Things

ついに創刊!『Things Magazine』本日発売、ということで。

本日5月30日、『Things』発の新雑誌『Things Magazine』が発売となりました! 今月に入ってからずっとトップページに告知のバナーが出ていたので、気にしてくれていた方、予約してくれた方、いらっしゃるかと思います。気にするつもりはないけれどバナーが邪魔で気になっていた、という方もいるかもしれません。とにもかくにも、雑誌ができました。今日は、いつもの取材記事をお休みさせてもらって、実際に制作に携わったディレクターとエディターの『Things Magazine』にまつわる談話というかたちで、雑誌のご紹介をいたします。

 

Things

金子 結乃 Yuno Kaneko

1999年三条市生まれ。龍谷大学社会学部社会学科卒。2021年4月に「JOEMAY」に入社。2022年から『Things』エディター/ライター。

 

Things

藤田 雅史 Masashi Fujita

1980年新潟市生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒。小説、エッセイ、戯曲、ラジオドラマを執筆。著書に『ちょっと本屋に行ってくる。』『グレーの空と虹の塔 小説 新潟美少女図鑑』『サムシングオレンジ』シリーズなど。2019年の『Things』立ち上げからディレクターを務める。

 

読者の皆さんいつもありがとうございます!Thingsの雑誌、できました!

藤田:さて、ようやくできましたね、『Things Magazine』。

 

金子:できましたね!

 

藤田:発売を記念して、今日だけ特別バージョンというか、読者の皆さんに感謝をお伝えしつつ、宣伝もするという、いかにも手前味噌な体裁の記事でいかせてもらいます(笑)。金子さんには去年から『Things』の編集をメインでやってもらっていて、この2〜3ヵ月は『Things Magazine』の制作の仕事に没頭してもらいました。

 

金子:『Things』は私が入るずっと前の、2019年の春からはじまって、ウェブマガジンとして続いてきてたわけですけど、藤田さんはその4年のあいだ「いつか雑誌にしたい」とずっと思っていたんですよね?

 

藤田:そう、思っていたんです。『Things』を運営している「JOEMAY」さんは印刷会社さんなので、「そりゃあ紙で何か作らなきゃいけないだろう」と僕は勝手に思っていました(笑)

 

金子:ですよね(笑)

 

藤田:でも、それとは別に、純粋に『Things』で雑誌を作りたい、このウェブマガジンを何かかたちにしたい、という気持ちが今回のマガジンのスタートです。

 

50人のインタビュー・ダイジェストを中心に雑誌化!

金子:雑誌を編集するにあたって、これまでの1,500本近い記事の中から50本を選びました。正確には49本+ウェブ未掲載のインタビュー1本ですけど、私はそのほとんどの再編集の仕事をさせてもらいました。

 

藤田:記事って、どういう基準で選んだんだっけ?

 

金子:私と、ずっと編集長をやられている近藤さんとで、まず最初のリストを作って、そこからジャンルが偏らないようにバランスをみて、ですね。

 

藤田:僕は記事を選ぶ中で、どうしてもやっぱり個人的な思い入れとか、好みが出ちゃうんだけど、金子さんはどうでしたか?

 

金子:そうですね、私の場合も、読者のことを考えてというより、自分が読んで好きだった記事とか、これをぜひ他の人にも読んでほしいなと思うような記事を選びました。けっこう知られている有名なお店でも、「でも、こういうことはみんな知らないだろうな……」とか。

 

 

藤田:やっぱりそうなるよね。僕は「信吉屋」さんを載せられたのは嬉しかったな。ディレクター権限で、勝手に2ページ増量しちゃいました(笑)。あと、4年近くやっていると、制作する立場でその時々のターニングポイントみたいな記事があるんです。その中のひとつが「shokudo MORISHIGE」さんで、取材してくれた近藤くんの写真もすごく綺麗だったし、「あ、こういう素直で雰囲気のいい記事がもっと増えれば、このメディアはきっとよくなる」ってそのとき思えたんですよ。だから今回、載せたかった。金子さんは何かありますか?

 

金子:私は、そうですね……「壺静たまき工房」さん。墨壺職人さんのことって、なかなか知る機会ないですから。

 

藤田:いいよね。この記事をきっかけに興味を持ってくれる人が増えたり、それこそ『Things』で知って、他のメディアさんが取材に行ってくれたりしたら嬉しいよね。伝統的な技術って誰かに知られないと、いつか、なくなってしまうから。記事で何かを「伝える」って、僕らは普段何気なくやっちゃってるけど、こういうときにメディアの役割とか意義とか、そういうのを考えるよね。

 

ちょっと知って、ちょっと好きになる。そういう雑誌を目指したい。

藤田:雑誌を作っていく中で、金子さんは印象に残っていること、ありますか?

 

金子:取材先の方に「雑誌を作ることにしたので、掲載させてもらえませんか」と改めて連絡をしたんですけど、取材がずいぶん前だった方でも『Things』の取材のことを覚えていてくれて、「掲載の後でこういうことがあったから、載せてもらってよかったです!」っていうお話を聞かせてくださったり、私が実際に取材をさせてもらった方からは「こんな反響があったよ」と言っていただいたり、そういうコミュニケーションは嬉しかったですね。

 

藤田:作り手として冥利に尽きる思いだよね。

 

金子:ですね。これから自分が『Things』の仕事を続けるモチベーションにもなりました。藤田さんはこの雑誌をどんな雑誌だと思っていますか?

