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しぼりたての牛乳でチーズを作る「ロイアルヒルホルスタインズ」。

牛のお医者さん「TAROファームケアクリニック」の太郎先生から、「とっても美味しいチーズを作っている酪農家がいます」と、紹介をしていただきました。横越の「ロイアルヒルホルスタインズ」。牛舎のそばに工房があり、搾りたての牛乳を使った美味しいチーズを作っているんです。今回は「ロイアルヒルホルスタインズ」の坂井さんご夫婦に酪農やチーズ作りについてお話を聞いてきました。

 

 

ロイアルヒルホルスタインズ

坂井 武史 Takeshi Sakai

1975年新潟市江南区生まれ。「新潟県農業大学校」卒業後、北海道鹿追町の牧場で2年間研修。新潟に帰り実家の「坂井牧場」で働き始め、2014年に3代目として農場を継ぐ。全国各地で開催されるホルスタインの品評会に参加するのが何よりの楽しみ。

 

坂井 美幸 Miyuki Sakai

1980年阿賀野市生まれ。北海道の「帯広畜産大学 草地畜産専修」修了後、新潟に戻って酪農ヘルパーの仕事を始め、武史さんと知り合い結婚。以後、酪農や乳製品の加工販売に忙しい日々を送っている。お菓子作りや手芸などものづくりが好き。

 

酪農一筋で生きてきた夫婦のこれまで。

——おふたりはずっと酪農一筋でやってきたんでしょうか?

武史さん:そうですね。私は「新潟県農業大学校」で畜産の勉強をして、北海道の鹿追町というところにある大きな牧場で2年間研修をしてきました。それから新潟に戻って、実家の「坂井牧場」で酪農を続けてきたんです。

 

——北海道の牧場での研修は厳しかったですか?

武史さん:酪農の仕事ってのんびりしてるものだと思われがちですけど、実際は大きい牧場ほど秒刻みのスケジュールなんです。少ないスタッフでたくさんの牛を管理しなければならないですからね。手を抜いてしまうと牛のコンディションが悪くなっちゃうので、手は抜けないんですよ。

 

——秒刻み……それはハードなお仕事なんですね。美幸さんも酪農の仕事をしてきたんですか?

美幸さん:はい。私は北海道にある「帯広畜産大学 草地畜産専修」で畜産を学んだ後、新潟に戻ってJAで「酪農ヘルパー」の仕事に就いたんです。

 

——酪農ヘルパー? どんな仕事なんですか?

美幸さん:酪農家って、生き物を相手にしているお仕事だから1日も休めないんですよ。でも冠婚葬祭だったり、ケガや病気だったり、休みが必要なときもあるじゃないですか? そんなとき酪農家の代わりに搾乳とか、エサやりとか、牛舎の掃除とかを代行する仕事です。農場ごとにやり方が違って、それぞれに合わせなければならないので大変な仕事でしたね。

 

——対応力が求められそうなお仕事ですよね。ところで、おふたりはどこで知り合ったんですか?

美幸さん:私が「酪農ヘルパー」として伺った「坂井牧場」で知り合って、結婚することになりました。

 

美味しい牛乳を出す牛を育てるために。

——農場には何頭くらいの牛がいるんですか?

武史さん:農場にいるのは40頭くらいです。そのほかに委託している牛を合わせると60頭以上になります。

 

——おお、結構たくさんいるんですね。美味しい牛乳になるように気をつけていることってあるんですか? ていうか、どうしたら美味しい牛乳になるんですか?

武史さん:快適な環境で健康に過ごしてもらうことで、美味しい牛乳に変換されると思ってます。牛は変化を嫌う生き物で常に同じものを求めるんです。エサにしても同じことで、同じものを食べたがります。牛の胃の中には微生物が住んでいて、エサが変わると微生物の種類まで変わってしまうんですよ。だから急にエサを変えると牛乳が出なくなってしまうんです。

 

——大きい身体の割にすごく繊細……。

武史さん:そうなんです。あとエサと同じくらい空気にも気を使っています。「トンネル換気」という方法で牛舎の片側から扇風機で風を送って、反対側にある換気扇で風を吸い出すんです。そうすることで強制的に空気の流れを作り出して、いつも新鮮な空気を保つことができるんです。牛は寒さに強くて暑さに弱いから、夏場はこの方法をフル稼働して風を送り続けてます。

 

 

——牛の飼育で大変なことってありますか?

美幸さん:牛の世話が生活の中のルーティーンになってしまってるから、大変って思うことはありませんね。でも病気だけは怖いですよね。牛はしゃべってくれない上に、自分でよくなろうとガマンするから、病気に気づいたときには手遅れっていうことも少なくないんです。少しでも早く異変に気づけるように、毎日しっかり観察するようにしています。あと出産も時間を選んでくれないので大変ですね。夜中でも早朝でも突然始まりますから……。でも大変な思いをする以上に、牛たちには楽しませてもらってますよ。

 

——例えばどんな楽しみがありますか?

