日本酒だけじゃない。ソムリエがいる酒屋「新潟長谷川屋」。

創業80年余。新しい世代が考える酒屋のあり方。

新潟の酒屋と言えば、地域の地酒が並び、メジャーなビールや焼酎などがあるイメージですが、「新潟長谷川屋」はひと味違います。日本ソムリエ協会公認のソムリエが在籍し、ナチュラルワインから県外の地酒までが(クラフトビールやウイスキー、ジンなども)ラインナップされた、ちょっと珍しい酒屋さん。創業してから80年余の時代のなかで変化してきたこと、これから目指す長谷川屋スタイルの酒屋像など、ソムリエ兼3代目の長谷川陽路さんにお話をうかがってきました。

 

新潟長谷川屋

長谷川 陽路 Hiro Hasegawa

1990年新潟生まれ。神奈川大学経営学部卒業。千葉県内の酒屋にて3年間修業した後、2016年に家業である「新潟長谷川屋」へ加わる。音楽を聴きながらの晩酌が至福のひと時。最近はワインが好き。

 

三河屋さんから総合的な酒屋へ。日本酒、ワイン、ビール…何でもあるよ。

――「新潟長谷川屋」の歴史について教えてください。創業何年ですか?

長谷川さん:昭和13年に祖父が創業したので、今年で81年目です。創業した時は今の場所(西蒲区鷲ノ木)ではなく、もっと山の方にお店はありました。当時は酒屋でありながら洗剤などの生活用品も取り扱っていたので、サザエさんに登場する三河屋さん的な存在でした。

 

――この場所ではなかったんですね。移転されたのはいつ頃ですか?

長谷川さん:今から25年前です。広い場所で大きな酒屋を営むことが祖父の夢だったので、その夢を叶えるために移転してきました。そして三河屋さんから、地酒屋へと変わったんです。

 

――サブちゃんじゃなくなったんですね(笑)。珍しい日本酒もたくさん並んでいますね。25年前からこれだけのラインナップを?

長谷川さん:日本酒はメインでしたが、正直、取引できなかった酒蔵も多くて今ほどではありませんでした。それが今では新潟の日本酒だけでなく県外酒、ワイン、ウイスキー、ビールと総合的な酒屋に。日本酒だけでも約40酒蔵を取り扱うまでになりました。

 

社会人1年生。めちゃくちゃ怒られた修業時代。

――昔から家業として「新潟長谷川屋」を継ぐ意思はありましたか?

長谷川さん:僕、三兄弟の次男なんです。兄がいたから、正直、意識していませんでした。でも、その兄が自分の好きなことをしはじめたし、大学まで行かせてもらい、当時はこれと言ってやりたい仕事もなかったので継いでもいいかなって思うようになりました。お酒は好きでしたし(笑)

 

――三兄弟なんですね。継ごうかなって思ったのは、いつ頃ですか?

長谷川さん:大学在学中ですね。なので、大学を卒業してからは修行に出ました。はじめは横浜の酒屋に入ったんですが…仕事も人間関係も楽しくなくて(あまり大きな声で言えませんが)、すぐに辞めてしまいました。

 

――辞めちゃったんですね。その後は?

長谷川さん:大学時代にアルバイトをしていた飲食店の仕入れ先でもある、千葉の酒屋にお世話になりました。この酒屋は卸先のアルバイトにまで「こうやってお酒をおいしく飲んでもらおうね」「このお酒って、こんな飲み方もあるよ」といったセミナーをする、ちょっと面白い酒屋だったんです。

 

 

――アルバイト向けにそんなセミナーを開催するなんて、素敵な酒屋さんですね。そこではどのようなことを学びましたか?

長谷川さん:生産者の方に会わせてもらい、思いやこだわりについての話を直接聞いたり、お酒をどう飲むといいのかを飲食店に向けてプレゼンしたり、お酒の基礎的な知識より、お酒を通したお客さんとのコミュニケーションを学びましたね。あとは、ヒトとしての勉強です。

 

――ヒトとしてと言うのは、人間関係ですか?

