新潟市西区・新川漁港の入口にある、お洒落な白いコンテナハウス。それが今回お邪魔した「es(エス)建築事務所」。実は、新潟で天然無垢フローリングや珪藻土を住宅に取り入れたパイオニアでもある建築会社さんなんです。個性的な「es(エス)建築事務所」の小田嶋さんに、家づくりについていろいろお話を聞いてきました。
es建築事務所(株式会社エス)
小田嶋 栄児 Eiji Odajima
1969年新潟市西区生まれ。株式会社エス代表取締役。実家が工務店ということもあり幼少期から建築に興味を持つ。2003年に「es建築事務所」を設立し今年で創業17年目。趣味はサーフィンと釣り。最近の悩みはサーフィンに使うウェットスーツのゴムにアレルギー反応がでること。新品のウェットスーツが着れなくて困っていること。
ーー今日はよろしくお願いします。海の近くにあって、すごく雰囲気がいい感じの事務所ですね。
小田嶋さん:そうですね。けっこういい感じの場所だったので、ここに事務所を作りました。実際、私も海が好きで、サーフィンとか釣りとか、そういう趣味の時間を大切にしたいから会社を立ち上げたみたいなものなんですよ(笑)
ーーそれじゃあ、絶好の場所ですね。けっこういかれたりするんですか?
小田嶋さん:実際は仕事の方が忙しくてサーフィンなんてするタイミングが見つからないですけどね(笑)
ーー小田嶋さんがこの会社を立ち上げられた経緯を教えて下さい。
小田嶋さん:私が子供のとき実家が工務店をやっていて、当時からちょくちょくと仕事を手伝ったりしていたんです。それは、本当に小さい子供のときだったんですけどね。それから大人になって色々な仕事をやって、23歳のときにサーフィンに出会ったんです。そのときは兄貴と不動産事業をやっていたんですけど、もっと自由な時間を作りたくて。図面とかは書けましたし、家づくりも好きだったので、じゃあ独立しようと立ち上げたのがこの会社です。
ーー実際に立ち上げられてからはどうでしたか?
小田嶋さん:それが、自分で言うのもなんですけど、スタートダッシュがすごかったんですよ。最初の頃に作らせてもらったお宅で見学会やったんですけど。来場者が20組くらいだったかな?そのほとんどのお客さんにプランを作って欲しいって言われて。正直、嬉しかったんですけど、パニックでしたよね。
ーーすごいですね!なんでそんなに依頼があったんですか?
小田嶋さん:自分は本物が好きなんですよ。床も無垢とか、壁は珪藻土とか、かっこいいじゃないですか!今では主流かもしれないですけど、当時はフローリングといえば合板とか複合フローリングで、無垢と違って反らないとかのメリットは確かにあると思うんですけど、個人的には自然のものが好きで、だから当時としてはすごく珍しかったんですよね。それに共感してくれたお客さんが多かったってことだと思います。
ーーじゃあ大満足のスタートだったと。
小田嶋さん:いや、それがけっこう反省で(笑)。少人数でやってましたから、もう、パニックでしかなくてですね。てんてこ舞いになったんですよ。別にお金をいっばい儲けたいってのもなかったし、お客さんにも迷惑をかけたくなかったし、だからある意味自分のなかでは嬉しかったですけど、「やり方」を考えるいい勉強になりましたね。今ではほんと、仕事を取りすぎないことに注意してます(笑)
ーーそんな小田嶋さんが家づくりで大切にしていることを教えて下さい。
小田嶋さん:そうですね、自然で経年変化も楽しめる家づくりっていうのは好きですけど。お客さんの「こういう家を建てたい」っていう希望を決まった予算の中でいかに実現できるかということが、やっぱり一番大切だと思っています。ちょうど家を引き渡したお客さんの家のスピーカーの調整を頼まれていたのでご一緒しますか?
