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家族に食べさせたい、新発田市「TAICOや」のご飯。

新発田市の「TAICOや」は、17年前にオープンして以来、地元の方からずっと愛され続けている町のご飯屋さんです。お店で提供しているサンドウィッチやパスタ、カレーなどは、子どもにも安心して食べさせられる、誰もが好きな味。お店を営んでいる齋藤さんご夫婦にお会いして、メニューへのこだわりや、夫婦でお店を続ける中で思うことを聞いてきました。

 

 

TAICOや

齋藤 千恵子 Chieko Saito

仙台市生まれ。仙台の飲食店でアルバイトをしているときに、新発田市出身の旦那さんと出会う。結婚後、新潟市に移住。2006年、新発田市で旦那さんと「TAICOや」をオープン。

 

新発田市で17年続く、夫婦が営むご飯屋さん。

――まずはご夫婦で「TAICOや」をはじめた経緯を教えてください。

千恵子さん:私は仙台出身で、仙台の飲食店でアルバイトをしていたときに主人と出会ったんです。そのときから「いつかは新発田に帰ってお店を持つ」と言っていましたね。結婚した当初は新潟に住んでいて、いつお店を持つとかいう具体的な話はなかったんですけど、上の子が生まれたあと、だんだん物件を探すようになって。オープンしたのが上の子が1歳になった頃でした。来月で17年経ちます。

 

――お店をはじめるときに「こういうお店にしたいな」っていうイメージはあったんでしょうか。

千恵子さん:パスタをメインにして、自家製パンを使ったサンドウィッチを出すということは決めていました。だけど堅苦しいイタリアンレストランにするイメージはなくて、自分が食べたいものとか、自分が今まで食べて気に入っているものを出そうとこだわっていましたね。

 

――ちなみに、店名の「TAICOや」は何が由来なんですか?

千恵子さん:新発田だと「〇〇や」っていうお店が多くて、それも長く続いているお店が多いんですよね。だから「うちも長く続きますように」って思いをこめて「〇〇や」にしようと思って、それに合うように語呂のよさで考えました。だから意味はないんです(笑)

 

 

――お店の入り口ではハンドメイドの雑貨を販売されていますよね。お店をオープンされたときからそうだったんですか?

千恵子さん:はじめた当初は、私が当時気に入っていた木製のおもちゃを仕入れて販売していて、それを置かなくなったときに、ものづくりをしている方から「作品を置いてくれるかな」って声がかかるようになって。それで置くようになったのがきっかけです。

 

――店内で写真や絵を展示される方もいるとか。

千恵子さん:「展示をしたい」という人に、お店の壁を使ってもらっているんです。だいたい1ヶ月くらいで入れ替わります。でもギャラリーではないので、壁側の席に座って食べている人がいるとよく見られないし、「それでもよければ」っていうことで、基本的に無料でお貸ししています。

 

パンもパスタも燻製も自家製。家庭にあるもので作る、家族に食べさせたい料理。

――提供するメニューを考えているのはご主人ですか?

千恵子さん:メニューは主人が考えていて、そこに私が「それならこれもいいかもね」と言って膨らませていますね。

 

――メニューを見るとパスタとサンドウィッチの他に、カレーがありますね。

千恵子さん:最初はパスタとサンドウィッチの店でやっていたんですけど、縁があってカレーを出すことになったんですよ。新発田はアスパラを推しているので、アスパラのカレーを出すことになって、それが縁で主人がカレー作りに目覚めて。だからたまにお客さんから言われるのが「ここってカレーのお店ですよね」って(笑)。パスタとサンドイッチがメインなんですか、なぜかカレーも人気です。

 

――「TAICOや」をカレー屋さんだと思って来るお客さんもいるんですね(笑)

千恵子さん:でもオープン当初の目論見通りというか、イタリアンレストランとかではなくて、町の食堂のようなイメージがだんだん定着しているような気がしています。ご飯ものもニーズがあるのかなと思って、今はオムライスとかも出しています。

