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羽釜、薪、清水を使ってご飯を炊き上げる「竃-kamado-」。

新潟市中央区出来島、県庁の近くの閑静な住宅街に「竃-kamado-」という名の人気店があります。その名の通り、羽釜や薪を使った竃(かまど)でご飯を炊き、料理も炭火でじっくり焼き上げて調理しているお店です。お店のこだわりや、手間をかけて丁寧に料理を作ることについて、オーナーの石田さんにお話を聞いてきました。

 

 

竃-kamado-

石田 善一 Zenichi Ishida

1972年新潟市中央区生まれ。中古家具店に就職し主に輸入家具をリペアして販売。その後、多国籍料理の店に勤めながら独学で料理を身につけ、2000年に新潟市古町でカフェダイニングをオープンした後、2011年に出来島で「竃-kamado-」をオープン。キャンプが好きでよくバーベキューをするものの、仕事と同じように炭火から離れることができない。

 

料理の参考書は、テレビ料理講座のテキスト?

——「竃-kamado-」が出来島にあるのは、やっぱり県庁のお客さんをターゲットにしたんですか?

石田さん:よくそう言われるんですけど、県庁が近くにあるってこと、後から気づいたんですよ。場所を決めたときはまったく頭になかったんですよね。ほんとはもっと山奥で、自分が育てた野菜を使って料理を出すような店をやりたかったんです。でも、それをやるのは店の知名度を上げてからと思って、2011年から出来島で「竃-kamado-」を始めたんです。

 

——以前から和食の修行をしてきたんですか?

石田さん:最初は家具屋だったんです(笑)。高校時代からアルバイトしていた中古輸入家具店があって、そのまま正社員として就職しました。中古輸入家具を仕入れてそれをリペアしてから販売する仕事でした。社長と二人きりだったのでなんでもやらされましたけど、ここで仕事に対する姿勢や、物事の見方といった大切なことを学ぶことができました。例えば物事は一方向からだけ見るんじゃなくて、360度さまざまな角度から見ることでいろんな側面を知ることができるっていう考え方です。今でもリスペクトしているところが大きいですね。

 

——とても充実した職場だったんですね。それがどうして料理の道に進むことになったんですか?

石田さん:体調を崩して入院することになってしまって、店に迷惑をかけるわけにもいかないので辞めることにしたんですよ。その後、何をやろうかと考えていた時に、ある出来事を思い出したんです。家具店に勤めていた頃、配達で仙台に行ったことがあったんです。そのときに入った食堂が当時はまだ少なかったセルフサービスのスタイルで。そういうスタイルの飲食店をやってみたいと思ったんですが、ただ、私はまともに料理を作ったことがない人間だったんです。

 

——え、料理作れなかったんですか…(笑)。

石田さん:知り合いに料理を作れる人間がいたので声をかけて、一緒に店をやることにしました。私がプロデューサー的な役割をして、彼が料理を担当するってことになって。ところが途中で彼がその話から降りてしまって頓挫しちゃったんです。そのとき強く思ったのは、飲食店をやろうとする以上、自分で料理を作れるようにならなければダメだってことでしたね。

 

——それがきっかけで料理の道に進むことになった、と。

石田さん:そうなんです。ところがいざ料理店に勤めてみたものの、当時の料理界は「目で見て盗め」っていう世界だったので、直接料理を教えてはもらえなかったんです。しかたなく書店に行って、テレビでやってる料理講座のテキストを買ってきて、それを読みながら自分で勉強しました。その本を使っていた理由は、素人にも一番わかりやすかったから(笑)。

 

——つまり最初は完全に素人さんだったということですね…。料理が独学だったのは驚きました。

石田さん:その後、その店はオーナーが変わったタイミングで辞めることにして、2000年に古町でカフェダイニングの店をオープンしたんです。でも5年目に入ったくらいから店の方向性を見直すようになってきて、この「竃-kamado-」を新たに始めることになったんです。

 

お金を払って食べてもらう料理だから手間をかけて更に美味しく。

——「竃-kamado-」の料理に対するこだわりを教えてください。

石田さん:新潟って美味しい食べ物がいっぱいあるんですよ。店まで行かなくても家で充分美味しいものが食べれるんです。じゃあ、わざわざ店に来てもらって、お金を払ってまで料理を食べてもらうためにはどうしたらいいのかって考えたんです。そのために、まず目をつけたのが水でした。

 

——水、ですか?

石田さん:新潟はお米もお酒も美味しいことで有名ですよね。それって結局、水がいいからなんじゃないかって思ったわけです。そこで、自然に湧き出る清水を料理に使うことにしました。水質検査の仕事をしているお客さんから教えてもらって、今は五泉や村上まで清水を汲みに行ってます。水を汲みに行く道中で、その土地の四季に触れることができるのもいいですね。自分が見てきた四季の風景をお客様に伝えることで、より美味しく食べてもらうことができるんじゃないかと思っています。

 

 

——ご飯の美味しさも「竃-kamado-」の魅力ですよね。

石田さん:汲んできた清水を使って、羽釜と薪でご飯を炊いています。薪は電気やガスよりも火力が強いんです。沸騰した温水が釜の中で循環するからムラなく均一に炊き上がるんですよ。強い火力で一気に炊き上げることで、お米が艶やかになって粘り気や甘みが出るんです。

 

——やっぱり食材にはこだわってるんでしょうか?

石田さん:もちろんです。お米や有機野菜は信頼できる契約農家さんから仕入れています。そういった食材を無駄にしないよう、美味しく丁寧に調理することを心がけてます。そのほか黄金軍鶏とかサーモンとか、こだわり食材も使ってるんですが、基本的には主役はご飯だと思ってるんです。ご飯を食べるための黄金軍鶏だったり、サーモンだったりと考えてます。言ってみれば、ご飯が監督でその下におかずの選手たちがいるって感じでしょうか(笑)

 

ライフスタイルとしての「食」を提案していきたい。

——今後、やってみたいことってありますか?

石田さん:ライフスタイルとしての「食」を提案する一環として、食育の活動をやっていきたいと思ってます。農家や企業とコラボして田植えや稲刈り体験を実施する予定です。今はとかく汚いことや危ないことを子どもにさせるのがNGみたいな風潮がありますけど、お米はこういうふうに実るとか、こういうふうに炊いて食べるとか、自然の中で生の体験をすることを通して、子ども達に食べ物のありがたみを知ってほしいんですよね。それと同時に、食の安全についての意識を世の中に伝えていくことが自分の役割だとも思ってます。

 

 

「家庭でも食べれる料理にお金を払ってもらうのは申し訳ない」という考えから、清水を汲み、羽釜や薪でご飯を炊いて、手間をかけた美味しい料理を届けている「竃-kamado-」。それだけにとどまらず、ライフスタイルとしての「食」を提供していきたいと語るオーナーの石田さん。これからも子どもの食育をはじめ、食の安全を伝え続けていってほしいですね。

 

 

竃-kamado-

〒950-0962 新潟県新潟市中央区出来島2-7-18

025-278-3777

11:30-14:00/17:00-22:00

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