武史さん:牛って結構愛嬌のある仕草をしてくれて、見てると面白いんですよ。水飲み器のふちを唇でなぞってキュッキュッと音を立ててみたりして、それを見た他の牛が真似したりするんです。あと繋いである鎖に顔を押しつけて遊んだりもしますね。それぞれに個性があるから見てて楽しいんですよ。

 

——かわいい!

 

牛乳の味が、そのままチーズの美味しさになっている。

——チーズやヨーグルトはどんなきっかけで作り始めたんですか?

美幸さん:知り合いに「坂井さんのところの牛乳はどこで飲めるの?」って聞かれることがあるんですけど、ちゃんと答えられないんですよね。各農場からタンクローリーで生乳を集めて回って、最終的にどこのメーカーに届けられるのかもわからないんです。いつも、消費者にうちの牛乳を直接届けられないもどかしさを感じてました。かといって、オリジナルの牛乳を作ろうとすると、小ロットのためにすごく高い牛乳になっちゃうんです。

 

 

——そうか、それでチーズやヨーグルトを作り始めたんですね。

美幸さん:はい。最初はジェラートも考えたんですけど、農場直営のジェラート屋さんはやってるところが何軒もあったんです。だったら他のことをやろうと思って、考えていたときにレストランをやってる方から「うちの店の料理に使うチーズを作れませんか?」って聞かれたんですよ。そこでインターネットの情報を頼りに、自宅の台所でチーズを作ってみたら結構うまくできたんですよね。すっかりチーズ作りの面白さにハマっちゃって、もっと美味しく作りたいと思うようになったので、県外にいるチーズ作りの先輩にアドバイスをもらったりして試行錯誤しました。

 

——最初は趣味として作ってたんですね。販売することになったのはどうしてなんですか?

美幸さん:「JA新潟みらい」が運営している「ファーマーズ・マーケット いっぺこーと」っていう農産物直売所ができて、そこから「チーズを売ってみないか」っていうお誘いを受けたんです。でも独学で作ったチーズだったので、販売するには不安があったんです。それで宮城県にある「蔵王酪農センター」でチーズ作りの研修を1週間受けて、チーズを販売する踏ん切りをつけることができたんです。

 

 

——「ロイアルヒルホルスタインズ」のチーズってすごく人気がありますよね。人気の理由はどこにあるんでしょうか?

美幸さん:うちの牛乳の味がそのままチーズの美味しさにつながっているんだと思います。それから搾りたての新鮮な牛乳を使っていることも理由じゃないでしょうか。搾ってから時間が経った牛乳は酸化が進んでしまうんです。うちでは朝搾った牛乳をすぐに工房で使ってますから、牛乳の美味しさがそのままチーズになるんですね。

 

——「ロイアルヒルホルスタインズ」のチーズは他にどこで購入できるんですか?

美幸さん:直売所はないので、ホームページからのインターネット通販をご利用いただくか「ファーマーズ・マーケット いっぺこーと」「えんでばよこごし」「セルフ片山ピアBandai店」などでご購入ください。

 

横越地域の酪農を守り続けていきたい。

——今後やってみたいことってありますか?

武史さん:20年前のこのあたりには20軒の酪農家があったんです。でも今は4軒しか残っていなくって、その中で私たちが一番若いんですよ。他の農家には跡継ぎがいないので、この地域では自分たちが最後の酪農家になるのかもしれないって思ってます。だから農業の6次産業化をしていくことで、世の中の人たちに少しでも酪農のことに興味を持ってもらえたらと思ってます。その上で、ずっとこの地域で酪農を続けて、息子たちにも引き継いでいけたらうれしいですね。

 

美幸さん:子どもたちにも農業の楽しさを知ってほしいと思っているので、私たちも楽しんで農業を続けていけたらと思ってます。

 

 

牛のことを話したり、牛舎で牛に接したりするおふたりは、まるで自分たちの子どもに接する父親と母親のように見えました。牛たちをかわいがっているその姿を見て、チーズのおいしさや人気の秘密がわかったような気がします。愛情豊かに育てられた牛から搾られた美味しい牛乳が、そのまま美味しいチーズになっているんですね。そんな愛情豊かなチーズやヨーグルト、ぜひ味わってみてください。

 

 

ロイアルヒルホルスタインズ
〒950-0209 新潟県新潟市江南区横越東町2-24-2

090-4746-6670

10:00-17:00

日曜祝日休

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