家は、ただの「住む場所」ではなく、そこに暮らす人の価値観や生き方が映し出される場所。どんな家にも、住む人ならではのこだわりやストーリーが詰まっています。シリーズ『イエとヒト。』では、新潟で暮らす人々の「家」と「暮らし」にフォーカス。その空間にはどんな想いが込められているのか、どんなふうに過ごしているのかご紹介していきます。
第4回は、三条市で暮らすご家族。のびやかな土地に建つまさのりさんのお家は、家と外とのつながりを大切にしたつくりになっています。リビングにいると自然と庭へと視線が抜け、そのお庭の畑で野菜を育てたり、ウッドデッキでのんびり過ごしたり。心地よくて、ほどよく自由で、肩の力が抜けている。まさのりさん一家の暮らしには、家を建てたあとの時間を楽しむヒントが詰まっていました。
まさのりさんファミリー
ご夫婦とお子さん2人の4人家族。2021年に家づくりをスタートし「ハウスヴィレッジ」に設計・施工を依頼。2022年春に完成。週末に庭でくつろいだり、畑を手入れしたり、そんなふうに楽しんで暮らしながら、これからじっくり家を育てていきたいと考えている。友人が気軽に遊びに来られる空間設計もとても気に入っている。
企画/プロデュース・北澤凌|Ryo Kitazawa
イラスト・桐生桃子|Momoko Kiryu
――家を建てようと思ったきっかけから教えてください。
時期としては2021年の10月ごろですね。自分のなかでは、家を建てるのってひとつの節目みたいな感覚があって。古い考えかもしれませんけど、「男として一度は家を建てたい」って気持ちもありました。環境や年齢も重なって、「これが最後のタイミングかもね」って妻と話し合って、動きはじめました。
――その一歩を踏み出すのって、やっぱり覚悟もいりますよね。理想の家ってどんなふうに思い描いていたんですか?
もともとこだわりが強い性格なんです(笑)。気になると、とことん突き詰めたくなっちゃって。でもそれだとキリがないし、自分は家なんて建てられないんじゃないかって思っていたくらいでした。だから、妻と話して、「これは絶対入れたいね」ってポイントを押さえつつ、納得のいく家をつくっていくことにしました。
――特にこだわったところってありますか?
いちばんは、ウッドデッキです。外と家がつながっていて、風が抜けて、ちょっと腰掛けられるような。そんな空間は絶対に欲しかったんです。
――いいですね、ウッドデッキ。お子さんと遊んだり、外でごはんを食べたり。使い方もいろいろありそう。
そうなんですよ。休日は庭に出てのんびりしたり、ウッドデッキに寝転がって「家、建てたなあ」ってしみじみ感じたりしています(笑)
――工務店は「ハウスヴィレッジ」さんにお願いしたとのことですが、そのきっかけは?
専務が中学時代の友人なんです。昔からの付き合いで、自分の性格もよく知ってくれていて。ほかの工務店さんに話を聞きに行ったりもしたんですけど、家づくりって人となりが出ると思うんですよね。だから、自分を理解してくれている彼にお願いするのがいちばん良いかなと思って。
――長年の信頼関係があるからこそ、言いづらいこともちゃんと相談できそうですね。
そうですね。飲みながら話したりもしましたし(笑)。妻がヘルニアで動けない時期もあって、そのときもすごく寄り添ってくれて。本当に感謝しています。
――奥様の方から、家づくりのなかで「これは入れたい」と思っていたものってありましたか?
畑ですね。「畑がないならイヤ」って(笑)。家庭菜園が趣味で、子どもが生まれたときから一緒に食育として野菜を育ててきたので、それができるスペースは必須でした。畑を前提に土地探しもして、ハウスヴィレッジさんにも相談してアドバイスをもらいました。
――今は何を育てているんですか?
季節によって変わりますけど、今はにんにく、小ねぎ、いちご。これからはピーマン、きゅうり、トマト、なす、そしてマストで枝豆(笑)
――ご自宅で採れた野菜でごはん、いいですね!お子さんも野菜好きですか?
嫌いな野菜がないんですよ。強いて言えば、カボチャだけは甘すぎて苦手みたいですけど(笑)
――暮らしのなかで、気に入っている場所ってどこですか?