 

藤田:新潟で暮らしている人たちに、新潟の人を紹介するわけだから、そこにはやっぱり知り合いが登場していたりすると思うんですよ。あるいは、「顔だけは知ってるけど、話したことはない人」とか「知り合いの知り合い」とか、「あ、たまに行くお店の人だ」とか。それで、こういう雑誌を読んで「へえ、あの人はこんなこと考えていたんだ」「こういう理由でお店やっているんだ」って、さわりだけでもちょっと知ると、前よりちょっと好きになったり、前より気になったり、より親近感がわいたりすると思うのね。

 

金子:そうですよね、わかります。知らないお店でも、どんな人がやってるかわかると、親しみがわきますよね。ところで「ちょっと好きになる」っていうのは、「ちょっと」でいいんですか?

 

藤田:何か大きなことを語ったり伝えたりするんじゃなくて、ちょっと知って、ちょっと好きになる。そういうものでいいんだと思います。大きなこととか、もっと詳しいこと、深いことを知りたければ、直接そのお店に行ってください、その人の作ったものを食べてみてください、でいいわけで。だから「これはインタビュー雑誌です」と言ってしまうと正直、物足りないんだけど、何かのきっかけの雑誌、タイトルの通りの、まさにちょっとした「何か」みたいに見てもらえたらいいなと思っています。

 

金子:登場するのが近い人たちだから、っていうのがポイントなんですよね。

 

藤田:東京とか海外の有名人じゃなくて、同じ町、同じエリアにいて、顔を見たいと思ったら見に行けちゃう距離の人の姿を見ると、「この人がこんなふうに頑張っているなら、自分ももうちょっと頑張ってみよう」とか「自分にも何か新しいことができるんじゃないか」とか、感じやすいんじゃないかと思って。この『Things Magazine』はそういう雑誌でありたいな、とも思っています。

 

雑誌というかたちで、『Things』をこの世界に残したかった。

金子:ところで『Things』のインタビュー形式は、最初からこのスタイルなんですか?

 

藤田:最初の頃は、インタビューじゃない記事もあったんですよ。でもやっていくうちに、これは全部インタビューで統一した方がいいなと思って。インタビューって、本人の口から出た言葉で記事を構成するわけなんだけど、そういう直接的な言葉って、やっぱり「本当のこと」なんだよね。こういう小さな、ローカルの、吹けば飛ぶようなメディアは、何よりそれがいちばん大事だな、と思うんです。丁寧さ、正直さ、誠実さ、みたいなものが。

 

金子:そういうのって読者の方も記事を通して感じることですよね。

 

藤田:誰かが紹介したり、誰かを挟んで語られる間接的な情報って、読む側も、紹介する人の評価とか主観を受け入れることから入るのね。そうすると、間に入った人が感じる「いいこと」「悪いこと」を聞くことになるわけ。で、読者自身がそれを求めちゃうの。だけど、インタビューみたいな直接的な情報って、「いいこと」を聞きたいんじゃなくて「本当のこと」を聞きたいのよ。「本当のこと」だと思って目で追って、耳を傾けるの。インタビューの本質ってそこにあると思うんです。だから、そういう意味で、どうせ作るならできるだけ正直なメディアを作りたいな、って思ったんです。

 

金子:で、今回はそれをちゃんと目に見えるかたちで残したかった、ということですよね。

 

藤田:うん、別にね、雑誌だから、どんなふうに扱ってもらっても構わないんですよ。全部目を通さなくても、読みたいところだけつまみ食いするように読んでもらえればいいし、そもそも読まなくても表紙が好きだから本棚に飾るためだけの本とか雑誌とかもあっていいし。雰囲気だけを買う、みたいなことだってあるし。むしろそういう「この雰囲気が好き」みたいな雑誌になりたいよね。ディスプレイの中の「情報」ではなくて、ひとつの「物」として。思えば、高校生とか大学生とかのときに自分が好きだった雑誌も、その中の情報よりも、その物としての存在感が好きだったから。そんなふうに、ただただ、楽しんでもらいたいです。

 

金子:表紙カバーの帯に「創刊」と書かれていますけど、ということは次もあるんですかね?

 

藤田:それは……わからないですね(笑)。求めてくれる人がいるか、あるいは、作りたい人がいるか。何を作るにしても、需要と情熱のどちらかは絶対に必要だから。

 

金子:まずはこの『Things Magazine』を多くの方たちに知って、手に取ってもらいたいですね。

 

藤田:手に取ってもらって、できたらほんの少しでも、気持ちが動くものを見つけてもらいたいです。

 

 

 

『Things Magazine』

2023年5月30日発売

定価1,500円+税

新潟県内各書店/新潟市内のセブンイレブン各店にて販売。

オンラインストアでも送料無料で販売中。

 

<イベント情報>

「上古町の百年長屋SAN企画 Things Magazine出版記念イベント」

場所:上古町の百年長屋SAN 2階

日時:6月2日(金)19:00スタート

予約窓口:SANのInstagramメッセージ

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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