トレジャーハントに出発。宝が眠る「雑本堂古書店」は本と人の架け橋。

映画好きの店主。秘蔵の映画パンフレットは3,000冊以上?

JR長岡駅からほど近い場所に店を構える古本屋「雑本堂古書店」。店主の矢尾板さんが大好きな映画関係の本をはじめ、小説、コミック、雑誌、CDやレコードまで多彩な品揃えとなっています。多すぎてアイテムは本棚に収まりきらず、山積みになっていますが、そこから気になる1冊を探し当てるのもまたひとつの楽しみ方。長年に渡り本とともに生きてきた矢尾板さんに、これまでの本歴史をお聞きしました。

 

雑本堂古書店

矢尾板 恵一 Keiichi Yaoita

1959年新潟生まれ。大学卒業後に努めた本屋にて15年の経験を積み、2004年に「雑本堂古書店」を開業。映画と本をこよなく愛し、コミュニティシネマ長岡事務局、長岡読者倶楽部にも所属。

 

読書が娯楽。そんな時代にだからこそ、本が大好きに。

――矢尾板さんは、どうして本が好きになったんですか?

矢尾板さん:自分が小学生の頃は、今と違って娯楽がなくて、楽しみといったら教科書に載っていた物語を読むことぐらいでした。住んでいた場所は長岡のはずれで本屋もなくて、月に1回、両親が長岡市内に連れて行ってくれていたので、毎回1冊の本を買ってもらっていたんです。それが楽しくて、楽しみで、ずっと本ばかりを読んでいました。

 

――当時はどのような本を?

矢尾板さん:小学1年生などの学年誌やシャーロック・ホームズ、江戸川乱歩とか。小学校の高学年になると文庫本を知り、当時は1冊100円台だったので「1,000円でこんなに本が買えるんだ!」と、SFミステリーなどを読み漁っていましたね。懐かしい時代です(笑)

 

色恋がキッカケ。アランドロンに憧れた女学生に恋をした。

――「雑本堂古書店」には、映画パンフレットがたくさんありますね。矢尾板さんは映画も好きなんですか?

矢尾板さん:映画も好きですね。大学時代は映研に入っていましたから。8㎜の映画を撮っては上映会をして、目指すは映画監督でしたね。ただ、卒業する時には日本映画界が氷河期で、まったく求人がなかったんですよ。

 

――映研に入られていたんですね。ちなみに、映画を観るようになったキッカケというのは?

矢尾板さん:高校生の時に好きになった女の子が、アランドロンに憧れていたんですよ(笑)。当時は、お盆と正月にアランドロンの映画が公開されるほど人気で。観たことなかったけど、好きな子が憧れているなら観てみようと思ったのがはじまりです。それからは災害が発生して人々がどうにか生き延びるようなストーリーの映画を主体に、いろいろな映画を観はじめました。オーメンやエクソシストなどのオカルト映画も。

 

――なんか、甘酸っぱい思い出ですね。高校時代は映画に没頭して、本からは離れていたんですか?

矢尾板さん:映画は年間約30本は観ていましたが、本もしっかりと読んでいました。高校時代は365日の内、350日は本屋に通っていましたね(笑)

 

文学に、映画や音楽など。好きなジャンルを加えた古本屋。

――大学を卒業してからは、どのような仕事をしていたんですか?

矢尾板さん:東京で普通のサラリーマンをしていましたが給料がとても安くて、3年我慢した後、文具メーカーの営業に転職したんです。東急ハンズや紀伊国屋などを巡る仕事でしたが、ある意味、本屋に毎日のように通えるので(仕事で)天国でしたね。

 

――なるほど。てっきり本に関わる仕事に就いたとばかり思っていました。

矢尾板さん:本屋で働いてはいましたよ。長岡にUターンで戻ってくるタイミングで知り合いから声を掛けてもらい、新刊とビデオレンタルの書店で働きはじめました。その店ではブームだったスーパーファミコンなどの中古品も扱っていて、中学生の時に古本屋に憧れていたなって思い出すキッカケになったんです。

 

 

――そうなんですね。お店をはじめるに当たって、どんな古本屋にしようと思いましたか?

矢尾板さん:文学書などの一般的な古本に、自分が好きな映画や音楽のジャンルを加えていければと思っていました。いざ古本屋をはじめてみたら、簡単に考えていたことを痛感。15年、新刊の書店で働いていたので流通を含め、本屋というものを理解していたつもりでしたが、江戸時代の本は出てくるし、古本って奥が深いなと思いましたね。今でも分からない本がたくさんあります。

 

――長年、本に携わってきても知らない本があるんですね。

矢尾板さん:いや~たくさんありますし、お客さんから学ぶことも多いです。映画のパンフレットじゃないですけど、自分が精通している分野ならいろいろな知識はあります。でも、なかなか知りえない分野もあるじゃないですか。そうなると、日々勉強ですよね。

 

平積みされた宝の山。見つけ出そう、一冊の宝物。

――ではでは、お店の本についてお話を聞かせてください。本棚から溢れていますけど、店内には何冊ぐらいの本があるんですか?

矢尾板さん:数えたことないですけど…多分、30,000冊弱はあると思います。雑誌も含めたらもうちょっと。ちなみに自宅にも保管してあって、もう10,000冊はありますね(笑)

 

――え?30,000冊ですか?凄いですね(笑)。そのなかでもチカラを入れているのは、やっぱり映画のパンフレットですか?

矢尾板さん:そうですね。映画のパンフレットは店頭に並んでいるだけで2,000~3,000冊あります。まんべんなく年代を網羅していますが、1980年代のモノが多いです。その時代は映画パンフレットがたくさん売れて流通していたので。逆に1970年代の映画のパンフレットは希少なんですよ。

 

 

――年代によって流通が異なるんですね。それにしても…本当に本の数が多いですね(店内を見渡しながら)。

矢尾板さん:並びきらないのと、整理されていないのと…いろいろと合わさって山積み状態ですよね(笑)。でも、宝さがしみたいにお気に入りの1冊を探してもらえていますし、そんな雰囲気に惹かれる層もいるんですよね。古本だから日に焼けている方がいいとか、誰が読むんだろうかと心配になるマニアックな本を探している人がいたりとか、他の商売にはない雰囲気と経験が古本屋ではできますよね。「この本に、ここで出会えるとは思ってもいなかった」と笑顔でレジに来てくれた時なんかは古本屋冥利に尽きますよね。

 

本と人の架け橋に。それが「雑本堂古書店」の存在意義。

約30,000もの本たちの中から、探していた、気になっていた、あの1冊を見つけ出すのは困難かもしれません。でも、小学生から80歳まで、たくさんの人たちが本という名の宝物を探しにやってきます。だって大手古本屋では見つけられないような本だって、店内には眠っているんだから。今日も誰かの手元に渡っていく1冊。「本と人の架け橋になれる古本屋でありたい」と、矢尾板さんは優しく語ってくれました。

 

 

 

雑本堂古書店

新潟県長岡市東坂之上2-3-3 安藤ビル1F

0258-37-3512

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