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一本の串揚げをひとつの料理のように仕上げる「串揚酒場 はな咲く。」

西区にある「串揚酒場 はな咲く。」は、串揚げを看板メニューに掲げているお店です。撮影用にご用意いただいたのは、ほとんどのお客さんが注文するという「串揚げ10本盛り合わせ」。ひと串ひと串の見た目がとてもきれいで、食べると衣がサクッと軽く、いくらでも食べられそうな味わいでした。今回はオーナーの相馬さんにお店をはじめたきっかけや料理のこだわりについて、いろいろとお話を聞いてきました。

 

串揚酒場 はな咲く。

相馬 拓 Taku Soma

1989年村上市生まれ。高校卒業後、東京都内の会社で1年半勤務。地元の村上市に戻りパチンコ店で3年間働いた後、新潟市のイベント企画会社に勤め、その後23歳で飲食業デビュー。西区の「居酒屋JAM青山店」で8年間経験を積み、2021年に独立して「串揚酒場 はな咲く。」をはじめる。2023年には2号店となる「桜S”AKE。」を新潟大学前にオープン。

 

8年間働いた「居酒屋JAM青山店」から、場所と常連さんを引き継ぐ。

——相馬さんはいつから飲食のお仕事をされているんですか?

相馬さん:この業界に飛び込んだのは23歳のときです。それまでは東京で叔父が経営する会社で働いたり、地元のパチンコ店や新潟市のイベント会社で働いたりしていました。

 

——何年か会社員を経験されてからお料理を学んだわけですね。

相馬さん:料理も含め、飲食の仕事は「居酒屋JAM」で学びました。「居酒屋JAM」はちょっと前まで青山店、米山店、赤道店と3店舗あって、(現在は赤道店のみ営業)それぞれで提供しているメニューが違ったんですよ。だから行く先々でいい勉強ができました。

 

——「居酒屋JAM」さん、学生時代にお世話になりました(笑)。賑やかなお店だから忙しかったでしょうね。

相馬さん:やることも覚えることもたくさんあって、けっこう大変でしたね。でも26歳くらいのときにターニングポイントがありまして。当時の店長だった方に教わって料理に対する考え方が変わったんです。その人は料理を楽しそうに作るし、褒め上手なんですよ(笑)。それから料理にのめり込むようになって、休みの度に図書館で本を読んで勉強するようになりました。

 

 

——もしかして今お店がある場所って「居酒屋JAM青山店」があったところじゃないですか?

相馬さん:僕が「JAM」のオーナーから店舗を買い取って「はな咲く。」をはじめました。

 

——ということは相馬さんが買い取るから「JAM青山店」は閉店する流れになったんですか?

相馬さん:いえいえ、そうではないんです。オーナーに「独立してそろそろ自分の店をはじめたい」と相談したら、「常連さんは相馬くんのことをよく分かっているし、よかったらこの場所でやってみない?」と言ってもらえたんです。僕にとっては願ってもいないことだったので、「ほんとうですか?!」って驚きと嬉しさでいっぱいになりました。

 

——きっと「JAM」のオーナーさんも安心してバトンタッチできたんでしょうね。

相馬さん:「はな咲く。」がオープンしたのは2021年3月なんですけど、実はもう少し早くから準備は進めていたんです。でもちょうどコロナ禍となって、オープンのタイミングを1年遅くしてもらったんです。そんなふうに融通を利かせてもらえたことにも感謝です。

 

20歳のときに考えた、ちょっとシャレた串揚げ店を実現。

——串揚げのお店で勝負してみようと思われたのはどうしてですか?

相馬さん:地元のパチンコ店で働いていた頃、同僚に「これから東京で飲食店をはじめる」って人がいたんですよ。その人がすごくかっこよくて。僕も何か成し遂げてみたいなって思うようになりました。それで素人の突飛な思いつきではあるんだけど、「おしゃれな串揚げの店があったら絶対流行るだろうな」って考えたんです。まだ20歳くらいでしたかね。それが今のお店の原点です。

 

——随分前からお店の構想をお持ちだったんですね。

相馬さん:当時はまだぼやっとしたものでしたけど、目標に向かって進んでいこうって思っていました。

 

——いよいよオーナーの立場になってみて、どうですか?

