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陶土を使ったハンドメイド作品をつくる「アルペジオ」。

彫刻家の「古川 敏郎さん」や粘土人形作家の「ねんど母さん」など、Thingsでは県内の作家さんを度々ご紹介してきました。作家さんのお話からは「ものを生み出す力強さ」を感じます。読者の皆さんに、まだまだ新潟に素敵な作家さんがいることをお伝えしたいので、今回はオーブン陶土でブローチやアクセサリーなどを作っている「アルペジオ」の今井さんをご紹介します。

 

 

今井 瞳 Hitomi Imai

1986年長岡市生まれ。長岡造形大学を卒業後、都内の雑貨メーカーなどで働く。小千谷市出身の旦那さんと結婚し、出産をするタイミングで新潟にUターン。2017年から「アルペジオ」のブランド名でハンドメイド作品を作りはじめる。

 

「ものづくり」は小さい頃から大好きな分野。表現する喜びを感じる日々。

——今井さんがハンドメイド作家としてスタートしたのはいつ頃ですか?

今井さん:2017年にハンドメイドのイベントに出展したのがはじまりです。そのときはオーブン陶土の作品だけじゃなくて、刺繍をした小物やファブリックパネルなど、自分で作ったものをとりあえずいろいろ揃えたんです。その中で、お客さんの反応がオーブン陶土の作品に集中したんですよ。目の前でお客さんの反応を知って、私も陶土をいじるのが楽しかったし、「これからはオーブン陶土に絞って作品づくりをしよう」と決めました。ひとつに集中して技術や知識を深めていこう、って。

 

——そもそもハンドメイド作品を作りはじめたのはどうして?

今井さん:きっかけは妊娠中に時間ができたからなんです。その頃、主人が転勤になって、家族で東京から新潟に戻ることになり、私は会社を辞めました。時間はあるし、妊婦だから家にいるし。それで身の回りの片付けをはじめたら、昔、絵を描いたり、習字をしたり、お裁縫なんかをしていた頃の道具がたくさん出てきたんです。どれも夢中になったものだったから捨てられなくて。

 

 

——大好きだったものが一気に登場したわけですね。

今井さん:そうなんです(笑)。「もう一度、何かを作りたいな」って、子供用のスタイや刺繍みたいに手軽にできるものから作ろうと手を動かしはじめました。

 

——もしかして小さい頃から図工や美術が得意でした?

今井さん:ずっと絵を描いているような子どもでしたね。高校も服飾学科でしたし、大学ではデザインを学びました。とにかく「作ること」は大好きだったんです。会社員だった頃も自分の絵を公募に送ったり、ちょっとした活動をしていたんですよ。職場にいながら「この時間に作品づくりができたらな」なんて思ったこともありました(笑)

 

 

——今では作家さんですけど、東京にいらした頃は会社勤めをされていたんですもんね。

今井さん:ハンドメイドのイベントに行くと、どの作家さんも輝いているし、「自分もやりたいな」って憧れはあったんです。20代の頃は、会社員として、母として「この仕事をしなくちゃ」って時間だったと思うんですよね。自分が何かを表現して、誰かに作品を見てもらえる環境が欲しくなったのかもしれないです。

 

——なるほど。

今井さん:2年前に、念願だった「デザインフェスタ」にも出展したんですよ。勤めている頃にも来場者として参加したことがあったんですけど、やっとお客さん側じゃなくて、接客する側で参加するという夢が叶って嬉しかったですね。「やっぱり私はこっち側(出展側)だよね」って、すごく心地良かったです。

 

——ひとつの目標が叶ったんですね。他にも思い出に残っていることはありますか?

今井さん:今年の7月にフランスで開催された「Japan Expo」ですね。数年前に声をかけてもらったもののコロナ禍で延期となり、やっと参加できたんです。これまでで一番思い切ったイベント出展でした。海外の反応を知ることも、経験をシェアすることもできたし、とても勉強になりました。

 

作る人も身につける人もハッピーでワクワクするのが「アルペジオ」。

——「アルペジオ」では、どんなものを作っているんですか?

今井さん:「オーブン陶土」という素材を使って、ブローチをメインに、アクセサリーやボタン、オーナメントなどを作っています。最近、ろくろを手に入れたのでお皿なんかも作りはじめたいと思っています。

 

——作品はどういったところで販売しているんでしょう?

今井さん:雑貨屋さんに卸したり、イベントで販売したり。あとはネットでも販売しています。「Instagramにアップされた作品が欲しいです」とリクエストにお応えすることもあります。

 

——作品をつくる上でのルールみたいなものはありますか?

今井さん:できるだけテーマやモチーフが分かるようにしています。抽象的なデザインも好きなんですけど、作品を手に取ってもらったときに「私のためにこれがあるんだ」って思ってもらいたいんです。「飼っている猫に似ている」とか「手芸が好きだから糸巻きの形が良い」とか、何の形か分かるようにしておくと、その人のことを知れるから楽しいんです。その方が海外でも伝わりやすいですし。

 

 

——ブランド名「アルペジオ」にはどんな思いがあるんでしょう?

今井さん:アルペジオは和音を1音ずつ鳴らす演奏方法のことで、日本語では「分散和音」です。音と音がつながりメロディーになるアルペジオのように、私の作品を身に着けてくれた人や、プレゼントに選んでくれた人たちの心に「ワクワクするメロディー」みたいなものが響いてくれたら良いな、という気持ちを込めました。「アルペジオ」の作品で心のハーモニーを伴奏したい、って。

 

——制作の喜びってどんなところにありますか?

今井さん:自分の得意なこと、好きなことができている自覚があるからだと思いますけど、制作している時間は幸せですね。これまでを振り返っても、今一番幸せを感じているかも。特に新作を作っているときは生みの苦しみを含めて楽しいです。何度も失敗して、納得できる形ができたときは至福のひとときですね。

 

 

——生き生きとされている感じが伝わってきます。

今井さん:作家って家にこもってずっと制作しているイメージがあるかもしれないですけど、私の場合はイベント出展や納品などでけっこう外に出ることも多いんです。むしろ作家をはじめたから、意識が外に向くようになった気もするんですよね。「お取引先にご挨拶に行ってみたいな」とか「お店の様子を見に行きたい」「納品のついでにおしゃべりしたい」って。もしかしたら前よりもアクティブになったかもしれません。

 

——さて、最後に今後の目標を教えてください。

今井さん:近々、夫が小千谷市内で、「アルペジオ」の冠がついたカフェをはじめる予定なんです。私も笹団子や錦鯉など郷土品をモチーフに作品を作ることがあるので、夫婦でまちを盛り上げるようなことができたらいいな、と思っています。あとはまた海外に行きたいですね。前回は私ひとりで渡航したので、今度は家族みんなで行けるように頑張りますよ!

 

 

 

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