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胎内市の活性化に向けて活動する「BASE CRAFTER」。

以前Thingsで取材をした養老牧場「松原ステーブルス」の敷地内に、去年の秋、キャンプ場がオープンしました。運営しているのは胎内市出身の4人組「BASE CRAFTER(ベース クラフター)」の皆さん。地元胎内市を盛り上げようとキャンプ場の運営の他にもさまざまなことに挑戦しています。今回はメンバーの小熊さんと平野さんに、出会いのきっかけや活動への想いなどいろいろとお話を聞いてきました。

 

BASE CRAFTER

小熊 龍太郎 Ryutaro Oguma

1995年胎内市生まれ。山形大学工学部、同校大学院にてバイオ化学工学を学ぶ。卒業後、胎内市の企業へ就職し、研究開発部門で働く。2021年5月から「BASE CRAFTER」の活動をスタート。

 

BASE CRAFTER

平野 伸哉 Shinya Hirano

1995年胎内市生まれ。新潟医療福祉大学にて管理栄養士の資格を取得。卒業後は栄養士として、東京や阿賀町で働く。その後、ワーキングホリデー制度を利用するため仕事を辞めるが、コロナ禍の影響で海外渡航ができなかったため、自身の得意分野を生かしてフォトグラファー、英会話講師として働く。2021年5月から「BASE CRAFTER」の活動をスタート。

 

胎内を盛り上げたい。その想いから集結したメンバーの活動とは。

——まずは、どんななりゆきで「BASE CRAFTER」の皆さんが出会ったのか教えてください。

小熊さん:僕たちは同い年4人のメンバーで、「胎内市を盛り上げたい、元気にしたい」という想いで活動しています。僕と平野くんの他には、農家の桐生くんと「乙まんじゅうや」の久世くんがいます。以前から、僕の同級生でもある桐生くんと「胎内をどうにかしたい」って話をしていました。そしたらある日、平野くんからInstagramのメッセージが送られてきまして……。

 

平野さん:その頃、僕は「地元に貢献したい」と思っていたので、いろいろなところにアンテナを張っていたんです。それで小熊くんのInstagramに「胎内でおもしろいこと計画中」と書いてあるのを見つけて、すぐに連絡をしたんです。会ってみたら、偶然同じ年だったからびっくりしました。

 

小熊さん:一緒に飲みに行って、それから数日後に焚き火イベントをしたよね。4人目のメンバー、久世くんは僕たちの共通の知り合いだったので「一緒にやろう」って声をかけました。

 

——具体的には、どんな活動をされているんですか?

小熊さん:今はキャンプ場の運営とハーブを使った地域おこしに携わっています。あとはマルシェを開催することもあります。

 

——取り組みについて、ひとつずつお聞きしますね。まずはキャンプ場の運営ついて教えてください。

小熊さん:胎内市の養老牧場「松原ステーブルス」に隣接する敷地で、2021年の11月から「SLOW PADDOCK」というキャンプ場の運営をしています。キャンプ場の環境整備や予約対応、広報が主な活動です。

 

 

——皆さんがキャンプ場をはじめるまでは、この場所は空きスペースだったんですか?

平野さん:「松原ステーブルス」のオーナーの松原さんがたまにキャンプなどをしていたようです。去年の秋、僕たちのことを知った松原さんから「敷地を提供するから、キャンプ場として活用してみない?」と声をかけてもらったのがきっかけでキャンプ場をはじめました。僕たちに任せてもらえることが嬉しくて、「ぜひお願いします」と即答しました。

 

——「SLOW PADDOCK」は、どんなキャンプ場なんでしょう?

