Things

土管屋さんがかまどを作っちゃった!安田の「小田製陶所」。

  • ものづくり | 2020.12.17

「安田瓦」で有名な阿賀野市の安田地区。良質な粘土が採れることから、昔から焼き物産業が盛んな土地だったようです。その安田地区で、長い間焼き物産業に関わってきたのが「小田製陶所」です。焼き物の土管を作っている会社でしたが、最近では「蒸しかまど」というかまどで人気を集めています。いったいなぜ、かまどを作り始めたのか。6代目社長の小田さんに聞いてきました。

 

 

有限会社 小田製陶所

小田 正雄 Masao Oda

1968年阿賀野市(旧安田町)生まれ。6代目社長。工業短期大学卒業後、地元のガソリンスタンドに就職。その後家業の「有限会社 小田製陶所」に転職し、36歳で社長に就任。若い頃はスノーボードをやっていたが、今は仕事が趣味。

 

田んぼの水はけや工事の排水に使われる土管づくり。

——表にたくさん並んでいる筒みたいなものは何ですか?

小田さん:あれは「暗渠(あんきょ)排水土管」と言ってうちの主力製品です。県内で唯一うちだけが作っている製品なんですよ。

 

 

——「暗渠排水土管」…それって何に使うものなんですか?

小田さん:水田を乾田化するときに使う排水管なんです。水田の地下につないで埋めることで、余分な水分が入り込んで排水路に流れ込む仕組みになっています。

 

——農業で使うものなんですね。

小田さん:第二次世界大戦後、食糧増産のための土地改良事業が活発化したんです。当時の亀田郷は泥舟を使って稲刈りをするような泥田農業だったんですけど、作業効率が悪い上に苗の育成もよくないので、暗渠排水をすることで乾田に変えていったんです。暗渠排水土管は新潟県内の平野部にある田んぼの大半で使われています。

 

——なるほど。じゃあ新潟ではなくてはならないものですね。

小田さん:田んぼだけじゃなくて、磐越西線の工事のときにも排水のために使われましたし、「新潟国体」に向けた新潟市陸上競技場の整備工事ではトラックの水はけをよくするためにも使われたりしました。月岡温泉では配湯管としても幅広く使われているんですよ。

 

「小田製陶所」は水瓶づくりから始まった?

——「小田製陶所」さんって最初から土管を作っている会社なんですか?

小田さん:いいえ、明治6年に創業した頃は水瓶を作っていたんです。当時はまだ水道が普及していなかったから、井戸や川から汲んできた水を貯めておくための水瓶が必要だったんですね。だからうちのマークも瓶にかけた亀の絵柄なんです。

 

 

——お、ほんとだ。最初からこの場所で営業していたんですか?

小田さん:はい。このあたりは良質な粘土が豊富な上に、窯の燃料になる赤松の生えている松林があったんです。その上、阿賀野川が近かったから船での水運にも適してたんですね。新潟市だけじゃなくて北前船かなんかで石川、富山、長野あたりまで水瓶を出荷していたようです。

 

——へ〜、いろんなところに広く出荷されたんですね。

小田さん:でも戦後になると水道が普及して、水瓶の需要は減ってしまったんです。その代わりに需要が伸びてきたのが排水土管だったわけです。でも、土管に依存することで、当社の事業は土管の需要に振り回されてしまうことも多かったんです。景気が悪いときには従業員と一緒に親戚の金属加工会社に出向したりもしてましたからね。その反省も踏まえて、いろいろな新商品の開発を始めました。

 

「蒸しかまど」をはじめ様々な商品開発に挑戦!

——で、「蒸しかまど」というわけですね。これはどうして作り始めたんですか?

小田さん:ある日、蔵から昔に製造していた「蒸しかまど」が出てきたんですよ。最初は何に使う道具なのかさえわからなかったんですけど、うちのばあちゃんが使い方から何からをすべて覚えていたんです。「蒸しかまど」は木炭を使ってお米を炊く炊飯器で、江戸時代には北前船の上で使われていたし、大正時代には大きな料亭やお屋敷でも使われていたらしいんです。

 

——そんなに昔から使われてきた道具なんですね。でも復刻してみようと思ったのはなぜなんですか?

小田さん:。試しに使ってみたらとっても美味しいお米が炊けたんです。今はお米がなかなか売れない時代ですので、お米が美味しく炊ける蒸しかまどがあれば、農家さんもお米の売り上げにつながるかもしれないと思ったんです。

 

——復刻して反響はいかがでしたか?

小田さん:最初はなかなか売れませんでしたね(笑)。そこで家庭向けにミニサイズのものを作って「新潟県デザインコンペ」に出品してみたら賞をもらって話題になったんです。家庭の卓上で簡単にご飯が炊けるっていうことが受けたのかもしれないですね。その後はお客様のリクエストに応えていろんなバリエーションが増えていきました。今では東京の寿司店や料亭、高級旅館で使ってもらってます。

 

 

——今ではすぐに品切れになるみたいですね。「蒸しかまど」以外にはどんな商品を作っているんですか?

小田さん:美味しいサツマイモが焼ける「いも焼土管」とか、「男の癒し」シリーズとかを作っています。「男の癒し」シリーズにはお部屋をくつろぎ空間に変える陶器照明や、ごつごつした岩風の植木鉢があるんです。中には開発してみてお蔵入りになった商品もたくさんありますよ。

 

——たとえばどんな?

小田さん:陶器でできた筒の中にスマートホンを入れて使う「スマホ用スピーカー」がありました。とてもいい音がするんですけどデカ過ぎたんですよね(笑)。植木に水をやるために使う陶器製の「ウォーターキーパー」も考えました。うちが作るのをやめたら他の会社が作っていたので、考えることはどこも一緒だなと思いましたね。

 

自然に優しくどんな形にも変わる焼き物の魅力。

——焼き物の魅力ってどんなことだと思いますか?

小田さん:そうですねぇ、形を自由に操れるところでしょうかね。どんな形にも姿を変えられるし、いろんな使い方ができますからね。あと自然の土を焼いて作るものだから、当然自然に優しいですよね。

 

——壊れても土に還りますもんね。最後に今後やってみたいことを教えてください。

小田さん:やりたいことが色々あり過ぎて時間が足りないんですよ。コンテナを使った事業なんかも前々から考えているんですけど、なかなか時間がなくて途中で止まってるんです。今後も焼き物商品の開発にはチャレンジし続けていきたいと思ってます。

 

 

焼き物を使って様々な製品を生み出してきた「小田製陶所」。社長の小田さんはとてもバイタリティーのある、お話していて楽しい方でした。そのバイタリティーが「蒸しかまど」の人気にもつながっているのだと思います。これからもいろんな製品を生み出して、焼き物の世界を広げてほしいですね!

 

有限会社 小田製陶所

〒959-2215 新潟県阿賀野市六野瀬2312

0250-68-3432

9:00-15:00

日曜祝日休

 

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP