ポスターやフライヤー、ステッカーがたくさん張られた扉を開けると、まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような店内が。「The Simpsons(ザ・シンプソンズ)」「STAR WARS(スターウォーズ)」をはじめとしたアメリカのおもちゃ、パーティーで活躍しそうな面白グッズ、着ていたら誰もが振り向くエッジの効いたTシャツなどなど。とにかく「COSMIC FARM(コズミックファーム)」には、店主の野俣さんのアンテナに引っかかったアイテムがたくさん。ちょっと変わった雑貨屋さんのアレコレ、たっぷりどっさり、その引き出しを開けてもらいました。
COSMIC FARM
野俣邦匡 Kunimasa Nomata
1978年新潟市生まれ。建築会社、カー用品店など、さまざまな業種を経験して行き着いたのは、「COSMIC FARM」の発祥ともいえる雑貨店「VILLAGE VANGUARD(ビレッジヴァンガード)」。最近の趣味は、家庭菜園。カボチャや玉ネギなどを育てて、カレーを作るのが楽しみ。
――野俣さんが雑貨(生活雑貨からおもちゃ、アパレル全般をまとめて雑貨とします)にハマったキッカケを教えてください。
野俣さん:子どもの頃にビックリマンシールやキン消し(キン肉マン消しゴム)を集めていたのがキッカケかもしれません。「ドキドキ学園」のキャラクターシールも集めていましたね。
――「ドキドキ学園」ですか?はじめて聞きました。
野俣さん:「夜になると光る、ふしぎな変身シール」として発売された、おまけシール付きのウェハースチョコです。インパクトのある色使いが好きで、今好きなデザインの基盤になったんだと思います。
――見せてもらうと、これはビックリマンシールみたいな感じですね(笑)。
野俣さん:まぁ、近いというか何というか(笑)。あと、家庭環境もありますね。両親がコカ・コーラグッズを集めていたり、はじめて観た映画が「E・T」だったりと、そっち方面のカルチャーと触れ合う機会は多かったかもしれませんね。
――大人になってからは、どのような雑貨に興味がありましたか?
野俣さん:もちろん、フィギアなどのおもちゃは今も大好きです。一時は、限定アイテムを買うために東京まで行ったりもしていました。Tシャツとか洋服やスニーカーを集めるのも好きですし、価値は分からないけど骨董品とか、日本画から現代アート、Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)などのポップアートも。「集めないものって何なの?」って聞かれるほど、いろいろなものを集めてしまうんですよ。収集癖ですね(笑)。
――だから、お店にはさまざまなアイテムがラインナップされているんですね。
野俣さん:今でこそ通路がありますが、昔は集めすぎてほとんど通路がなかった時期もありました。2組も来店されると見たい場所にいけなくって、店内で渋滞が起きていましたね。
――野俣さんは、どうして雑貨屋さんをはじめようと思ったんですか?
野俣さん:はじめは雑貨屋ではなく、何かしらのお店を自分でやりたいなって思っていました。ただ、何をするにしてもお店の仕組みを知らないとって思い、元々お客として通っていた、今はなくなってしまった古町「WITHビル」内にあった「VILLAGE VANGUARD」で働きはじめたんです。コアなアイテムがめちゃくちゃ揃っているし、好きなモノに囲まれて働いたら楽しいだろうなって、甘い考えでスタートしました。
――古町にあった「VILLAGE VANGUARD」の品揃えは凄かったですよね。噂では、今では販売できないようなモノまであったとか、なかったとか…。
野俣さん:90年代を代表するサブカル雑誌「BURST(バースト)」とか、かなり尖ったモノもありましたね。そんなラインナップなので、スタッフもお客さんも変なモノが好きなヒトが多くて(笑)。同じ趣味嗜好を持ったヒトにたくさん出会いました。でも現実は甘くもなく、仕事そのものは辛かったですけど…。そんなこんなで、たくさんの雑貨に囲まれて仕事をしていたら、やっぱり自分は雑貨が好きなんだなって確信したんです。
――それで雑貨屋をはじめようと思ったんですね。
野俣さん:それと、イオンなどショップインショップの出店が多くなった時期、というのもありました。時代の流れとかお店を構える場所の問題もあり、なかなか自分が面白いと思った商品を販売することができなくなってきたんです。そんなモヤモヤもあり、自分のアンテナに引っかかった雑貨を中心としたお店をしたいなって思ったんです。
――確かに家族で行く場所では、エッジの効いたアイテムは並べられないですよね…。
野俣さん:オープンした当初は、雑貨屋なら生活雑貨も揃えないとって思い、皿とかコップも販売していましたが、今では自分が好きなモノばかりをラインナップしています。本当に自分が欲しいかどうかを基準として「自分の好きなモノがたくさんある部屋」をコンセプトに。「COSMIC FARM」は、0~200歳までが楽しめる遊びのスポットとして12年を迎えました。
――店内にはさまざまな雑貨が陳列されていますね。ジャンルの幅がありすぎるので、ザザッと簡単に紹介してください(笑)。
野俣さん:「The Simpsons」「McDonald(マクドナルド)」などアメリカ系のフィギアや文具などの雑貨、知り合いを中心としたバンドCD、ユニークなキーホルダーやパーティーグッズみたいなアイテムなどなど。まぁ、なんでもありますね。
――数えられないくらいの品数ですよね。最近の傾向はありますか?
野俣さん:「BOOT COUTURE SKATEBOARD(ブートクチュールスケートボード)」とか、オールドスクールのスケートボードアイテムをはじめとしたアパレル関係は、最近では増えていますね。ビックリマンをモチーフにしたTシャツなんかは、かなりの人気です。
――これまたエッジの効いたデザインじゃないですか。
野俣さん:新潟のアーティスト作品や、仙台在住の友人がリリースしているオリジナルTシャツなどもあります。輸入品や少数生産のコアなアイテムはもちろんですが、燕三条の無形文化財「鎚起銅器(ついきどうき)」をベースに作られたバングルなど、地域色のある商品なんかも揃っています。
――どこに目をやっても、目新しいアイテムが顔を覗かすので、何時間でも居られる空間ですね。
野俣さん:自分が気に入った商品を揃えているので、どうしても30~40代のアンテナに引っかかるラインナップにはなってしまいますが、小学生もふらっと来たりするんですよ。子どもの頃からこんなお店に通っていると、かなり尖った感度を持って成長してビックリします(笑)。とはいえ、どの年代の、どんなヒトが来ても驚きやワクワクが必ず見つけられると思うので、何かを見つけに行こうと思って来てみて欲しいですね。
野俣さんに、雑貨屋ならではの楽しみをうかがうと「コアなモノをちょっとずつ増やしていく過程が楽しい」と、さずが収集癖のある店主らしい答えが返ってきました。「COSMIC FARM」は、オープンして12年。アーティストや作家のアパレル商品が増えてきた最近、「BOOT COUTURE SKATEBOARD」をはじめ、今までは自分の中で内緒にしていたお気に入りのブランドやアイテムを、ちょっとずつ引き出しから出しはじめたそうです。「みんなに買われてしまうからちょっと…」そんな後ろ向きな発言をしながらも、商品を語るその瞳は輝いていました。「どこにでもある何か」を買うのではなく、キラキラと光る雑貨に出会う場所。それが「COSMIC FARM」。今日は何があるかなと、期待に胸を膨らませて遊びに行けるお店との出会いでした。
COSMIC FARM
新潟県新潟市西区内野町1357
025-378-6061