伝統を守りながら、新しい商品にも挑戦する「小林醤油店」。
食べる
2023.04.13
醤油や味噌といった伝統的な発酵食品の醸造においても、事業の効率化は進んでいるようです。そんななか、自然に任せる伝統製法を守り続けているのが村上市にある「小林醤油店」。今回はそのこだわりについて、4代目社長の小林さんにお話を聞いてきました。


合資会社 小林醤油店
小林 徹平 Teppei Kobayashi
1982年村上市生まれ。東京農業大学卒業。食品メーカーで商品開発を担当した後、2011年に家業である「小林醤油店」に就業し、2021年には4代目社長に就任。最近はスポーツ少年団で空手を教えている。
食品メーカーの経験を生かした4代目の改革。
——こちらの醸造所はいつから続いているんですか?
小林さん:昭和10年に僕のひいおじいさんが、味噌や醤油を作る醸造業をはじめました。醸造業以外に家具を作る木工業もやっていて、引退するときには3人の息子たちに醸造業、木工業、家具の販売業をそれぞれ分け与え、僕のおじいさんが醸造業を受け継いだんです。

——ということは、小林さんで4代目?
小林さん:そうですね。子どもの頃からおじいさんには「お前は将来、醸造所を継ぐ跡取りなんだから」と言われ続けて半ば洗脳されるように育ったので、なんの疑いもなくそういうもんだと思っていました(笑)
——じゃあ、高校を出たらすぐに「小林醤油店」で働きはじめたんですか?
小林さん:その前に新しい知識を学びたかったので、東京農業大学で醸造を勉強して、卒業後は食品メーカーで商品開発を経験しました。新潟に帰って「小林醤油店」で働きはじめたのは2011年からですね。

——外の世界でいろいろなことを学んできたわけですね。その目線で「小林醤油店」を見たときに感じたことはあったんでしょうか?
小林さん:父の代までは純粋に醤油や味噌だけを作っていたんですけど、これからの時代、それだけでは難しいだろうなと感じました。昔から続いてきた伝統を大切にしながらも、今の時代に合わせたビジネス展開が必要だろうと考えたんです。
——何か新しいことをはじめたんですか?
小林さん:まず自社のホームページを作りました。業者に依頼しようと思っていたんですけど、結局全部自分で作っちゃいましたね(笑)。それから新商品を開発して、商品ラインナップを拡充させました。食品メーカーで商品開発をしていた経験が役に立ちましたね。
——どんな商品を開発したのかお聞きしたいです。
小林さん:「小林醤油店」で作っている醤油や味噌を生かした、麺つゆやぽん酢、和風ホットソースがあります。

家庭のカレーがきっかけで生まれた、オリジナル商品。
——醤油や味噌は、どのようにして作っているんですか?
小林さん:原料の仕込みから熟成、圧搾、瓶詰めまで、一貫した自社生産を行っています。当たり前のようですけど、そうした醸造所は年々減ってきていて全国でも1割程度しかないんです。生醤油を仕入れて火入れと瓶詰めだけしか行っていない醸造所も多いんです。
——へぇ〜、はじめて知りました。
小林さん:あと、醤油も味噌も昔ながらの伝統を守って、自然を生かした醸造をしています。近代的な設備の整った工場では、発酵に適した高温で熟成管理することで、短時間での製品化を可能にしているんです。それに対して当社では、自然に任せた常温管理のまま、1年かけてじっくりと熟成させているんですよ。
——それって、手間がかかるし効率もよくないのでは……。
小林さん:確かにその通りです。自然任せの製法では、その年の天候によって味が安定しないこともあります。でも、長い時間かけてじっくりと熟成することで、芳醇な香りが生まれるんですよ。大きな工場ではできない、小さな醸造所だからこそできることをやっていこうと思っています。

——大きな醸造工場に対する挑戦といった感じですね。
小林さん:さらに2年熟成で仕込んだ「朱鷺むらさき」という醤油もあります。それまで新潟県産の大豆や小麦で作った醤油ってなかったので、新潟県産原料で醤油を作れないかと考えて完成したのがこの「朱鷺むらさき」なんですよ。そのために小麦を焙煎するための設備も新しく導入しました。感謝の気持ちを込めて、ラベルには大豆と小麦の生産者名を入れさせてもらっています。

——2年熟成って聞くだけでも、芳醇な感じがしますね。あと「和風ホットソース」というのが気になってしょうがないんです(笑)
小林さん:麺つゆやぽん酢を作ってみたものの、もっと他にはないような商品を作りたいと模索していたんです。そんなときに誕生したのが「醸すこ(カモスコ)」でした。発想のヒントになったのは家庭で食べるカレーだったんです。
——……カレーですか?
小林さん:僕は辛口カレーが好きなんですけど、家庭では子どもに合わせて甘口カレーだったんですよね。そこで辛味を調節できる調味料を思いつきました。当時は全国的に「◯◯スコ」という名の商品が作られていたので、2015年から「醸すこ」として商品化したんです。
——ヒントは日常生活のなかにあるものなんですね。赤と緑のパッケージの2種類があるようですが。
小林さん:味噌ベースと醤油ベースの2種類です。味噌ベースは十年熟成した味噌とハバネロを合わせた酸味のない激辛タイプで、カレーやトンカツ、焼肉にオススメです。醤油ベースは一年熟成醤油とハバネロにゆずを加えたピリ辛タイプで、ピザやパスタ、焼き魚にオススメします。

——どんな味なのか、とても気になりますね。そんな「醸すこ」の評判は?
小林さん:辛いものが好きな方には特に喜んでいただけています。おみやげ屋さんや道の駅でも販売していただいていますし、地元のラーメン店でも卓上調味料として使ってくれているんですよ。ただ、この商品はガバガバ減るものではないので、長持ちし過ぎるのが難しいところですね(笑)
——多くの人に愛される商品になってほしいですね。これからも新商品を開発する予定はあるんでしょうか?
小林さん:現在は受け継いだ社長業が忙しくてなかなか時間がないんですけど、機会があればぜひ新しい商品を作ってみたいですね。次はもっと消耗の早い商品にしたいです(笑)

小林醤油店
村上市大津543-1
0254-62-2088
9:00-18:00
日曜、元旦休
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