新潟市北区の松浜を流れる新井郷川のほとりに「フレンチカレーとお菓子の店 Pino(ピノ)」というお店がオープンしました。「フレンチカレー」という聞き馴染みのない言葉が気になって仕方なかったので、お店を経営している斎藤さんご夫婦を訪ねて、お店のこと、メニューのこと、いろいろお話を聞いてきました。
フレンチカレーとお菓子の店 Pino
斎藤 信秀 Nobuhide Saito
1994年新潟市東区生まれ。「にいがた製菓・調理専門学校えぷろん」で製菓や料理を学び、東京のホテルやフレンチレストランで経験を積む。結婚して子どもが生まれたのを機に新潟に戻り、2022年4月に春菜さんと「フレンチカレーとお菓子の店 Pino」をオープンする。趣味は食べ歩き。
斎藤 春菜 Haruna Saito
1995年新潟市北区生まれ。同校で料理を学び、地元自動車学校の合宿寮食堂で調理師として働く。その後、東京のカフェでデリやデザートを担当し、結婚と出産を機に退職。新潟に戻って2022年4月に信秀さんと「フレンチカレーとお菓子の店 Pino」をオープンする。お菓子作りが趣味。
——オープンおめでとうございます。こちらのお店はご夫婦で営業されているんですよね。
信秀さん:はい。僕がカレー、奥さんがお菓子を作っています。
——おふたりとも調理を?
信秀さん:もともと同じ専門学校出身で、僕は製菓、奥さんは料理を学んでいたんです。
——あれ? お互いに今担当しているものとは逆のものを勉強していたんですね(笑)
信秀さん:僕は小学生のときからお菓子作りが趣味だったので、パティシエを目指していたんです。でも専門学校に入学してからアルバイトをしたイタリアンレストランで、料理の楽しさを知って料理人を目指しました。それで卒業後は東京のホテルやフレンチレストランで修業を重ねたんです。
春菜さん:私は専門学校を卒業してから、地元自動車学校にある合宿寮の食堂で食事を作っていたんです。何百種類もある献立をこなしながら、家庭料理のほとんどを学びました。でもその後、東京のカフェではデリとデザートを担当したんですよ。ただ、出産で退職することになったんです。
——じゃあ新潟へ帰ってきたのは子育てのためですか?
信秀さん:そうですね。新型コロナのまん延もあったし、お互いの実家がある新潟で暮らしたいと思ったんです。
——「フレンチカレーとお菓子の店 Pino」をオープンしたいきさつを教えてください。
信秀さん:もともと夫婦ふたりでお店をやってみたいと、漠然とではあるんですけど前から考えてはいたんです。
春菜さん:だから東京にいる間は、ふたりでいろいろなお店を食べ歩いて勉強していました。
——そのときの勉強が役に立ったわけですね。ここはもともと何の建物だったんですか?
信秀さん:事務所だった建物をリノベーションしました。目の前に川が流れているロケーションや、建物のちょうどいい広さが気に入ったのでここの物件に決めたんです。
春菜さん:知り合いの設計事務所の方に、白壁と木だけのシンプルな内装にしたいと伝えて、リノベーションをお願いしました。理想通りにバランスよく仕上げていただいて、とても満足しています。
——フレンチカレーとお菓子の店っていうのは、最初から決まっていたんですか?
信秀さん:いえ、最初はサンドイッチをメインにしたカフェを考えていました。でも流行り廃りに左右されずに長く続けることができて、定期的に食べたくなる料理を提供する店にしたかったんです。
——それでカレーを提供することにしたんですね。「フレンチカレー」っていう言葉はあまり聞き馴染みがないような……。
信秀さん:スパイスカレーやインドカレーは、新潟にも美味しいお店がたくさん増えてきたので、後発の自分たちでは勝負にならないと思いました。そこで、僕がやってきたフレンチの製法を生かしたカレーで勝負してみようと思ったんです。
——ちなみに、どんなところにフレンチの製法が?
信秀さん:フレンチって食材を無駄にしない料理なんですよ。野菜くずや肉や魚のはじっこみたいに捨てられることが多いものでも、出汁をとってソースを作ったり食材を煮込んだりするんです。「Pino」でも食材を無駄にしないで出汁をとって、美味しいカレーを作っています。昔どこかで食べたような懐かしい味なんだけど、家庭では絶対に作れないカレーを目指していますね。
——なるほど。奥さんが作っているお菓子は、どんなことにこだわっているんですか?
春菜さん:派手さはなくてシンプルなのに、毎日食べたくなるような、飽きないお菓子を目指しています。
——そのために工夫していることってありますか?
春菜さん:甘いだけじゃない、香りにも気を使った上品なお菓子ですね。そのためにも、フルーツとスパイスの相性のいい組合せに気をつかっています。あと食材にはできるだけいいものを使うように。バナナ1本でもこだわっているんですよ(笑)
——おふたりとも料理やお菓子作りができるので、一緒にお店をやる上で心強いですね。
春菜さん:調理場ではバチバチ火花を散らし合ってます(笑)
信秀さん:新しく作ったカレーやお菓子は、お互いに味見をしてディスカッションするんです。率直な意見を言い合って、お互いに納得できるところで折り合いをつけています(笑)
——言いたいことを言い合えるのも、ご夫婦だからこそなんでしょうね。
信秀さん:僕はどうしても攻めた組合せを試したくなってしまうんですよ。すっげー辛いジンジャーエール作ってみたり(笑)
春菜さん:そんな彼の暴走を、お客様目線で阻止するのが私の役目です(笑)
——そういうふうにバランスが取れているわけですね(笑)。ゆくゆくやってみたいことはあるんですか?
春菜さん:お店の前に川があって、夜景がとても綺麗なんですよ。そのロケーションを生かして、大人のための夜カフェをやってみたいですね。
信秀さん:僕はあんまり夜営業をやりたくない……(笑)。むしろ松浜では朝市が立つので、それに合わせてモーニングをやりたいと思っています。あと、いろいろな人とコラボして面白いことができたらいいですね。今月末にも地元のコーヒー屋さんとコラボして、ハンドドリップコーヒーとペアリングしたメニューのイベントを開催するんです。
——へ〜、今後も楽しみですね。
信秀さん:これからも思いを込めてカレーやお菓子を作っていきたいと思っていますので、そういったところを評価していただけるとうれしいですね。
フレンチカレーとお菓子の店 Pino
新潟市北区松浜本町1-13-6
11:00-17:00
木曜休