桐をもっと身近な存在に。
一点ものの桐製品「みうら木工」
ものづくり
2026.06.08
桐箪笥の名産地として知られている加茂市。市内には桐箪笥の工場が多くあります。その中で、箪笥以外の桐製品を作っているのが「みうら木工」の三浦さんです。三浦さんは独学で木工を学び、自由な発想で、時計やコースターなどさまざまな桐製品を作っています。今回は工場にお邪魔して、三浦さんのこれまでのことや、桐製品のこと、先月からはじまったクラウドファンディングのことなど、お話を聞いてきました。
三浦 卓也
Takuya Miura(みうら木工)
1979年群馬県出身。15年前から新潟に移住し、レゲエ用のサウンドシステムを作ったのがきっかけで、建具屋さんの工場の一角を間借りし木工の仕事をはじめる。8年前に加茂市に自社工場をかまえ、他社からの注文を受け飾り棚や桐箱の制作を行うかたわら、レコード用のケースや桐を使ったノートなどの雑貨も制作。「桐がもっと身近な存在になってほしい」という思いから、クラウドファンディングをはじめる。『こびと図鑑』が大好きで、中でも「イノリオキモノ」がお気に入りなんだとか。
群馬出身の三浦さんが、
新潟で木工をはじめるまで。
――今日はよろしくお願いします。まずは、三浦さんのこれまでのことを教えてください。
三浦さん:新潟に来るまでは、東京でいろんな仕事をしていました。あるとき、仲間内でレゲエ用のサウンドシステムっていう、スピーカーを使った独自の音響設備を作ろうという話になったんです。それを作るために工場の一角を間借りすることになったのが、新潟に来たきっかけでしたね。
――新潟でサウンドシステムを作ろうと思ったのは、どうしてだったんでしょう。
三浦さん:僕の母が加茂の七谷というところの出身で、子供の頃から長期休みのたびに新潟に行ってたんです。母の弟である叔父さんが、加茂で塗装屋さんをしていて、そこが新しく木工もはじめることになって、そのための工場が加茂にあったのを知っていたんです。それで、サウンドシステムを作るために、叔父さんにお願いして工場を貸してもらうことになりました。
――なるほど、それで新潟に。
三浦さん:そしたら、桐製品を販売している会社の方から「うちの商品も作ってくれないか」って声をかけられたんです。ちょうどそのときレゲエのイベントを手伝いをしていて、新潟に友達ができたし、木工の仕事ももらえるようになったので、新しく工場を借りて桐製品を作ることに決めたんです。
――注文された桐製品を作りながら、オリジナルの桐製品も制作されていたんだとか。
三浦さん:レコードを持ち運ぶためのケースとか、雪板とか、僕自身がほしいと思ったものをいろいろ作ってきましたね。過去には桐の茶箪笥も作ったことがあったんです。作り方は誰からも教わっていないので、完全に我流でしたが(笑)
――独学だったなんて、驚きです。
三浦さん:機械の使い方は工場を間借りしているときに見て学んだんですけどね。作りたいものがどんなふうに作られているのかをイメージしてから作りはじめることが多いですね。目指している完成形とは出来上がりがちょっと違った、なんてこともたまにあります(笑)。でも、この感じをみんな気に入ってくれて、移転前の「ROOTS ROCK SKATE」さんや、見附の「やーまん酒家」さんの入り口のドアを作らせてもらったこともあります。


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オリジナルの桐製品を、
たくさんの人に知ってもらいたい。
――現在、「みうら木工」ではクラウドファンディングをやっていますね。これをはじめようと思ったのは、どうしてなんでしょう。
三浦さん:3年前くらいから、友人のイベントに出店して自分のオリジナルの桐製品を売りはじめたんです。それをきっかけに、自分の作ったものを多くの人に知ってもらいたい、って思うようになりました。そんなときに、忘れもしない去年の3月21日、あばら骨を折る怪我をしちゃったんですよ。
――それは大変でしたね……。お仕事にも影響がでたのでしょうか。
三浦さん:4ヶ月くらい仕事ができなくなっちゃったんです。で、やっと少しずつ仕事ができるようになったとき、注文をもらっていた店舗の什器みたいな大きなものは制作できなかったんですけど、リハビリもかねて、小さなものを作ってみたんです。今回クラウドファンディングに出している時計もそのときに作っていて。「この時計を『みうら木工』を知らない人にも届けるには、どうしたらいい?」ってChatGPTに聞いてみたんです。
―― そしたら、どんな返事が?
三浦さん:「クラウドファンディングを使うといいんじゃないか」って。そこからもうちょっと会話をして、内容を詰めていったときに、 「ここまで詰めても、8割の人はやらない」って言われたんですよ(笑)。それを聞いて「なめんな」って思って(笑)、とりあえず一度、言われたとおりにやってみようと思ってクラウドファンディングをはじめました。
――やる気に火をつけたのが、AIのひとことだったとは……。この時計は、どんなこだわりがあるのでしょう。
三浦さん: 桐を使っているのはもちろん、この時計は、三角形に切った木をひとつひとつ手で組んで、「麻の葉模様」に仕上げています。ひとつの時計に使われる三角形の木はだいたい100枚くらいですかね。時計と一緒に出品しているお盆やコースター、机も「麻の葉模様」で仕上げていて。この模様には、成長や魔除けといった意味合いがあるんですよ。
――同じ模様でも、木目がそれぞれ違うから、いろんな楽しみ方ができそうです。
三浦さん:木目がきれいに揃うように、他のパーツの木目も見ながら組み合わせています。時間はかかるけど、量産品ではなく一点ものを作りたいので、この手間も惜しまずに作るようにしています。手づくりならではの質感も楽しんでもらえたら嬉しいですね。


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桐箪笥の名産地・加茂から
桐がもっと、身近な存在になるように。
――桐のよさはどんなところにあると、三浦さんは考えているのでしょう。
三浦さん:軽いところはやっぱりいいなと思いますね。桐で作ったテーブルは他の木材で作ったものよりも軽いので、女性でも持ち運びやすいと思います。あと、桐って柔らかい木材なので、子どもがぶつかっても比較的安心ですし、熱伝導率が低いので、桐のフローリングなんかは冬でも冷たくなりにくいんですよ。
――桐と聞くと、どうしても箪笥のイメージが強かったのですが、三浦さんのお話を聞いているとそんなこともないんだと感じることができます。
三浦さん:確かに、桐と聞くと箪笥を思いうかべる人も多いかもしれないですね。でも桐箪笥って結構いい値段ですし、そもそも今の暮らしに箪笥を必要としない人もいると思うんです。僕は、桐をもっと身近な存在にしたいなと思っていて。そのために箪笥以外の小物をいろいろ作って、まずは使ってもらえたらなって思うんです。
――私も使ってみたいと思いました。三浦さんは、これからどんなものを桐で作っていきたいですか?
三浦さん:作ってみたいものはたくさんあるんですけど……、椅子ですかね。今まで椅子をリメイクしたことはあったんですが、イチから作ったことはなくて。テーブルがあるなら椅子もあったらいいなと思いますし。あとはA1くらいのポスターが貼れるボードとかも作りたいですね。
――最後に、三浦さんのこれからの目標を教えてください。
三浦さん:最終的には、自分のオリジナル商品を売って生活ができたらいいなと思います。そのためにはまず、クラウドファンディングを通して、たくさんの人に僕が作る桐製品を知ってもらえたらな、と思います。
――これからも、応援しています。今日はありがとうございました!


みうら木工
※クラウドファンディングは6/21(日)まで。
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