ビデオテープからはじまり、CD、DVD、そしてブルーレイと、これまで当たり前のように存在していた、映画や音楽のレンタル文化。好きな作品がいつでも自宅で楽しめることから、90年代以降需要はどんどん拡大していきましたが、ここ数年の間に大きなライバルが出現しました。そう、サブスクリプションの存在です。今回はそんな時代の変化に合わせて、レンタルの事業からシェアラウンジなどの新たなサービス提供へと大きく舵を切り、今年リニューアルを遂げた「蔦屋書店 新潟万代」へお邪魔してきました。インタビューを受けてくれたのは、運営会社「株式会社トップカルチャー」の清水社長。これからの新たな展開について、いろいろお話を聞いてきました。
株式会社トップカルチャー
清水 大輔 Daisuke Shimizu
1984年新潟市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、楽天株式会社(現楽天グループ)へ入社。ボストンのハルト・インターナショナル・ビジネススクール、株式会社メディアドゥホールディングス(現メディアドゥ)での経験を経て、2019年に株式会社トップカルチャーへ入社し、2021年に代表取締役社長COO兼営業本部長に就任。
――「蔦屋書店 新潟万代」に、シェアラウンジや飲食店を新設されましたね。今回のリニューアルには、どのような背景がありましたか?
清水さん:私たちは1986年の創業から、「日常にエンターテイメントを提供できる場を」との思いで、映画や音楽、本をはじめとした、暮らしを豊かにしてくれるツールの提供をしてきました。でも最近は、NetflixやSpotifyなどのサブスクリプションを活用して、映画や音楽を楽しむ人たちが増えたことで、DVDやCDレンタルの利用はどんどん減ってきていたんです。それなら次のステージへ行く必要があるのでは、という考えで、この度「蔦屋書店 新潟万代」を大きくリニューアルすることにしました。
――そこで選んだのがシェアラウンジを主体とした施設です。その理由は?
清水さん:新しい生活様式が当たり前になって、家族との時間が多くなったり、都会から郊外に移住する人が増えたりと、ライフスタイルが大きく変化しました。今までは、映画や音楽などのツールを通して、ライフスタイルを豊かにする提案をしてきましたが、それとは別に、時代に合わせた「空間」という新しい価値の提案も必要だと考えたんです。
――なるほど。でも、シェアラウンジって新潟県民には馴染みが薄いですよね……。
清水さん:そうなんです。新潟にはまだ根付いていない空間ですよね。ただ、「TSUTAYA BOOKSTORE 渋谷スクランブルスクエア」などの首都圏店舗では、シェアラウンジの展開が実験的に進んでいて、いろんな使い方をしている人たちがたくさんいます。その文化や空間を新潟に持ち込むことで、地域貢献にもつながるのでは、と考えたんです。
――それでは、そのシェアラウンジについて詳しく教えてください。どんな空間なんですか?
清水さん:ビジネスパーソンはいつでもここで仕事ができるし、学生は学校帰りに自主学習もできます。調べものや読書など、使い方はとにかく自由です。ドリンクはもちろん、 ナッツやお菓子のフード類も用意していますので、普通にカフェとしても利用してもらえます。
――カフェとしても利用ができる。それはシェアラウンジと聞くと身構えてしまうような方にとっては、ハードルが下がっていいですね。
清水さん:個別の席が多くある静かなスペースと、複数人でも使えるテーブル席のスペース、店内はこのふたつに分かれていますので、同じ空間でもいろんな活用方法があるんですよ。あと、アルコールの飲み放題プランもあって、お酒を楽しみながらゆったりとした時間も過ごしてもらえます。
――おお、お酒まで。ちなみに、「蔦屋書店」ならではの特長って何かありますか?
清水さん:それならやっぱり、本に囲まれた空間作りですね。食や暮らし、ビジネス、ファッションなどのテーマに沿ったコーナーを設けていて、1,300冊以上の本を自由に読むことができます。
――そんなにたくさんの本が読めるなんて、「蔦屋書店」ならではですね。そういえば、飲食店も新たに加わったんですよね?
清水さん:そうなんですよ。名古屋を中心に鮮魚の卸や飲食店を展開している「寿商店」という魚屋さんに協力してもらって、「サカナノバーガー」というフィッシュバーガー専門店をオープンしました。「手作り丸ごとアジフライバーガー」「蟹味噌バターのカニコロバーガー」「桜海老香るWぷりえびバーガー」とか、魚屋だからこそ作れるバーガーを提供しています。
――へ〜、どれも美味しそうなメニューですね。「サカナノバーガー」を食べながら、シェアラウンジで過ごすこともできるんですか?
清水さん:もちろんです。バーガーを買って、シェアラウンジで好きなドリンクを飲みながら、ランチタイムを過ごしている方もいます。食事とカフェタイムが一緒にできるし、前後で勉強や仕事に打ち込むこともできるから、とても使い勝手がいいんですよね。僕なんて、ほとんど毎日利用しているんですよ(笑)
――いくつかの店舗では、「蔦屋書店 新潟万代」のように新たな取り組みをされていますよね。「蔦屋書店」として、今後はどのような展開を考えていますか?
清水さん:現在展開している69店舗すべてのレンタル事業を、2023年までに撤退して、新しく3つの事業を展開していきたいと考えています。
――3つの事業とは、どんな内容ですか?
清水さん:まず、シェアラウンジのように空間の提供をしていきます。今後は「蔦屋書店 新潟万代」のような空間を、長岡や三条など、様々な地域でも展開していく予定です。そして、ワークショップを開催したり、コミュニケーションの場を提供したりして、高年齢層の方も楽しんでもらえる空間やコミュニティも作りたいと思っています。あとは、一部の店舗で既に導入している日用品の取り扱いですね。今までは蔦屋書店で本を買って、ドラッグストアで日用品を買い、最後にスーパーで食品を買うといったルートが多かったと思いますが、ワンストップで日用品の買い物までを済ませられるように、ちょっとした食品からシャンプーなどの日用品まで、いろいろと揃えた店舗を作っていきます。
――ふむふむ。「蔦屋書店」の良いところをそのままに、新たな要素がプラスされると……今後が楽しみですね。
清水さん:ありがとうございます。創業以来、変わらずに掲げてきた「ライフスタイルを提案する」という考えをしっかりと守りながら、これからも新しいエンターテイメントを時代に合わせて提供できるように頑張ります。
株式会社トップカルチャー
新潟市西区小針4-9-1
025-232-0008
蔦屋書店 新潟万代
新潟市中央区幸西3-1-6
025-249-0066