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ほっこり癒される「*んぱ*のもり」のぬいぐるみたち。

  • ものづくり | 2023.09.04

犬やクマのようでちょっと違う、かわいらしい妖精のキャラクターたちを生み出す作家「*んぱ*のもり」。ぬいぐるみをはじめ、絵本や器、詩に歌など、幅広く表現しています。「*んぱ*のもり」として活動する山本さんに、ぬいぐるみを作りはじめたきっかけや、気になる「んぱ」の由来など、いろいろなお話を聞いてきました。

 

 

*んぱ*のもり

山本 佳央里 Kaori Yamamoto

1985年新潟市生まれ。新潟デザイン専門学校のデジタルデザイン科でウェブやCGについて学ぶ。在学中にぬいぐるみを作ったことがきっかけになり、2010年より「*んぱ*のもり」として作家活動をはじめる。イベント出展とネットショップを中心に活動し、現在はぬいぐるみの他に器や絵本、詩や歌も制作。

 

迷いながらも選んだ、好きなことを仕事にする道。

——山本さんは昔からものを作ることがお好きだったんですか?

山本さん:子どもの頃からものづくりがすごく好きだったんですけど、仕事にしようとは思っていませんでした。私、高校生の頃はすごくやんちゃで、中退しているんです。それからいろいろな仕事を経験したんですけど、20歳くらいのときに「やっぱり自分の好きなことを仕事にしたいな」と思って、高卒の資格を取ってデザインの専門学校に行きました。

 

——専門学校ではどんなことを勉強されたんですか?

山本さん:裁縫とかが好きだったんですけど、就職するなら自分のできないことを勉強したほうがいいかなと思って「デジタルデザイン科」っていう、ウェブやCGについて学ぶ学科に入りました。最初はパソコンの電源の付け方も分からなくて、でもグラフィックとかアニメーションを作ってみたらすごく面白くて。その分野での就職も考えたんですけど、やっぱりもともと好きなことを仕事にしたいなと思ったんです。

 

——そう思ったきっかけが何かあったんでしょうか。

山本さん:1年生の修了制作展で、架空の幼稚園のウェブサイトを作ったんです。そのときにヒヨコのぬいぐるみを一緒に作って、プレゼンでそれを腰につけて発表したんですね。そしたらそのぬいぐるみを「欲しい」って言う子が出てきて。そういうふうに自分の作ったものを人に「かわいい」とか「欲しい」って言ってもらえるのが嬉しかったんだと思います。

 

——じゃあそのヒヨコのぬいぐるみが、今の活動の原点になっているわけですね。

山本さん:あと、専門学校のイベントで、路上にお店を出して自分が作ったものを販売する機会があって。そのときに今までにないくらい興奮したんですね。作ったものがほとんど売れて「なんだこの楽しさは」と思って(笑)。好きなことをやるって、道もないし大丈夫かなっていう気持ちはあったんですけど、作家として活動することにしました。

 

個性豊かな妖精たちが暮らす「*んぱ*の森」。

——「*んぱ*のもり」という名前で活動されるようになったきっかけが気になります。

山本さん:最初に作ったヒヨコのキャラクターは、嬉しいと「んぱ」って鳴くんですよ。それで作家名を「んぱ」にして活動していたんですけど、お客さんがぬいぐるみのことを「んぱちゃん」って呼んでくれるようになって(笑)。だけどそれぞれのキャラクターに名前があるのでややこしいかなと思って、私が作る妖精たちが住む森の名前を「*んぱ*の森」にしました。

 

——「*んぱ*の森」にはどんな妖精たちがいるんですか?

山本さん:白い子が「ぷに」で、おとぼけキャラのいたずらっ子です。販売していていちばん人気があるのはミルキーな色合いの「おちち」で、ゆるゆるな感じの性格です。たれ耳が特徴の「きなこ」は甘えん坊で愛嬌がありますね。

 

——1匹だけ黒い子がいますね。

山本さん:「くろみ」っていいます。女子力が高くて、この森で唯一ドーナツが作れるハイスペック妖精です(笑)。だけど怒らせると泡だて器で攻撃してくるっていう、いろんな一面があるキャラクターです。

 

 

——性格を知るとよりかわいく見えます(笑)。みんな独特なフォルムをしていますよね。何かモデルにしたものがあるんですか?