 

 

――サンドウィッチのパンは自家製とおっしゃっていましたね。

千恵子さん:そうなんですよ。だからパンのサイズが定まっていなくて、いつも同じ形っていうわけではないんです(笑)。よければ食べてみてください。

 

――大きいサンドウィッチですね! パンがもちもちで美味しいです。

千恵子さん:「焼きリンゴとクリームチーズのサンド」「スモークチキンのサラダサンド」「ベーコンとチーズのサンド」は、オープン時から変わらずあるメニューです。うちはスモークも自家製なので、スモークチキンのサンドとベーコンのサンドは人気がありますね。

 

――できるだけ手作りにこだわっているんですね。

千恵子さん:パスタも、手打ち麺を使ったパスタを3種類出しています。「手打ちが合うだろう」ってパスタに手打ち麺を使っているんですけど、他のパスタも手打ち麺に変更できます。食べ応えもあるし、ソースがよく絡むんです。

 

 

――提供しているお料理は、どんなことを意識して作られているんでしょうか。

千恵子さん:オープン当初から子どもと一緒にお店をやるくらいなので、お店で出すメニューは「うちの子どもに食べさせてもいい」って、胸を張って言えるものにしたいなって。家庭にあるもので作れるものを目指しているっていう、それがこだわりかな。「家族に食べさせたいもの」ですね。

 

――手作りにこだわっているのも、その思いがあるからなんでしょうか。

千恵子さん:「作れるものは作る」っていうのがスタンスであって。たぶんなんでも作りたがりなんです。だからパンだったりパスタだったり、燻製だったりも自分で作る。自分で作るから自分の知っているものが入っているし。家庭にあるもので作れて、別に特別なものを買わなくてもこの味を表現できるっていう。「それじゃあ外食じゃないじゃん」って言われちゃうかもしれないけど(笑)

 

夫婦の話し合いをするのはお店。毎日一緒だから、思ったことを言い合える。

――長年お店を続けていて、どんなときに「お店をやっていてよかったな」って思いますか?

千恵子さん:「お店をやっていてよかった」は、数え切れないくらいあるんですけど……。私たち夫婦って、365日ほぼ一緒にいるわけですよ。お店がある日は朝から夜までふたりでいるから、お店のことだけじゃなくて、子どもたちのことも家のことも、ふたりで意見を言い合うのはすべてここなんですよね。そうすると、喧嘩に発展することもあるわけですよ。

 

――喧嘩をするのもお店なんですね(笑)

千恵子さん:ここなら開店前とかお客さんがいないときなら、盛大に喧嘩ができるんです(笑)。でも、お客さんが来たときにそれじゃだめじゃないですか。切り替えて「いらっしゃいませ」ってスイッチを入れられるのは、お店をやっていたからだなって思います。

 

――怒っていたことも忘れられるものですか?

千恵子さん:料理を作ったり運んだり、お客さんと喋ったりしているうちに、衝突していたことがどうでもよくなるんですよ(笑)。だからお客さんに助けられていますね。人からも「毎日旦那さんと一緒で大変じゃない?」って言われるんですけど、私は「一緒にいた方がなんでも言えて楽だよ」と言っていて。私の性格上、言えなかったら溜まりに溜まってどうにもできなくなっていたと思います。

 

――これからもお店を続けていく中で、どんなことを大切にしていきたいですか?

千恵子さん:営業を続けているとお客さんとお店の人が近くなって、だんだん境目が曖昧になってくることがあるんです。でも近くなっていく気持ちも大事にしつつ、いつまでも私たちはお店の人であり、お客さんはお客さんでありっていう、ちょうどいい関係を保ちたいですね。ここでの時間を楽しく過ごして、「また来たい」と思ってもらえるようにありたいです。

 

 

 

TAICOや

新発田市中央町1丁目2-1

TEL 0254-26-6269

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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