日常に寄り添う大きな木のように。
関屋で2年目の「arbre et nid」
食べる
2025.11.11
本日より新しくなったThings、今回は関屋にお店を構える「arbre et nid(アルブレニ)」さんをご紹介します。こちらは以前ピアBandaiにあった人気店「piatto-giorni(ピアットジョルニ)」と「nid」を切り盛りしていた渡邉さんご夫婦が、昨年新しくはじめたお店です。おふたりに移転のきっかけや、食材のことなど、いろいろとお話を聞いてきました。
右/渡邉 明彦
Akihiko Watanabe(arbre et nid)
1978年岡山県生まれ。ピアBandaiの「DELI&RESTAURANT piatto-giorni」を経て、2024年に「arbre et nid」をオープン。お店では主に調理を担当する。市場の食材から季節を感じることが多いのだそう。
左/渡邉 未穂
Miho Watanabe(arbre et nid)
1978年三条市生まれ。「piatto-giorni」「nid」を経て、2024年に「arbre et nid」をオープン。お店では焼き菓子を担当している。自宅で飼っている猫を溺愛。
アルブレニとは、木と巣。
この場所でみんなの日常に寄り添う料理を。
――おふたりには「piatto-giorni」「nid」のときにもお話を伺いました。そして今回は「arbre et nid」ですが、まずどうして関屋でお店をはじめることにしたんでしょう。
明彦さん:自分たちの家の引っ越しを考えていたときに、「せっかくなら新しい場所でお店をはじめたい」と思って移転を決めました。いろいろを物件を探してここを見つけて。もともとは居酒屋さんだったみたいなんですが、道路に面している大きな窓がとても印象的で、すごく惹かれたんです。それで、前のお店からお世話になっている設計士さんや職人さんにお願いして、僕たちの好きな雰囲気をたくさん詰め込んだお店をつくってもらいました。
――木のナチュラルな雰囲気がとても素敵です。私が今座っている窓際のベンチ、見たことがあるような……?
未穂さん:このベンチは、「piatto-giorni」からそのまま持ってきたんですよ。合わせてみたら、長さもぴったりで。まるでこのお店のためにつくられたんじゃないかって思ったほどです(笑)。「piatto-giorni」に来てくれていたお客さんの中には、気づいてくださる方もいるんですよ。
――変わらないものもあるんですね。逆に、移転して何か大きく変わったことはありますか?
未穂さん:新しく来てくださるお客さまが多くなりましたね。ピアBandaiにいたときは、中央区や東区の方が多くいらっしゃっていたんですけど、ここに移転してからは西区の方にもたくさん来てもらえるようになりました。以前よりも営業時間も少し長くなったので、ディナーの時間帯に来てくれる方も増えたと思います。
――「piatto-giorni」と「nid」が合わさったお店として、「arbre et nid」ができました。
明彦さん:「arbre et nid」はフランス語で「木と巣」という意味で、このふたつの言葉がお店のシンボルになればいいなと思って、この名前にしたんです。「木」って日常に寄り添ってくれるイメージがあって。ここでつくる料理も、お客さまの日常に寄り添えるものにしたいと思っているので、ぴったりの名前だと思います。
未穂さん:私は木の下に座って、風や木漏れ日を楽しみながら、季節の移ろいを感じるのがすごく好きで。木には人も集まるし、鳥も巣をつくりますよね。そんな場所をここにつくりたいなって思っていたので、この名前がちょうどよくて。関屋に根を張って木のように大きく育っていきたいという思いも込めました。