ーーえ?いいんですか?もし可能でしたら、ぜひ、お願いします。
小田嶋さん:確認してみて、OKいただいたのでご一緒しましょう。
ーー(場所変わって)…あの、突然、私までお邪魔してすみません。よろしくお願いします。
施主さん:全然大丈夫ですよ。よろしくお願いします。
ーー今日は、「es(エス)建築事務所」さんで家を建てられたお話しをお聞きしたくて、同行させていただいたのですが…。
施主さん(奥様):私は古道具が好きで、そんな家具とか小物が合う家が欲しかったんです。なので、デザイン性を大切にしてくれるビルダーさんと家づくりがしたくて、小田嶋さんに頼みました。
ーー最初から小田嶋さんに決めていたんですか?
施主さん(奥様):いえ、最初はハウスメーカーさんの展示場を色々見たりしていました。でも、自分達のイメージとはちょっと違って。その後もデザインを大切にしてくれそうなビルダーさんに相談したりしたんですけど、どの人も、なんだかちょっとデザインの押しが強かったというか。オシャレだなとは思うんですけど、ちょっと違うなと思って。そのタイミングで知り合いから小田嶋さんを紹介してもらったのが出会いのキッカケです。
ーー初めて会ったときの印象は?
施主さん(奥様):とにかく、私たちの話をよく聞いてくれました。小田嶋さんに頼もうと思ったのも、人柄がすごく良かったからです。
小田嶋さん:ありがとうございます(笑)
施主さん(奥様):いや本当に(笑)。なんだかすごく自然体というか、私たちのやりたいことを真剣に聞いてくれました。
ーーだそうです、小田嶋さん(笑)。そのときのことについて教えて下さい。
小田嶋さん:いやー、本当に素直に嬉しいですよね。施主さんのやりたいことを聞いて、「はじめて方向性が決まってくる」と私は思っているので、「こういうのがやりたい」って、部分的でもいいのでイメージを持ってもらっていることは、すごく私自身も楽しく仕事をさせてもらえましたね。
ーーなるほど、施主さんのイメージを大切に家づくりをスタートしたということですね。実際、進めてみてどうでしたか?
施主さん(奥様):この人すごいなって思いました(笑)。私たちは、部分的な希望はあったんですけど、完成した状態のイメージはなかったんです。でも、打合せの中で、その意図やイメージに合わせた提案をどんどんしてくれて。もう、流石だな、って感じでした。
ーーご主人はいかがでしたか?
施主さん(ご主人):自分は家づくりについては奥さんに任せていたので、あまり意見は出しませんでしたけど。お金のことについては予算が決まっていましたので、その中でこれだけ形にしてくれたのは本当に嬉しかったです。それと、対応していただく早さというか、丁寧さというか、そういうところで自分も、小田嶋さんに頼めば大丈夫だろう、と思って。実際、今日もスピーカーの調整だけで来ていただいたりして、本当に感謝しています。
小田嶋さん:ありがとうございます(笑)。奥さんのイメージはすごく面白かったですし、私自身も、こうやって施主さんのアイディアを聞いて、自分にはない発想と、家づくりで重要なことをうまく料理することを大切にしましたね。例えば、デザインに偏ってても、一生、暮らす家なので機能的でないとダメだと思いますし。ご主人さんが言われたように、予算があるものなので、その中で最大限やりたいことを表現する提案を心がけています。正直、作り手の考え方次第なんですけどね。
ーーお洒落な家を建てたい、でも予算が決まっている。って人にとってはありがたいスタンスですね。最後になりますが、今後の目標について教えてください。
小田嶋さん:そうですね。今と変わらず、マイペースに家づくりができたら嬉しいな、とは思ってます。こうやってお客さんと話しながら楽しく家づくりができることは本当にありがたいことですし、自分が面白いなって思えることは自分も好きなことなので、予算が少なくても、期待に応えられるような家づくりをこれからもしていきたいですね。
ーー小田嶋さん、施主さんご夫婦、本日はありがとうございました。
突然のご自宅訪問というサプライズにも快く迎えてくれた施主さんご夫婦。そして気取ることなく、あくまで自然体の小田嶋さん。ビルダーと施主さんとの間には、常にいい感じの空気が流れていて、その雰囲気が印象的でした。好きなことをやる、できる範囲で最大限にやりたいことを表現する、ということを大切にしている小田嶋さんの姿勢が、とても眩しく感じられました。
es建築事務所(株式会社エス)
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