万代と古町にお店を構える「ONE DAY STORE」。今はたくさんの古着屋さんが立ち並ぶ古町エリアに、「古着の入口になるようなお店にしたい」と、9年前にオープンしました。日々お店に立つ羽根田さんと小島さん、高野さんに、お店のこと、古着のこと、いろいろお話を聞いてきました。
ONE DAY STORE
羽根田 孝太 Kota Haneda
1995年新発田市出身。新潟青陵大学に在学中、アパレルショップで働く。卒業後はキッチン用品を扱うメーカーの営業職を経て、「ONE DAY STORE」で働きはじめる。自宅ではいろんな種類の観葉植物を育てている。
ONE DAY STORE
小島 奈緒斗 Naoto Kojima
1994年新潟市出身。新潟青陵大学を卒業後、「ONE DAY STORE」で働きはじめる。入社9年目で、3人の中ではいちばんの古株。食べることが好きで、健康感知のためにジムとサウナに通っている。
ONE DAY STORE
高野 蓮 Ren Takano
2002年長岡市出身。新潟医療福祉大学を卒業後、飲食店で勤務する。昨年から「ONE DAY STORE」で働きはじめる。お休みの日は服を見にいくことが多いそう。
——まずは、みなさんが「ONE DAY STORE」で働きはじめた経緯を教えてください。
小島さん:大学1年生くらいで古着に興味を持ちはじめてから、古着屋さんによく行っていたんです。知り合いから「ONE DAY STORE」がオープンしたっていうのを聞いて、お店に通っていたら、そこでバイトとして働くことになって。大学を卒業して、そのままここに入社しましたね。 一応就活もしていて、内定もいただいていたんですけど、「ONE DAY STORE」のほうが楽しいと思ったので、ここで働くことにしました。
羽根田さん:僕は大学時代にアパレルショップで働いたんですが、そのときは古着じゃなくて新品のアイテムを販売していました。卒業後に入ったキッチン用品のメーカーを辞めるときに、「『ONE DAY STORE』で働かない?」って誘ってもらえて。新品の服を販売しているお店からも声を掛けてもらっていたんですけど、ジャンルの幅が広い古着を知りたくて、ここに入社しました。
——高野さんは、もともと「ONE DAY STORE」のお客さんだったんだとか。
高野さん:古着はずっと好きで、大学生のときに買いまくってました(笑)。はじめて古着を買ったのが、「ONE DAY STORE」で、通うたびに、ここで働きたいと思うようになって。リクルートが出たタイミングで「働かせてください! 」 って言って、入社しました。
——古町にまだ今ほど古着屋さんがなかった2016年に、「ONE DAY STORE」はオープンしました。
小島さん:当時はまだ、古着もそこまで流行っていなかったので、大きな古着屋さんはひとつかふたつ、あるくらいでしたね。
羽根田さん:ここがオープンしたときは、僕も新品のアイテムを買うことが多かったですね。当時は本当に古着屋さんも少なかったですし、「古着屋さんってちょっと敷居が高いかもしれない」って思っていたくらいです。
——そんな状況の中でお店をオープンしたのには、どんな意図があったのでしょう。
小島さん:セレクトショップで働いていたオーナーが、県外から転勤して古町で働いていたんです。当時やっぱり、古着屋さんが少ないと感じていたみたいで、「ここで古着屋さんをはじめたら、自分と同じ古着が好きな人に喜んでもらえるんじゃないか」と思って、お店をはじめたみたいです。
羽根田さん:「ONE DAY STORE」という名前には、ふたつ意味があるんです。ひとつは、お客さんがお店に来てくれた「その日」をいい日にできるようなお店にしたいという思い。もうひとつは、またいつか来てもらえるような、また行きたくなるお店にしたいという思いが込められているんです。
——お店の雰囲気が、以前と少し変わりましたね。
羽根田さん:4年前くらいに、お店を広くして、少し前に内装も変えました。長く続けていく上では、変化することが大事だと思っていて。オープン当初は白を基調にした内装づくりをしていたんですけど、今は古着の買付をしているアメリカの雰囲気も取り入れた店内にしています。
——特に、お店に入って右側の壁に掛かっている看板はアメリカっぽいです。
小島さん:これは特にお気に入りですね。看板は僕たちが全部考えて配置したんです。お客さんはもちろん、僕たちもワクワクするような店内にしたくて、この壁はアメリカのガレージっぽくしてみました。
——となると、置いてある古着もアメリカのものが多んですか?