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ただ美味しいだけじゃない、
生産者のことをもっと理解できる料理。
――「arbre et nid」の楽しみ方を、あらためて教えてください。
未穂さん:ランチの時間帯では「デリプレートランチ」やパスタを、ディナーの時間帯ではアラカルトもしくはコース料理を楽しんでもらえます。ディナーでは、ランチには登場しない前菜や、できたて、揚げたての一品もご用意していますよ。
明彦さん:「piatto-giorni」のときからあるラザニアはもちろん、他の料理も全部自信を持っておすすめできます。料理から季節を感じて欲しいので、そのときどきの旬の食材をたくさん使っています。
――お料理をつくるとき、大事にしていることは?
明彦さん:食材が本来持っている食感や香り、みずみずしさを、そのまま伝えられるように意識しています。味付けからお肉の挽き方まで試行錯誤を繰り返しながら、それぞれの食材のベストな調理方法を探しています。
未穂さん:納得のいくまで、本当に少しずつ変えていくよね。昨日と同じ料理をつくっていても、「ここが今日変わったから」って言ってきたり。すごく、こだわりを持ってやってくれているなって思います。
――食材についてもこだわりがあると聞きました。
未穂さん:食材をつくっている「人」がいるからこそできる料理をつくりたくて。「この人がこんな思いでつくった、この食材からできたのが、この料理です」ってお客さんに伝えらえるようにしたいんです。だから使う食材は、その食材をつくっている生産者の人柄や活動にも注目して選んでいます。
明彦さん:あとは、新潟の食材を使うことも大事にしていますね。お客さんに、その食材が採れた場所の風景を想像してもらいやすいんじゃないかなって思うんです。生産者の顔が見えるだけじゃなくて、場所も見えるような、そんな食材の選び方をしています。
未穂さん:ワインも大切にしていることは料理と同じです。新潟から近い、山形のワインを中心にご用意しています。栃木の「ココ・ファーム」というワイナリーでは、障がいを持つ方でもきちんとした雇用形態で働ける環境をつくって、ワイン造りをしています。こういったつくり手さんの活動も含めて、お店から伝えていきたいですね。
明彦さん:ワインは東中通の「Bar Book Box」さんに協力してもらってラインナップを決めたんです。それぞれのつくり手の思いや活動を聞くために、直接ワイナリーに足を運んだこともありました。ビールは環境に配慮してつくられた「patagonia」を取り扱っています。
――食べるものも、飲むものも、つくり手の思いを知りながら楽しむと、美味しさがぐんと上がる気がします。
未穂さん:食材を買う私たちだけじゃなくて、食べているお客さんにも生産者さんのファンになってもらえたら嬉しいですね。その食材のよさを広く伝えるというより、深く理解できるようにお客さまに伝えていくのが私たちっぽいと思っています。
――未穂さんは焼き菓子もつくられています。
未穂さん:おやつって「なくてもいいもの」だからこそ、どれだけ楽しんで食べてもらえるかが大事なんじゃないかなって思うんです。だから、つくり手の私も楽しんでつくることを大事にしているんです。季節に合わせて形を変えてみたり、たまに、ニヤニヤしながら顔を描いてみたり(笑)。毎月22日には、猫のかたちをしたクッキーを販売しているんです、売上の一部は保護猫の団体に寄付しています。


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移転から一年。
少しずつ成長して、大きな木に。
――おふたりが、関屋にお店を構えて一年が経ちました。
未穂さん:ありがたいことに毎日忙しくさせてもらって、今やっとひと息つけた、って感じです。ここで一年間お店をやってきて「この選択は間違いじゃなかった」って思うんです。ようやく、木の根を張れたような気がします。
――今後、おふたりがやってみたいことはありますか?
明彦さん:以前母の日に、お父さんを対象にした料理教室をやったんです。それまでは「料理教室は自分には難しいかも……」と思っていたんですが、そのとき手応えを感じて。どんなかたちにしようとか、具体的なことは決めていないですが、またできたらいいなと思っています。
未穂さん:ワインや食材など、テーマをひとつ決めて食事を楽しんでもらうイベントはじめて。5月に開催したときは山形ワインをテーマにしたんですが、そのときは、私たちも一緒に料理とお酒を楽しませてもらって。お客さまと一緒にテーブルを囲んで、お話をして。そんなふうに、ここをサロンみたいな場所していけたらいいなって思っています。
――「arbre et nid」という木が大きく育っていくのが、楽しみです。
未穂さん:一年が経って根を張れたら、次は枝を伸ばしてみようと思っています。焼き菓子でいうと、ずっとやりたかったマフィンの提供をはじめました。お店も私たちも、少しずつ成長できるように頑張ります。


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