安田瓦の優れた魅力を広く伝える
「にいがた瓦館 かわらティエ」
ものづくり
2026.06.11
全国でも有名な「安田瓦(やすだがわら)」は、暑さ寒さに強く丈夫で長持ちな瓦。安田瓦を生産している阿賀野市安田の産地は、近年「やすだ瓦ロード」として整備され、「瓦テラス」や「かわらティエ」といった観光施設もオープンして、観光が楽しめるエリアに生まれ変わっています。今回は「かわらティエ」にお邪魔して、事務長の加茂さんから安田瓦の魅力を聞いてきました。
加茂 豊和
Toyokazu Kamo(安田瓦協同組合)
1977年福島県生まれ。スポーツ系の専門学校を卒業してスポーツクラブで働く。2011年に新潟へ移住し、安田瓦協同組合に就職する。趣味は家庭菜園で、キュウリやナスなどを育てている。
「安田瓦」を広く知ってもらうために、
観光スポットとして生まれ変わる。
――加茂さんは福島県のご出身なんですね。新潟に来る前はどんな仕事をしていたんですか?
加茂さん:中学と高校で陸上競技をやってきたので、スポーツクラブでインストラクターとして働いていました。仕事を探しているときに「安田瓦協同組合」の求人に出会い、安田瓦のことを知るうちにその品質に惹かれて、ここで働かせていただくことになりました。
――「安田瓦協同組合」について教えてください。
加茂さん:昭和25年に設立され、安田瓦の製造業者と共に運営している組合です。私は県外の建築業者に「安田瓦」の魅力を伝えて売り込みをしたり、「やすだ瓦ロード」に関わる取材対応や、イベントの段取りをしています。
――「やすだ瓦ロード」はいつ頃できたんでしょうか。
加茂さん:2011年に最初の整備が終わりました。安田瓦をもっと広くPRするために、安田瓦の生産地を観光スポットとして整備したんです。愛知県にある「やきもの散歩道」を視察して参考にしました。
――その結果、観光客は?
加茂さん:2018年に「瓦テラス」がオープンしてから爆発的に増えましたね。協同組合の事務所にも道をたずねる方が訪れたり、工場見学を希望する団体からの問い合わせが増えました。
――以前と比べてかなり観光地化してきていますよね。
加茂さん:観光客が増えたことを受け、2度目の整備がおこなわれたんです。組合の事務所も「かわらティエ」として新築されて、安田瓦の魅力を伝える展示室や体験コーナーを併設することになりました。

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屋根の上で写真が撮れるスポットや、
鬼瓦をつくったり塗ったりできる体験。
――「にいがた瓦館 かわらティエ」について詳しく教えてください。
加茂さん:まず安田瓦の素晴らしさを伝えるための展示室があります。瓦の実物展示はもちろん、インフォグラフィックでは数字で安田瓦の素晴らしさを知ることができるんです。
――奥に屋根がありますね。
加茂さん:あれは屋根の上で写真が撮れるフォトスポットです。青空や星空などから好きな背景ムービーを選んで撮影することができます。何度でも来たくなるスポットにしたかったので、遊べるコーナーもつくりました。
――普段は撮ることができないような写真を、撮影することができるんですね。さすがは瓦の展示施設(笑)
加茂さん:気軽に楽しんでいただける「体験コーナー」も設けています。体験は大きく分けて2種類あります。ひとつは粘土で手のひらサイズの鬼瓦がつくれる「鬼瓦づくり体験」です。型にはめて成形した後で、自分好みのアレンジを加えてオリジナル鬼瓦をつくることができます。
――へぇ〜、なかなかできない体験ですね。
加茂さん:そうなんですよ。もうひとつは素焼きされた鬼瓦に、色を塗ったり絵を描いたりできる「鬼瓦絵付け体験」です。粘土を扱うにはまだ難しいお子様や時間のない方にオススメの体験になっています。5名以上での体験はどちらも予約が必要です。
――なかには「ガチの鬼瓦をつくってみたい」っていう人もいるんじゃないですか?
加茂さん:そんな方のために、鬼師指導のもとで鬼瓦づくりの体験もおこなっているんですよ。ちなみに「鬼師」というのは鬼瓦をつくる職人のことを言います。次回の開催は8月の半ばを予定しているので、たくさんの方に参加していただきたいですね。
――瓦で楽しめるコンテンツが色々あるんですね。
加茂さん:楽しんでいただきながら安田瓦の魅力に触れていただけたら嬉しいですね。


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雪国ならではの、寒さに強くて
丈夫で長持ちする「安田瓦」。
――「安田瓦」の特徴はどんなところにあるのでしょうか。
加茂さん:大きな特徴としては「寒冷地仕様の瓦」ということですね。通常の瓦は1200度以下で焼成するんですけど、安田瓦は1200度以上で焼成するんです。酸素の送り込みを制限して酸欠状態にすると、粘土の気泡に残っている酸素を使って燃えようとするんです。これを「還元焼成」といいます。
――還元焼成することで寒冷地仕様の瓦になるんですか?
加茂さん:水を吸わない丈夫な瓦になるので、凍っても割れにくくなるんです。釉薬を両面に塗ることで強度も高いんですよ。雪国で使われてきたからこそ雪に強い瓦が生まれて、今まで残ってきたんだと思います。安田から北には瓦の生産地がもう残っていないんです。
――そうなんですね。時代と共に瓦屋根の住宅も少なくなってきているように感じますが、瓦屋根の優れているところってあるんでしょうか?
加茂さん:遮熱性や遮音性が高いということですね。瓦自体は日光で熱くなりますが、家のなかへは熱を通さないんです。もちろん長持ちするのも優れた特徴ですね。
――日本家屋に合った屋根材なんですね。
加茂さん:そうですね。ところが、最近立て続けに発生した地震のために、瓦の需要が落ちてきているんですよ。
――テレビの地震報道で、屋根から落ちる瓦を見たような気がします。
加茂さん:あれは古い瓦であることがほとんどで、現代では災害に対応して瓦の形状も施工方法も進化しているんですよ。だから地震で家屋が揺れても簡単に落ちることがないんです。
――そうなんですね。
加茂さん:職人の腕というのはAIに代わることができないと思うので、無くならないようにみんなで守っていくべきものだと思っています。

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