだから、けっこうガッツリ言われっぱなしで。悔しい思いをした、その2か月後くらいに、本屋である記事に出会うんです。

 

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感動の味「マキコレワイン」。
酒屋の先輩が「吉川酒店」に託す。

――その記事というのは、いったい……。

吉川さん:「料理通信」というグルメ雑誌に載っていた「金井麻記子」さんのインタビュー記事を読んで、「マキコレワイン」を知りました。ほんとうに知識があって、フランスでブドウの栽培やワインの醸造について勉強してきた人がセレクトするワインなのだから間違いない、と思いました。

 

※マキコレワインとは……フランスで醸造責任者の資格を取得した金井麻紀子氏が、家族経営の小規模生産者を中心に、ブドウのピュアさを追求した「自然派」のワインを厳選したコレクション。(https://www.cave-kanaiya.co.jp/)

 

――それで、どうされたんですか?

吉川さん:「マキコレワイン」が気になっていたんですけど、敷居が高いだろうとすぐに行動することもなくて。でも新潟の「イタリア軒」で開催された、フランス食品振興会主催のイベントに、金井さん親子が営む酒店「かない屋」も参加していたんですね。私は知人から「時間があったらぜひ来てよ」と言われていたので、顔を出してみたら、たまたま「かない屋」さんが来ていると知って。すぐにご挨拶に伺って、「マキコレワイン」を飲ませてもらったら、まぁとても美味しいんです。他のブースのワインが霞んじゃうくらいでした。

 

――確か、「マキコレワイン」の取り扱いは選ばれた小売店さんだけができる、と聞いたことがあります。新潟では、「吉川酒店」さんだけですね。

吉川さん:その通りです。実はそのとき、「かない屋」さんの社長、つまり麻紀子さんのお父さんの酒屋仲間が新潟にいるというので、そちらと取り引きしようかという話になっていたそうなんです。でも「『マキコレワイン』をメインで扱う」という条件で折り合いがつかなかったみたいで。私はそんなことになっているとは知らず、後日、桐生市の「かない屋」さんを訪問して、改めてご挨拶をしたんです。心の中で、一度お話するだけでは進展しないだろうな、と思いながら。

 

――その後の展開がめちゃくちゃ気になります。

吉川さん:でもその日のうちに、「お取引しましょう」という話になったんですよ。社長と奥さんと私の3人でお食事をして、いろいろなお話をさせてもらって。夕方「では、私はそろそろ帰ります」と伝えると、「新潟は吉川さんに任せます」という言葉をいただきました。条件はひとつ。「マキコレワイン」をメインで販売すること。「もちろんです。必ずそうします」とお約束しました。すぐにいいお返事をもらえたら、いちばんありがたいとは思っていたけど、でも、今までのワインの在庫がありますんでね。ただ金井社長は、「在庫を1年くらいかけて入れ替えるようなかたちでどうでしょう」と言ってくださったんです。酒屋の立場をものすごく考えてくれるんだから、「やっぱり本物だな」と思いましたよ。

 

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県内唯一の取扱店。
日本酒を超える看板アイテムへ。

――いよいよ「吉川酒店」さんに新しい風が吹いてくる予感がします。

吉川さん:「マキコレワイン」の取り扱いを開始したのは、2008年。再び、ワイン会をはじめてみたところ、もうね、お客さんの反応がぜんぜん違うんです。「すごく美味しい」「どこで買えるの」って(笑)。「うちで買えます」と言えることが誇らしかったです。「ワイン会で、こんなに反応がもらえるんだ」という驚きもありました。

 

――「マキコレワイン」に出会うまでの間、吉川さんは何年も「ワインを売りたいんだけど、なかなかうまくいかない」って時期を経験されました。

吉川さん:自分の感覚を信じきれなくて「ほんとうに美味しいのかな」と思いながら販売していたこともあります。「マキコレワイン」に出会ってからは「絶対に、この味は美味しい」と言いきれます。「麻紀子さん、こんなに美味しいワインを見つけてくれてありがとう」という気持ちです(笑)

 

――「吉川酒店」さんとしては、もちろん日本酒も扱っていらっしゃるわけですね。

吉川さん:越乃寒梅、〆張鶴、久保田など、新潟のお酒を扱っています。でも、ワインの売り上げが日本酒の売り上げを逆転して、もうしばらく経ちますね。

 

――そうなんですか。

吉川さん:「マキコレワイン」は、うちの看板商品。この出会いがなかったら、正直、商売がどうなっていたんだろう、と思います。

 

――「マキコレワイン」の味の特徴は?

吉川さん:それはもう、ぜひ飲んでみてください(笑)。でないと、わからないと思いますよ。

 

吉川酒店

新潟市西蒲区矢島43

0256-88-2138

※「マキコレワイン」は、店頭でお買い求めいただけます。ネット販売はありません。(配達は要相談)

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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