相馬さん:「JAM」では店長を経験していましたけど、やっぱり経営者とはぜんぜん違いますよね。以前も責任はありましたけど、心の底では「俺の店じゃないし」って気持ちがあったんでしょうね。今はお金の管理だとか時間をどう使うかとかけっこう悩みます。前は自分の労力を100%料理に使っていたけど、オーナーとなるとそうはいかなくて。料理人としての視点と経営者としての視点を両立させるのがすごく難しいです。

 

——相馬さんが料理人としてプライドを持たれているんだなって、先ほどいただいた串盛りで感じました。見た目も素敵だし、素材の組み合わせが個性的だし。

相馬さん:家で食べられるような料理は出したくないと思っているんです。わざわざお越しいただくのだから、醤油にしてもここでしか食べられないものにしたいんですよ。そこに「はな咲く。」に来たくなる理由があるんだと思うし。

 

 

——やっぱり串盛りから注文される方が多いんじゃないですか。

相馬さん:ほとんどのお客さまが最初に10種の串盛りを注文されますね。10種串を2セット、3セット注文される場合でもネタが被らないようにしているんですよ。さすがに4セットだとちょっとかぶっちゃいますけど。

 

——串盛りの紹介をお願いします。見た目だけではどんな串かイメージがつかないものもありますね。

相馬さん:今回ご用意したのは、いちばん人気の「味玉うずら」「サーモンいくら」「ウニ乗せクリームチーズ」「ささみチーズ」に、旬のしいたけ、マスカルポーネを乗せたさつまいもなどです。丸い玉子みたいなかたちの串は「カルボナーラ」です。

 

——カルボナーラ串?

相馬さん:クリームコロッケの要領で、重めのホワイトソースを作って、チーズとブラックペッパーを効かせます。そこにパスタをあえて、冷やしてかたちを整えるんです。

 

——大衆の串揚げ屋さんとはちょっと違う感じですね。手が込んでいるっていうか。

相馬さん:ありがとうございます(笑)。一本の串をひとつの料理だと思って仕上げているつもりです。ソースと醤油も自家製ですし、合わせ味噌も九州から取り寄せたもろみ味噌と甘味噌をブレンドしたオリジナルですよ。

 

——衣が軽くていくらでも食べられそうです。

相馬さん:米油を使っているので重い感じがしないんだと思います。サクサクとたくさん召し上がっていただけますよ。でも2軒目以降のお客さまは串揚げを食べたいと思われないかもしれないので、一品料理やデザートも用意しています。

 

お子さまメニューにノンアルコール飲み放題も。「はな咲く。」らしい工夫の数々。

——確かに一品料理もめちゃくちゃ豊富ですね。えっと……30種類以上もありますよ。

相馬さん:いろいろなメニューがあるのは「JAM」っぽいところかもしれません。でもうちの路線からは外れないように、洋風なものでも和風に落とし込んでいます。例えばボロネーゼには山椒をきかせていたり。

 

——こんなにメニューが多いと選ぶのも楽しいですね。

相馬さん:お子さん用のメニューもあるんですよ。大人みたいに注文できたら嬉しいかなと思って。僕も子どもがいるんですけど、子連れで行ける居酒屋ってあまりないんですよね。評判がいいみたいで、ありがたいことに週末はお子さん連れが多いです。

 

 

——面白いアイディアですね。

相馬さん:それからノンアルコールの飲み放題メニューもご用意しています。これも利用してくださる方が多いですね。レモネードは自家製ですし、飲み放題でしか頼めないドリンクもあります。お酒が苦手でも楽しめますよ。

 

——お料理以外で力を入れていることってありますか?

相馬さん:お店に食べに行って、料理が美味しいのは当たり前ですよね。そんな中でうちらしさを持たせるには、接客と居心地の良さが大事だと思うんです。それにはスタッフ力が必要なので、忙しくても気配りを怠らないようにしています。

 

——さて最後に、これから目指していることを教えてください。

相馬さん:こういう串揚げ店ってあまりないじゃないですか。店舗を増やして、「はな咲く。」流の串揚げを新潟に広めることが目標です。最終目標は、ひとりで小さいお店を切り盛りすること。うまくいけばですけどね(笑)

 

 

 

串揚酒場 はな咲く。

新潟市西区東青山1-6-1

tel  025-211-4203

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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