気軽に楽しむ、温かい雰囲気の大衆食堂「イタリア食堂 MAMMA」。
食べる
2023.02.16
万代シティや新潟駅前の繁華街から少し外れた東万代町の商店街に、「イタリア食堂 MAMMA(マンマ)」という名の小さなイタリア料理店があります。店内には古い道具があちこちに並べられ、まさにイタリアの食堂といった雰囲気。今回は店主の本間さんから、お店や料理のこだわりについてお話を聞いてきました。


イタリア食堂 MAMMA
本間 正範 Masanori Honma
1969年新発田市生まれ。新潟調理師専門学校卒業。あるイタリア人シェフとの出会いがきっかけでイタリア料理の道に進み、新潟や東京、イタリアで料理の経験を積む。帰国後はイタリアンレストランを経て、2006年に独立して「イタリア食堂 MAMMA」をオープン。シェフの傍らDJとしての顔も持つ。
トマトソースのパスタに衝撃を受け、料理の道へ。
——本間さんが料理の仕事を選んだのって、何かきっかけがあったんですか?
本間さん:手に職をつけたいと思っていたので、美容師と料理人のどちらを目指すか迷っていたんです。そんなとき、たまたま食べたパスタに衝撃を受けて料理人の道に進みました。
——そのパスタのどんなところに衝撃を受けたんですか?
本間さん:それまで食べていたのはケチャップ味のナポリタンばかりだったんですけど、はじめてトマトソースのパスタを食べてカルチャーショックを受けて、「自分でも美味しい料理を作って人に感動を与えたい」と思ったんです。それからはいろいろ模索しながら、自分がやりたいと思える料理を探しました。和食、洋食、中華……ひと通りやってみましたね。
——そのなかでイタリアンを選んだのは、どうしてだったんでしょう?
本間さん:当時勤めていた店でイタリア人シェフをゲストに招いてイタリア料理を作ってもらうイベントがあって、そのときに僕がシェフのサポートをさせてもらったんです。そのときに合理的で無駄がなく、シンプルなのに美味しいイタリア料理に2度目のカルチャーショックを受けることになったんです。

——「セカンドインパクト」というわけですね(笑)。どちらでイタリア料理の修業をされたんですか?
本間さん:万代シティに新しくオープンしたイタリアンレストランで副料理長として働きながら、東京へも修業に行きました。イタリアにも渡って各地のお店を回りましたね。
——イタリアにも行かれたんですか。
本間さん:日本で食べるイタリア料理って、日本人向けにアレンジされていることが多いじゃないですか。だから現地で本物のイタリア料理を食べてみたかったんです。
——行ってみてどうでした?
本間さん:思っていた以上にラフでワイルドなお店が多くて、とても刺激を受けましたね。サラミやハムを頼むと、ナイフと一緒にカゴに入ったものが出てきて「自分達で切って好きなだけ食べろ」っていうお店もありました(笑)。そうしたイタリアでの経験から、僕が独立するときは高級料理を提供する「リストランテ」ではなく、大衆食堂といったニュアンスの「トラットリア」をやりたいと思うようになりました。

小さな商店街のなかにある、雑然とした「食堂」。
——「イタリア食堂 MAMMA」の「MAMMA」って、新潟弁の「まんま」に由来しているんですか?
本間さん:その意味もあるんですけど、イタリア語で「お母さん」っていう意味なんです。「おふくろの味」をベースにした、気軽な大衆食堂というイメージで名付けました。
——ああ、そういう意味だったんですね。この場所でオープンされたのには何か理由があったんですか?
本間さん:イタリアのトラットリアも小さな商店街のなかにポツンとあったりするので、そんな感じのこじんまりした隠れ家的な食堂にしたかったんです。でも最初は「こんな場所でお店をオープンして大丈夫?」って言われることが多かったですね(笑)

——それはどうして?
本間さん:オープン当時の東万代町はシャッター商店街で、閉店したお店ばかりのエリアだったんですよ。でも最近は若い方々が新しくお店をオープンしてくれて、少しずつ活気も戻りつつあるんじゃないでしょうか。
——それにしても古い道具がいろいろ置かれていて、まさに外国の「大衆食堂」といった雰囲気ですね。
本間さん:イタリアのトラットリアって、こんな雰囲気のお店が多いんですよ。古道具屋さんみたいに物が雑然と置かれているんだけど、それがなんかカッコイイんです。本なんかも無造作に積み上げてあるだけなのに、様になっているっていうか……。僕もそんな雰囲気が好きなのでリスペクトしているんですけど、なかなか同じようにはならないですね(笑)

シンプルだけど、素材の味を引き出すプロの料理。
——本間さんはどんなことにこだわって料理を作っているんですか?
本間さん:素材の味を生かすことを大切に料理しています。凝った加工や味付けをしていないのでシンプルなんだけど、肉料理だったら火加減、パスタ料理だったら乳化のタイミングに、それぞれ経験や腕が必要だと思うんです。作るだけなら誰でもできるんだけど、食材の美味しさを最大限に引き出すのがプロの仕事だと思っています。

——シンプルな料理だけに、ごまかしが効かないということもありますよね。
本間さん:あとお客様に満足していただきたいので、うちの料理もイタリアほどではないですがボリューミーなんです。材料費の値上がりもあって厳しいところではあるんですけど、食堂としてそこはこだわっていきたいと思っています。
——お腹いっぱい食べることができるんですね。素材にもこだわりはあるんですか?
本間さん:本場の美味しい食材や調味料はイタリアから取り寄せて使っていますけど、新潟にも美味しい食材がたくさんあるので、採りたての新鮮な地元食材も積極的に使うようにしています。
——では最後に、今後はどんなふうにお店を続けていきたいですか?
本間さん:席数も少なくて小さなお店ですから、周りの人からは「もっと大きな店でやるつもりはないの?」とか「店舗を増やす予定はないの?」とか聞かれるんですよ。でも僕はすべてのお客様に目が届く小さな「大衆食堂」を夫婦で続けていきたいと思っているので、「変わらないお店」を目標に頑張りたいですね。ただ「変わらないお店」とはいっても、お客様には見えないところで努力は続けて、料理はバージョンアップしていきますけどね。

イタリア食堂 MAMMA
新潟市中央区東万代町7-16
025-243-5439
11:30-14:00/17:30-20:45
月曜・第1、3火曜休
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