小熊さん:競走馬や乗馬クラブから引退してのびのび暮らしている馬と一緒に、利用者さんにもゆったりとしたひと時を過ごしてもらえるキャンプ場です。特徴的なのは、焚き火台なしで地面に直接火を焚けられるところです。オートキャンプ場とはちょっと違う、ありのままの自然の中でキャンプをすることができます。

 

平野さん:僕たちはこの場所を自然と一体になれるアウトドアフィールドだと思っています。喧騒から離れて、作業をしたり仕事をしたりするスペースとしても利用してもらいたいと思っています。ちなみに、僕はよくここで写真の編集作業をするんですよ。

 

——次に、ハーブを使った地域おこしについても教えてください。

平野さん:大長谷という限界集落で、地域おこし協力隊のメンバーや地元の人と一緒に草刈りなんかの作業をしながらハーブを育てています。そのハーブをさっと煮出したシロップを炭酸で割るととても美味しいんですよ! 特にラベンダーから作ったハーブシロップは大人気です。

 

小熊さん:このハーブシロップを製品化して、胎内の新しい名産として全国に広めていきたいと思っています。今後は地元のビール園さんにも協力してもらおうと動いているところです。

 

人と人をつなげて大きな輪に。「胎内を盛り上げる土台」を作るのが使命。

——ところで、「BASE CRAFTER」という名前にはどんな意味がこめられているんでしょう?

小熊さん:僕たちの使命は「いろいろな活動をしている人同士をつなげて、大きなひとつの輪にすること」だと思っています。それが「胎内市を盛り上げる土台」になるはずなんです。そこから「BASE CRAFTER」という名前に決めました。

 

——なるほど、「土台を作る人」ってことですね。

平野さん:そのための活動として、「SLOW PADDOCK」のスペースを使ってマルシェを開催しています。マルシェでは出展者さん同士のつながり、来場者さんと出展者さんのつながりなどを作りたいと思っています。

 

小熊さん:直近では今年の5月に胎内の企業や店舗、胎内で活動されている人、何かに挑戦したいと思っている人にお声がけをして、16店舗ほどにマルシェに参加していただきました。

 

 

——5月のマルシェはどんな様子だったんですか?

小熊さん:正確には集計できていないんですけど、300名以上の方に来ていただき大盛況でした。自分たちの活動がしっかり発信できたと思いますし、僕たちの認知度も高まっていると手応えを感じることができました。開催後にいくつか反省点が見えた意味でもよかったです。

 

平野さん:当初の想定としては、こんなにたくさんの方に来ていただけるとは思っていなくて、びっくりしました。僕たちの思いに共感してくれる人たちがこんなに増えたんだ、ってすごく嬉しかったです。「胎内を盛り上げたい」という僕たちの想いは伝わっていると実感できました。

 

この先もまちを持続させるために、地域課題の進行にブレーキをかけたい。

——活動をはじめて、どんなところがよかったと思いますか?

小熊さん:「地域を盛り上がるためには、人と人がつながることが必要だ」と確信が持てたことですね。

 

平野さん:僕は数年前にワーキングホリデーで海外に行こうと思っていたんです。その頃は地元に対する愛着みたいなものがあまりなかったんですね。でも、この活動をしてから、自分が胎内に住む意味を確認することができました。胎内で仲間と一緒に「BASE CRAFTER」の活動をすることが、自分がここに生きる意義だと思えるようになったんです。

 

——「胎内のために」と思う気持ちはどこからきているんでしょう?

小熊さん:単純に「胎内が好きだ」という気持ちもありますし、「自分たちの子供、その次の世代にも胎内を持続させたい」と思っているんです。胎内市の人口は3万人を割っていて、今後も減少傾向にあります。高齢者の比率が高くなって、将来なくなってしまう集落もある。この問題にブレーキをかけたいです。

 

小熊さん:胎内で作られたものが胎内に還元されることで、まちが持続する力になると思うんです。そんな活動を僕たちと僕たちの周りの人たちで生み出していきたいです。それと、僕たちの姿を見聞きした人が「田舎でもおもしろいことをしながら、生活できるんだ」と思えるロールモデルになりたいです。

 

 

 

BASE CRAFTER

 

キャンプ場 SLOW PADDOCK

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