古着だって、人生のコトだって教えてくれる「BANANAS」。

店内が見えない緊張感。そこには、ヒップでアナログな店主が待っている。

黒崎ICから青山海岸へと向かう道中の小針坂の麓。ふと道路脇に目をやると、ちょっと不思議なイラストが描かれたショップが目に入る。ほとんど中の様子を見ることができないので、「これは何のお店かな?」と疑問を抱く人も多いはず。その答えは、ドアを開けばすぐにわかる。ここは古着屋「BANANAS(バナナス)」。まるでバイナルをディグるかのように、洋服との出会いを探す場所。そして、そこはたくさんの「人生」を教えてくれる店主の馬場さんが待っている場所でもある。このお店のコト、馬場さん自身のコト。めちゃめちゃ高い熱量で、たくさん教えてくれました。

 

BANANAS

馬場鉱次 Koji Baba

1977年新潟生まれ。上武大学を中退後、バーテンダーや美容師などを転々とし、建設会社時代には六本木ヒルズの建設にも携わる。さまざまな経歴を経て2012年に新潟市西区に古着屋「BANANAS」をオープン。バックパッカーとして世界を旅したことも。

 

古着屋という職業。はじめたキッカケは「どうしようもなくダメな先輩」。

――馬場さんは、昔から古着を着ていたのですか?

馬場さん:ガキの頃から古着は好きだったね。昔の古着屋って、ファッションも、音楽も、酒も、とにかく遊びを教えてくれる場所だったから、よく通っていたんだ。そんな店、今ではほとんどなくなっちゃったけど。ちなみに古着は好きだけど、ずっと古着屋をしているわけではないからね。

 

――え?そうなんですか?最終的に行き着いたのが古着屋ですか?

馬場さん:大学を中退してからは建設会社で働いたり、バーテンダーや美容師もしてたね。バックパッカーとして旅をしていた時期もあったし。友人とIT会社を立ち上げたりもしたしね。東京で暮らしていて、7年前に新潟に戻ってきてから古着屋「BANANAS」をはじめたんだ。

 

 

――まったく今とは違う生活をしていたんですね。どういったキッカケで古着屋を?

馬場さん:100人に聞いたら、100人がダメな奴っていうほど、ダメな先輩がいるんだけど。その人に誘われて、だね。

 

――いやいや…誰に聞いてもダメな人の話に乗ったらダメですよ(笑)

馬場さん:それがさぁ、今の大人って注意をしないじゃん? 人としてしっかり挨拶をして、目を見て話してとか、そういう基本的な部分を特に。その人はそういうことを教えてくれたり、音楽とか面白いカルチャーをたくさん教えてくれた恩のある先輩だったから。でも一緒にはじめて半年経ったらいなくなったよね(笑)

 

――いなくなったんですね(笑)。そんな状況でも続けた理由は何ですか?

馬場さん:何かを壊すのって簡単なんだよ。「やーめた!」って手を挙げればいいだけだから。でも、そういうのが嫌いで、はじめたからには壊したくなかったし。洋服って所詮はモノでしかないんだけど、ビンテージ(古着)には先人の考えとか、さまざまな背景があるんだよ。人として大切な部分も一緒に伝えられたらなって。変な格好して、タトゥーとかあるけど、ギャップがあっていいでしょ?

 

ただのシャツだけど、着ている洋服について自分で語れたらカッコイイじゃん。

――古着って時代がどんどん積み重なる分、たくさんあると思います。どうやって自分なりのアイテムを見つけたらいいですか?

馬場さん:大人だから、日本だからって理由で、タトゥーとかのカルチャーに厳しい目が向けられるじゃん? でも洋服ぐらい、自由でいいと思うんだよね。制服を着て仕事をしたり、スーツを着たりだけじゃなく、普段と違う自分を出せて、その人の鏡となるのが洋服だと思う。人生そのものというか。だから自分で「コレだ!」って思える洋服を着ればいいんじゃないかな?

 

――最近ではファストファッションが増えたり、流行りに乗っかる同じようなファッションが増えましたよね。自分らしさを見つけられていないというか。

馬場さん:はじめてきたお客さんに「どこで洋服を買うの?どこのブランドが好きなの?」って、質問をよくするんだけど。抽象的な答えしか出せない人が増えているんだよね。自分がないというか。でも、それって時代の流れだけが悪いんじゃなくて、アパレルショップ全般の責任でもあると思うんだよね。

 

 

――というと?