山本さん:小さい頃、お祭りに動物が当たるくじ引きがあって、その一等がウサギで最下位がウズラだったんです。私は最下位のひとつ上の亀を引いたんですけど、ウズラがすごくかわいかったので、屋台のおじさんにお願いして交換してもらったんです。

 

——ウズラ、よっぽどかわいかったんですね。

山本さん:ずんぐりしたフォルムに顔がキュッとしていて、すごくかわいかったんです。5年くらい飼っていたんですけど、その影響が大きいのかなと思います。絵にもウズラの親子を描いたんですよ。そういうふうに、自分が人生で触れてきたものが作品に出てくることが多いですね。

 

 

——「*んぱ*のもり」の絵本も作られたそうですね。

山本さん:活動をはじめた頃から自分のなかには「*んぱ*のもり」のストーリーがあったんですけど、かたちにしたことはなかったんです。それで2021年に初めて絵本を描きました。

 

——活動を続けていると、表現するものの幅が広がっていくものなんでしょうか。

山本さん:そうですね。最初はぬいぐるみづくりに没頭していたんですけど、だんだんライブペイントで絵を描いたり、詩を書いたり、小説を書いたりするようになりました。今はいろんなことに興味があって、やりたいことも「かわいい」って感じるものも変化してきていますね。

 

 

——例えば、どんなものをかわいいと思うように?

山本さん:体調を崩した時期があって、その時期を越えて「人体の健康って、すごく完璧な配列や仕組みで成り立っているんだ」と思ったら、心臓とか胃がすごいかわいく思えてきたんです。それで心臓のぬいぐるみや胃のネックレスを作ってみました(笑)

 

——内臓がかわいいとは、面白い発想ですね(笑)

山本さん:年齢を重ねていろんな経験をすると、そういうふうに作りたいものがどんどん変化していって、自分の知らなかった一面が出てくるのが面白くて。だからぬいぐるみに留まらず、いろんな表現ができたらいいなって思っています。

 

自分が芸術に救われたように、自分が表現するもので人を元気にしたい。

——どの表現でも一貫して、山本さんが見る人や聞く人に伝えたいと思っていることってあるんでしょうか。

山本さん:私、もともと自分にコンプレックスが強くて、こんなに表現ができるタイプではなかったんです。だけど20歳になって辛いこととか苦しいことを経験したときに、絵本とか歌とか詩とか、芸術に心を救われることが多かったんですよね。自分でも辛いときに何か作っていると、辛いことを忘れて没頭できるというか、安らぐんです。

 

——芸術を見ることや表現することが、山本さんの人生を支えてきたんですね。

山本さん:だから自分の作ったものを見て「癒された」とか「励まされた」って言われると、すごく嬉しくて。心がきゅっとなってしまっている人たちに元気をあげたり、悲しいときに忘れられる場所が作れたりしたらいちばんいいなって思います。私が体験したような「芸術に救われる体験」を提供できたら嬉しいですね。

 

 

——これからの活動も楽しみです。近いうちにイベントに参加する予定ってありますか?

山本さん:今月は9月9日に江南区である「Peche petit marche」というイベントと、9月30日と10月1日にデッキー401である「トキメキメゾネット」というイベントに参加します。あと実は取材日の今日……8月23日は、私の誕生日なんです。

 

——え~! おめでとうございます。すごいタイミングでお邪魔しちゃいました。

山本さん:ありがとうございます。取材のために部屋を掃除していたら18歳の頃の日記が出てきたんです。その頃の自分って内向的で自信がなくて、作ることは好きでもぜんぜん表現をしていなくて。それから20年経ったんですけど、日記を読んだら「今はここまで開けてよかったな」「歳をとるのって悪くないな」と思えました。「私の表現はこれだ」って自信を持って生きていくことが大事だと思うので、みんなもっと自分を開放して、なんでもやってみてほしいですね。

 

 

 

*んぱ*のもり

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