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毎月発行し続けて10年目、パンダが主人公のフリーペーパー「テテ通信」。

新発田の「TAICOや」さんに取材でお邪魔したとき、「テテ通信」という手書きのフリーペーパーがお店に置かれているのを見つけました。パンダのぬいぐるみ「テテ」を主人公にした4コマ漫画とエッセイで、新発田のローカルネタがところどころに盛り込まれています。なんとこちらのフリーペーパー、2014年にスタートしてから毎月欠かさず発行され続けているんだとか。「テテ通信」を発行しているテテの飼い主さんに、フリーペーパーを作りはじめたきっかけやテテとの出会いについて聞いてきました。

 

 

テテ通信

飼い主さん

新発田市在住。和歌山旅行でパンダのぬいぐるみ「テテ」に出会い、2014年の4月よりフリーペーパー「テテ通信」の発行をスタート。毎月発行し、新発田市内のカフェなどで配布。お仕事は建築士。

 

行きつけのお店をきっかけに、なんとなくはじめたフリーペーパー作り。

――今日は「テテ通信」をはじめるきっかけになったという「TAICOや」さんにお邪魔しています。まず、どうしてフリーペーパーを作りはじめたんですか?

飼い主さん:はじめたきっかけはふたつありまして、ひとつはこの「TAICOや」さんの千恵子さんに「みんなでフリーペーパーを書きませんか、みんなで書いたら楽しいですよね」って言われたんです。けれども、「みんなが」って言っていたのに、私ひとりしか書かなかったんですよね(笑)。でも書きはじめたら面白くなって、そのまま続けました。

 

――それが「テテ通信」の第1号だったんですね。もうひとつのきっかけというのは?

飼い主さん:もうひとつが「古本いと本」っていう、フリーペーパーを出している女性がいたんですけども、私はもともと絵を描くので、その人に「フリーペーパーを書いたら受けますよ」って言われたんです。そういうふうな経緯もありつつ、まあ、千恵子さんにそそのかされたというか(笑)

 

――最初の頃は、作ったフリーペーパーをどちらに置いていたんでしょう?

飼い主さん:最初は「TAICOや」さんと、向かいに「カフェノバ」さんっていうお店があって、そのふたつで置いてもらっていました。それから1ヶ月に1回コンスタントに持っていっていて、今は「TAICOや」さんと、すぐそこの「COCOLATTE Cafe」さんに置いてもらっています。

 

和歌山で梅干しと一緒に売られていた、パンダのぬいぐるみ。

――気になるテテとの出会いについても教えてください。

飼い主さん:「テテ通信」をはじめる前の年に和歌山旅行をして、そのときにお土産として買ってきたんです。熊野古道とか高野山とか、世界遺産を巡る旅をして、たまたまアドベンチャーワールドに近い白浜温泉の宿に泊まったんです。そこのお土産屋で梅干しと一緒に売っていた(笑)。

 

――見つけたときに、何かビビっと来るものがあったんですか?

飼い主さん:うーん……目が合ったっていうか。でもそのときはこのあと何かに使おうとは思っていなくて、誰かにあげようと思っていたんですけど、たまたま余って自分のものになったんです。

 

 

――ぬいぐるみはどうして「テテ」っていう名前なんですか?

飼い主さん:座れなかったんですよ。第1号で名前が決まるんですけど、憧れがテディベアで、でもうまく座れなくてテディベアになりきれないから「テテ」。そういうことなんです。今は柔軟体操をして座れるようにしています。

 

――やっぱり「テテ通信」を続けるうちにテテに対しても愛着が湧いていったんでしょうか。

飼い主さん:そうですね。「テテ通信」をはじめてから、面白くていろんなところに連れて行きました。一緒に寝ていると動くんですよ。布団の中にいたはずなのに、朝起きて枕元にいたときはびっくりました(笑)

 

 

――長年書き続けていると、どこかの媒体から連載のお誘いとかありそうですね。

飼い主さん:東京のウェブマガジンから「連載しませんか」って話がありました。今はもうそのサイトがなくなったので終わりましたけど、けっこう長い間やりましたよ。「季節感があるものを書いてほしい」と言われて、それまでとはテーマを変えて書いていました。

 

――でも今は特に季節感にこだわらずに書かれていますよね。元に戻したのにも理由があったんですか?

飼い主さん:そのきっかけも千恵子さんだったんです。木の上から不思議な声が聞こえて、それがキジバトの鳴き声だったっていう話があるんですけど、そのときのテテのセリフが、編集されたときは「きみか」だったんですね。でも後で「おまえか」に書き直したんですよ。「きみか」じゃテテらしくないなと思って。そしたら千代子さんに「テテ、元に戻ったね」って言われたんです。それで次の号から季節感をなくして、元に戻しました。

 

――そういう「テテらしさ」というか、キャラクターみたいなものがやっぱりあるんですね。

飼い主さん:物心ついたぐらいのちょっと生意気な感じで、分かっていないのに上から目線な感じにしていたいんです。「楽しいの?」じゃなくて「楽しいのか?」とか。「か」があるかないかで、私にとっては大きくニュアンスが変わるんですよね。

 

 

――実際にあるお店のこととか、新発田のローカルなネタがけっこうよく出てきますよね。

飼い主さん:無意識なんですけどね。でもひとつだけ意識していることがあって、100号以上書いてきて「新発田」とか「新潟」という言葉は一回も使ったことがないです。

 

――それはどうして?

飼い主さん:場所と時間を特定したくなかったんですね。「テテ通信」はいつ読んでも「テテ通信」にしたかったから。例えば「みんなマスクしてる」とか書いちゃうと、「あの3年間だな」って分かっちゃうじゃないですか。

 

――確かに。新発田のようでちょっと違う「テテの世界の話」っていう感じがします。話のアイデアはどこかにメモしてあるんですか?

飼い主さん:ネタ帳があって、会社の手帳を使っているんです(笑)。建築士だからいつも作業着を着ているんですけど、胸ポケットに入れていつでも持っていられるからちょうどいいんですよね。だから車の中でも思いついたら書いちゃう。今月号だと、「テテは入るポケットにこだわる」っていうので、「ダッフルコートのポケットは上向きでいいけど、ダウンコートのポケットは斜めでいやだ」っていう話です。

 

――ゆるくてほっこりします(笑)

飼い主さん:オチがなくてもいいと思っていて。大人の絵日記みたいな感じで書いていますね。

 

目標は出版して「TAICOや」で記念パーティーを開くこと。

――「テテ通信、読んでますよ」とか、声をかけられるとやっぱり嬉しいですか?

飼い主さん:嬉しいです。Facebookにもアップしているんですけど、メッセージを送ってくれる方がいるんです。今まででいちばん嬉しかったのが、「楽しくて寝不足になりそうです、夜中なのでまたのお楽しみにしよっと」と言ってもらえたこと。あとは私が書いているとは知らないで、目の前で「これ面白いよね」って笑ってくれたり。前に置かせてもらっていたお店には、「このお店はテテ通信を置いていると聞いて来たんですけど」という方がいたそうで、それも嬉しかったですね。

 

 

――今後も「テテ通信」を続けていくつもりなんでしょうか。

飼い主さん:続けられる限りは。老衰とかで書けなくなるまで続けるんじゃないですかね。

 

――続けていって、叶えたい目標とかあるんですか?

飼い主さん:出版が目標なんです。今だと117号とかまで書いていて、写真も何十枚とあるから、本にできるくらいのボリュームあると思うんですよ。それで「TAICOや」さんで出版記念パーティーを開くのが目標です(笑)。そのときは来てくださいね。

 

 

 

テテ通信

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