馬場さん:「この人に聞けば大丈夫!」って、カリスマ的な店員が少なくなっている。昔は人で洋服を買いに行く店を選んでいたんだよ。なんでこの洋服を着たほうがいいのか、しっかりと声として伝えてくれていたのに、今はそれがなくなっているかなって感じるよね。

 

――「BANANAS」では、どうですか?

馬場さん:はじめからこの洋服が欲しいからって、目的を持って買ったら、喜びは100%。でも欲しいものが決まっていなくて、フラッと寄っていい出会いがあったら、喜びは120%だよね。一期一会の出会いというか。だから「BANANAS」では、ひとつひとつの洋服についてしっかり語れて、何かを伝えられるよ。NYが荒れすぎていた時代に作られた、ビンテージシャツの時代背景とかね。知らない人からしたらただのシャツだけど、着ている洋服について自分で語れたらカッコイイじゃん?

 

これからの古着屋。これからの「BANANAS」。

――「BANANAS」で扱う古着は、どのようなものですか?

馬場さん:洋服は着るものだから、デイリーユースにできるモノを選んでほしいね。もちろん、マニアが喜ぶようなアイテムもあるけど。継ぎ接ぎをして着ていた野良着や着物じゃないけど、ビンテージにも壊れたら直して着る文化があるし。ファストファッションみたいに1シーズン着たら捨てるような着方じゃなくて、好きな洋服を着続けてもらいたい。

 

――ビンテージというと「LEVI’S(リーバイス)」などのイメージが強いですが、定番のビンテージアイテムもありますか?

馬場さん:もちろんあるよ。ただ、数がめちゃくちゃ少なくなっているんだよ。2003年にアメリカの工場が閉鎖されてから、アメリカ製の「LEVI’S 501」が見つけにくくなっていてさ。1,000本に1本くらいの確率かな。

 

 

――少なくなっているんですね。数は増えているものだと思っていました。

馬場さん:こういう話を聞くと、着てたらカッコイイなって思えるでしょ? 同じ「LEVI’S 501」でも、こだわりを持って、そのモノの価値を知ってさ。洋服は着られるんじゃなくて、着るモノ。

 

――ちょっと気になったんですけど、どの洋服にも値札が付いていません。どうしてですか?

馬場さん:よく若い子と話したり、飲んだりするんだけど。いつも「やりたいことをやれる人生であれ」といっているんだよね。なんでもやってみる、挑戦することが大事だから。だから“親父”ってよくいわれるんだよね(笑)。まぁ、やってみろって肩を押せるヒトでありたいから、そういってくれるのは嬉しいんだけどさ。そんなこんなで、若い子たちを応援したいから、あんまり金を取りたくないんだよね。自分が先輩たちにしてもらったようにさ。だから値札をつけないで、安くしてさ。自分が着たいと思った洋服を着てもらえたら素敵じゃん?

 

人が人を呼ぶ。武井壮がそうであったように。

歯切れがよく、自分の意見をしっかりと持っている馬場さん。思ったコト、伝えたいコトはきちんと相手にいうスタイルとあって、来店する人たちは馬場さんのことが好きなお客さんばかり。裏を返せば、嫌いな人は来ないでしょう。ただ、人を思う熱量は確か。さまざまな経験や知識から織りなされる言葉には愛があり、相手への敬意がしっかりと根底にあります。「人が人を呼ぶ。だからここにも人がくる」と馬場さん。武井壮が今の地位までたどり着いたのは、武井壮を好きな人が点となり、線となったからだとも教えてくれました。そして今、厳しい芸能界でも残っているのは本物だからだ、と。英語で「go bananas」は「気が狂う」という意味。「BANANAS」に行って、気が狂うくらい熱い話を聞いて、古着をディグるアナログな楽しみを見出せば、きっと、インターネットで洋服を買う何十倍も、何百倍もワクワクするような喜びが待っています。

 

 

BANANAS

新潟県新潟市西区小針南台1-6

025-230-5343


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