リビングとウッドデッキのつながりですね。2階まで開けている空間なんですけど、開放感があって気持ちいいんです。風呂上がりに横になって、「あ~、いい家だなあ」って。
――住みはじめてから、生活に変化はありましたか?
快適なのはもちろんなんですけど、無駄な時間が減った気がしますね。「今日なにする?」って迷う時間がなくなって、晴れていたら外に出てバーベキューしようか、庭の手入れしようかって自然とできるようになりました。
――家づくりって、現実と理想のギャップも大きいと思うんですが、大変だったことはありましたか?
やっぱり予算の兼ね合いですね。人生でいちばん高い買い物だから、理想と現実の狭間でギリギリの判断をする場面はたくさんありました。
――家づくりを考えている人にアドバイスをするとしたら?
寝室の広さは最低限にして、家族で団欒できる場所を優先したほうがいいと思います。あと、収納は最初からしっかり考えておかないと、後から棚を足して理想とズレていくので注意ですね。
――今後は、この家でどんな暮らしをしていきたいですか?
木をふんだんに使っているので、経年変化を楽しみながら、忙しい日々のなかでも、ゆっくりと家族と時間を過ごしていきたいですね。友人たちとも、笑い合いながら過ごせる場所になったらいいなと思います。
家は、日々の疲れを癒し、最も長く過ごす場所。だからこそ私たちは、一人ひとりの“幸せのかたち”に寄り添い、日常を豊かに彩る家づくりを大切にしています。無垢材を中心に身体にやさしい素材を選び、心地よさと安心を備えた住まいを提案。暮らしの変化に合わせて柔軟に寄り添える設計と、耐久性に優れた施工で、長く愛される家を目指します。また、光や風、緑といった自然を住まいに取り込み、人と自然が共に息づく空間づくりも重視。周辺環境への配慮や、現場の美しさ・安全性にもこだわり、暮らす人の心に響く住まいを届けています。
Q. 今回の家づくりのポイントについて教えてください。
A. アウトドアを愛するご家族の希望に応え、畑のスペースとリビングやデッキにつながるお庭を中心に据えた配置計画をご提案しました。採れたての野菜を活かして庭でBBQを楽しむ、充実したお家時間を過ごしていただくための設計です。外観は一見すると平屋のように見えますが、実は半二階建てで、店舗のような洗練されたデザインを取り入れています。南側には1.8メートルの深い軒を設け、夏の強い日差しを遮ることで室内の温度上昇を抑え、快適な空間を実現しました。屋根に合わせて勾配天井を採用し、1階と2階をつなげて開放感あふれる空間を作り出すことで、実際の床面積以上の広がりを感じられます。この設計は、上下階の温度差を軽減する効果もあり、快適な居住環境を提供します。加えて、大工が手掛けた木材の造り付け家具を多数配置し、全体的に木の温もりを感じられるナチュラルテイストに仕上げています。人にやさしい木材の効果により、ストレスの軽減や調湿も期待できる住まいとなっています。
Q. 施主様との思い出のエピソードはありますか?
A. 旦那様、奥様とは古くからの友人でおふたりとは長いお付き合いをさせて頂いていました。一番初めに旦那様からLINEで、「カッコいい縁側のある家建てて!家を建てようと思っているんだ」とメールを頂いたのがきっかけです。おふたりともご実家に住んでいたのでメールを見た時はビックリしました。長い人生の中で大きな決断をされた瞬間でした。「自分たちはお客だけど、家づくりは対『ひと』」だとおっしゃって頂きました。私自身単に建築業者ではなく、ひとりの『ひと』として目の前の方に接するよう心掛けているのでお言葉を頂いたときはより一層その気持ちが湧いてきて、自分が建てる事と同じ気持ちで相手の気持ちを汲み取り家づくりをしようと強く思いました。その後お打ち合わせを重ね、当初メールで頂いた通り、カッコいい縁側のある家が出来ました。当時を思い出すと感無量です。(金子より)
株式会社 ハウスヴィレッジ 本社
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燕三条店
新潟県燕市井土巻3-110 1F
0256-64-7074