長谷川さん:人間関係もそうですが、チームワークですね。ひとりで頑張るには限界があって、チームとして、組織としてみんなで動くことにより個々のパワーがより発揮されることを教えてもらいました。その学びがあるから、今の「新潟長谷川屋」のスタイルがあるんだと思います。あとは、社会人1年目ってこともあって、右も左も分からず、めちゃくちゃ怒られた記憶が強いですね(笑)

 

ソムリエがどうして酒屋に?ワインを好きになったキッカケ。

――長谷川さんって、ソムリエの資格を持っているじゃないですか。ワインが好きでソムリエになられたんですか?

長谷川さん:いや、ワインに興味を持ったのはソムリエの資格を取ってからなんです(笑)。千葉の酒屋で修業していた頃、カタチとして残るものを持って帰れと言われて、ソムリエの資格を勧められたのがキッカケでした。

 

――なるほど。ソムリエの試験って、どんな内容なんですか?

長谷川さん:筆記、テイスティング、口頭試問です。今はサービスの試験もあるらしいですよ。筆記は記憶していればどうにかなりますが、テイスティングは経験が大切で。産地、品種、色調は多くのワインに触れていないと分かりません。入社して1年目は試験日に間に合わなくて断念、2年目は試験をなめていたら痛い目に、3年目でしっかり勉強してギリギリで受かりました(笑)。

 

きっと、欲しいがそこにある。「新潟長谷川屋」の使い方。

――千葉での修行は、何年間だったんですか?

長谷川さん:自分自身としては5年を考えていましたが、ダラダラいても変わらないから3年で帰れと社長に言われていたので、ソムリエの資格を取った2016年に新潟へ戻りました。

 

――ついに「新潟長谷川屋」の長谷川陽路が誕生したわけですね。

長谷川さん:はい(笑)。地酒屋として25年前にリスタートしたので、日本酒の大切さを伝えることが大切だと考え、戻ってきてからは、今まで行けていなかった新潟市内へ「こんないい酒がありますよ」と、いろいろな飲食店に営業をしに行きました。越淡麗辛口の新潟らしい日本酒はもちろん高クオリティーですが、他県の日本酒も知ってもらった上で、改めて新潟の酒っておいしいなと感じてもらいたかったので、あえて県外酒をオススメしていましたね。

 

――だから「新潟長谷川屋」には、県外の日本酒も多く並んでいるんですね。ちなみにワインは?

長谷川さん:もちろん、ワインも徐々にインポーター(輸入業者)と繋がっていき、ラインナップを増やしていきました。今でも増え続けています。自分が飲んでおいしいワインを揃えるようにしていて、最近ではナチュラルワインにこだわっています。農薬を使わないで育てられたブドウを使っているのでダイレクトにその物の味が伝わりますし、ブームとは言え、一過性では終わらないと思っています。オーガニック食品の一部かなって。

 

 

――ワイン以外にウイスキーをはじめとした洋酒も増えてきた印象です。これらも長谷川さんが?

長谷川さん:ウイスキーなどは別の担当がいます。チーム制じゃないですが、ワイン、ウイスキー、ビールは担当を分けて、日本酒は全員が担当しています。個々の得意分野を担当することでラインナップが充実し、プロがたくさんいる酒屋になるんです。なので「新潟長谷川屋」は、ひとつの店にたくさんの専門店が集結していると思って、お酒選びを楽しんでください。

 

――最後に。専門店が集結した「新潟長谷川屋」を、どんな風に利用してもらいたいですか?

長谷川さん:自分用のお酒を探したり、誰かへの贈り物を探したり、何かを見つけに来てください。とにかく何かが必ずある酒屋なので、気になったラベルからでも、「これってどんな酒?」って聞いてもらえればプロたちが何でもお応えします。何かおいしい酒が見つかる酒屋。それが「新潟長谷川屋」です。

 

冬季開設!ワインスペースが広くなる?

修行してきたことを存分に生かし、幅広いラインナップ展開を魅せる「新潟長谷川屋」。今後の展開についてうかがうと「今年の冬には、ワイン専用の建屋を建設する予定です。温度管理ができれば、並べられていないワインももっと知ってもらえるので」と、長谷川さん。自身の晩酌でもワインを飲むまでのワイン好きへと変貌を遂げた「新潟長谷川屋」3代目が隠し持つ秘蔵の逸品が、日の目を見るのも近そうです。

 

 

 

新潟長谷川屋

新潟県新潟市西蒲区鷲ノ木273

0256-72-2858


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