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赤ちゃん連れでも安心して泊まれる、JR弥彦駅前「割烹の宿 櫻家」。

夏休みを利用して旅行を考えているご家族も多いと思いますが、赤ちゃんや小さなお子さんがいるとなかなか難しいものです。そんなファミリー層の大きな味方がJR弥彦駅の真ん前にある「割烹の宿 櫻家(かっぽうのやど さくらや)」です。玄関に入ると気さくな女将さんが笑顔で出迎えてくれました。

 

 

割烹の宿 櫻家

川上 志保 Shiho Kawakami

1971年西蒲原郡弥彦村生まれ。東京の外語専門学校で英語を学んだ後、エステティシャンとして1年間働く。新潟に戻り化粧品会社で働き、結婚を機に「割烹の宿 櫻家」の若女将となる。9年前からは大女将としてご主人を助け、旅館の運営をまとめている。「Number_i」の平野紫曜(ひらのしょう)を応援している。

宴会で連日賑わっていた、老舗の割烹旅館。

——本当にJR弥彦駅の真ん前なんですね。アクセス抜群じゃないですか。

川上さん:駅前という立地を生かして、大正5年に食堂兼みやげ物屋として開業したんです。今年で創業110年になります。

 

——おお、長い歴史があるんですね。旅館をはじめたのはどうしてなんですか?

川上さん:新潟国体の開催のときに宿泊にも対応するようになり、昭和49年に「櫻家旅館」として営業をはじめたと聞いています。旅館業をはじめるにあたり、先代は東京の品川プリンスホテルで修業して料理の腕を磨いてきたんです。私の夫も同じく修業をしてきました。

 

 

——これまで特に力を入れてきたことはありますか?

川上さん:金属加工が盛んな燕市の企業さんから接待にご利用いただくことが多かったので、ずっと宴会をメインに営業してきました。毎日夜遅くまで宴会が続くような状況で、全盛期には50人以上の芸妓さんが弥彦温泉にいました。でも今では10人くらいしか残っていないんですよ。さみしいですね。

 

——ちょうど高度成長期からバブル景気の頃でしょうか。

川上さん:そうですね。時代の流れと共に接待や宴会が減っていったので、それからは平成元年に大浴場や客室の増設をして宿泊に力を入れるようになっていきました。

 

旅館の女将として味わった、苦労と喜び。

——川上さんはどういういきさつで「櫻家」の女将さんに?

川上さん:東京の貿易会社に、事務員として就職したんですが、エステティシャンの仕事に回されたんです。新潟に帰ってからはその経験を生かして化粧品会社で働いていました。そんなときに同級会で主人に再会して、結婚を期に「櫻家」の若女将になったんです。

 

——慣れない旅館業で苦労されたこともあったんじゃないですか?

川上さん:当時の板長さんは昔気質の頑固な職人さんで、「櫻家」のなかでも絶対的な権力を持っていたんです。私も若くて生意気なところがあったので、よく衝突していましたね(笑)。でも、おかげでいろいろなことを教わることができたと思っています。

 

——そういうの、ドラマで見たことがあります。「旅館あるある」なんですね(笑)

川上さん:私はもともと人見知りで、人と話すことが苦手だったところもあるんですよ(笑)。お客様への接客は平気なのに、スタッフとのコミュニケーションには苦労しましたね。今、当館には若いスタッフが多いので、上手に育成できるよう日々勉強しています。

 

 

——お話していると、人見知りとは思えません(笑)。では旅館業をやってきて楽しいと思うことがあったら教えてください。

川上さん:新しいことを企画することが好きなので、いろいろなイベントを企画してきました。お向かいの空き物件を借りてイベントを開催したこともあるんです。

 

——へぇ〜、どんなイベントを開催したんですか?

川上さん:マッサージのワンコイン施術とか、鉢植えや雑貨の販売とかをやりました。当館のロビーでも当時置いてあったグランドピアノを使って、ジャズイベントを開催したんです。近所の方からは「飲みに出るきっかけになった」と喜んでいただけましたね(笑)

 

——そのイベントは今も続いているんでしょうか?

川上さん:昨年から開催している「YAHIKO JAZZ FESTA!」というイベントに実行委員として参加しています。JR弥彦駅やヤホール、おもてなし広場、弥彦神社といった施設やお店がそれぞれ会場になって、ジャズのステージを楽しむことができるんです。もちろん当館も会場になっています。今年は9月28日に開催する予定で、チケットも販売中です。

 

料理が自慢な、赤ちゃんにやさしい宿。

——名前に「割烹の宿」とついているということは、お料理が自慢の旅館なんですよね。

川上さん:もともと宴会を中心に営業してきたこともあって、お料理には力を入れています。特に今の板長は勉強熱心な方なので、珍しい地元食材を見つけては料理に生かして、ここでしか食べられない料理を目指しているんです。生産者から直接仕入れをしているだけではなく、休日には生産者の元に足を運んで農業体験をしたりしています。

 

 

——とても向上心のある板長さんなんですね。

川上さん:スタッフ達もおもてなしの先生をお招きして勉強会を開いているので、自信を持って接客にあたることができるようになりました。

 

——それは心強い。ちなみに、どんなお客さんが多いんですか?

川上さん:これまでは中高年のお客様が多かったんですけど、最近は家族連れのお客様が増えました。うちはお客様に恵まれていて、まったくと言っていいほどトラブルがないんですよ。本当にありがたいですね。

 

——それは素晴らしいです。ところで、家族連れのお客さんが増えたのはどうしてなんでしょう。

川上さん:「赤ちゃんにやさしい宿」というコンセプトを掲げて、赤ちゃん連れのご家族が安心して宿泊できるよう心掛けているんです。浴場には赤ちゃん用のバスチェアやベビーバス、ベビーソープなどをご用意していますし、お食事には手作りの離乳食もおつけいたします。

 

 

——小さい子どものいるファミリーには嬉しいサービスですね。

川上さん:お食事やお掃除など気を使うことは多いですけど、この周辺で「赤ちゃんプラン」をやっているところはないので、ご利用いただけるお客様が増えました。宿泊してくださったお客様がリピートしてくださると嬉しいですね。

 

——床が畳になっているのも、赤ちゃんや小さい子どもへの配慮ですか?

川上さん:それもありますけど、お掃除が楽で清潔に保てるんですよ。私は本来怠け者なんですけど、お客様が喜んでくれることや旅館の内装を考えたりするのは大好きで、お休みの日でもずっと考えているんです。弥彦のお土産品なんかも考えたりしています(笑)。弥彦には浴衣で町歩きできる観光サービスがあるんですけど、人手が足りないので、着付けを勉強して少しでもお手伝いできたらと思っているんです。それ以外にも弥彦の観光をお手伝いして、盛り上げていけたらと思っています。

 

 

割烹の宿 櫻家

西蒲原郡弥彦村弥彦1043-41

0256-94-2009

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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