羽根田さん:アメリカを中心に、アジアにも買付に行っています。置いてあるアイテムはジャンルにこだわらず、そのとき僕たちが着たい服を仕入れるようにしているんです。どんなジャンルも比較的揃っていると思いますし、お客さんからそう言っていただけることもありますね。
——服の数もたくさんあって、見ごたえがありそうです。
小島さん:シーズンによって数は変わってきますけど、夏はTシャツだけでも1,000点以上はありますよ。買付でいうと、お客さんの顔を浮かべながら「あの子、これ好きそう」ってアイテムを選んだり、ストリートが好きな人もカジュアルが好きな人もコーデに取り入れやすいようなものを選んだりしています。
——これだけたくさんのアイテムが、どれもきれいな状態なのには、プロの手仕事のすごさを感じます。
高野さん:お店に置く前のメンテナンスは入念にしていると思います。クリーニングしたり、シワを伸ばしたりするのはもちろん、ポケットの中もしっかりチェックしています。チェックしてみると、タバコの吸殻が入っていることもあって。もし自分がお客さんだったら、ショックだと思うので、これは徹底していますね。
——商品のメンテナンスって大事ですよね。
小島さん:高野が今いちばんメンテナンスをやってくれているんです。定期的にアイテムは入荷しているので、お客さんのいないところで洗濯をしてくれてたり、細かいところもメンテナンスしてくれています。
——その努力のおかげで、安心して古着を手に取れています。
高野さん:ここに入ったとき、奈緒斗さん(小島さん)に、「思っている3倍くらいきつい仕事だよ」って言われて、覚悟を決めて入ったんです。今ではメンテナンスの大切さがすごくわかりますし、この作業を通して、服の知識が勉強できていて。自分の新しいコーデに落とし込むことができているんです。
——ここ数年、古町エリアにも古着屋さんがたくさんできました。
羽根田さん:もともと古着屋さん自体、少ない数でやってきたので、古着屋さんの数が増えること自体はすごく嬉しいですね。この街を古着で盛り上げていくには、もっと増えてほしいぐらいかもしれません。僕は以前、「ONE DAY STORE」が仙台にお店を出していたときがあって、しばらくそこで働いていたんです。他の古着屋のスタッフさんとも仲が良くて、休憩中も互いのお店を行き来する関係性ができていて。
——ふむふむ。
羽根田さん:それだけじゃなくて、お客さんに対しても他のお店を紹介することもあって。「古着で盛り上がっている街ってこういうことなんだろうな」って 思ったんです。そんなふうに古町も盛り上がってくれると、何かが変わる気がしています。
小島さん:数年前のほうが盛り上がっていて、活気があったかもしれないって思うときもあるんです。でも以前よりもお店の数自体は増えていってるので、古着でもっと人を古町に呼び込めるようにできれば、このエリアの活性化につながるんじゃないかなって思っています。
——洋服を買うときの選択肢として、馴染みつつはありますが、まだ「古着はハードルが高い」と感じる方も多いかもしれません。
羽根田さん:いろんな人から「古着の知識がないから、入りづらい」って、すごく言われるんです。知識がなくても大丈夫ですし、もっと気軽に古着を楽しんでもらえるように、僕たちが発信しなきゃって思っています。
——発信の場として、店舗以外にショッピングモールでのポップアップも開催されていますね。
羽根田さん:古着屋さんに来たことがない人や、古町に行くのが難しい人にも、古着に触れてもらう機会をつくりたくて。「ONE DAY STORE」で古着の入口をつくることは、とても大事にしていますね。
——最後に、3人それぞれの目標を教えて下さい。
高野さん:僕はここで働きはじめたばかりなので、もっと古着のことを勉強していこうと思っています。ゆくゆくはアメリカに買付に行って、自分の着たいアイテムを「ONE DAY STORE」に並べられるようにしたいです。
羽根田さん:これから先も長く愛されるお店づくりをしていけたらいいなと思いますね。現状に満足せず、挑戦し続ける姿をお見せして、古着だけではなく夢を与えられるようなお店を作っていきたいです。
小島さん:うちのお店は、メンバーみんな仲が良くて。海外の買付に行ったときは、ひとつベッドで一緒に寝るくらいなんです(笑)。お客さんに楽しんでもらうためには、まず僕らが楽しんでお店をつくっていくべきだと思うので、このまま、仲良く続けていけたらいいですね。
ONE DAY STORE
新潟市中央区古町通3-659