辛くなくても美味しい! 駅南にある担々麺のお店「麺処 担熊」。
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2021.03.09
ゴマや山椒の香りとともに辛さを楽しめる「担々麺」。麺好きの中にもファンが多く、特に辛いもの好きの人たちの根強い人気を誇ります。一方、「辛いものが苦手で担々麺が食べられない」という人もたくさんいます。そんな人でも美味しく食べられるのが「麺処 担熊(めんどころ たんくま)」の担々麺。味にはどんな秘密があるのでしょうか。店主の熊倉さんに聞いてきました。


麺処 担熊
熊倉 優佑 Yusuke Kumakura
1989年五泉市生まれ。富山にあるホテルの和食部門や京都のしゃぶしゃぶ店で板前として修行を積み、東京や埼玉の担々麺専門店で働く。2020年9月に新潟で「麺処 担熊」をオープン。趣味はゲームで、最近はFPSにハマっている。
辛いものが苦手なのに、担々麺の店をはじめた店主の熊倉さん。
——食券販売機を見ると、本当に担々麺専門のお店なんですね。
熊倉さん:はい、今は4種類の担々麺と期間限定メニューだけでやっています。
——よっぽど担々麺が好きなんですね。
熊倉さん:今は好きですけど、以前はそんなに好きでもなかったんですよ。むしろ辛いのは苦手なんです。
——えっ、担々麺が好きな人って、もともと辛いのが好きなんじゃないんですか?
熊倉さん:僕は「辛くない担々麺」に出会ってから、担々麺が好きになったんですよ。京都で板前をやっていたときに、近所の担々麺専門店でたまたま食べて衝撃を受けたんです。「担々麺ってこんなに美味いものなのか!」って。それまでは独立して小料理店をやろうかなって考えていたんですけど、それを機に担々麺の専門店をやりたいって思うようになりました。だから「麺処 担熊」の担々麺も「辛くなくても美味しい担々麺」を目指しているんです。

——人生が変わるほどの衝撃だったんですね。って、熊倉さんは板前だったんですか?
熊倉さん:とにかくサラリーマンになりたくなくって。もともと料理は好きだったので、高校を卒業してすぐ富山のホテルで調理師の修行を始めたんです。僕はイタリアンが好きだったから洋食部門に行きたかったんですけど、洋食は人気があって定員オーバーだったので和食部門に回されたんです。
——和食の厨房での修行は厳しかったんじゃないですか?
熊倉さん:厳しかったですね。調理師が20人も働いている厨房だったから、とにかく上下関係が厳しかったんですよ。寝坊なんかした人はしばらく休みなしで働くことになるし、そういうときに手や物が飛んでくるような職場でしたね。でも僕は可愛がってもらえた方なので、あんまりそういう目に遭ったことはないんです。
——それから京都で働いていますよね? それはどうしてなんですか
熊倉さん:いろいろあってホテルを辞めたいと料理長に相談したら、「辞めるのはもったいないから」と言われて、祇園にあるしゃぶしゃぶの店を紹介してもらったんです。で、そのときに担々麺と運命的な出会いをしたんです。
——なるほど。それで和食から担々麺へ路線変更したわけですね。担々麺の作り方はどこで覚えたんですか?
熊倉さん:埼玉にある「栄龍軒(えいりゅうけん)」という、担々麺の美味しい店で修行しました。その店の主人はもともと「丸長(まるちょう)中華そば店」の出身なんです。「丸長中華そば店」は魚介系ダシを使ったダブルスープの元祖といわれていて、つけ麺の生みの親「大勝軒(たいしょうけん)」の山岸さんも修行していた店なんですよ。その店で教わった味が「麺処 担熊」の担々麺のベースになっていますね。

いろいろ大変だった、オープンまでの道のり。
——新潟に帰ってきたのは理由があってのことですか?
熊倉さん:おばあちゃんの具合が悪くて、母がひとりで働きながら面倒を見ていたので、僕も新潟に帰ってくることにしたんです。それで、自分ひとりで店をやろうと思って、10席以内の小さな店を探したら、元居酒屋だったこの物件が見つかったんですよ。でも新型コロナが拡大して緊急事態宣言が発令されたので、しばらく新潟に帰って来れなくなってしまって。
——それはタイミングが悪かったですね。
熊倉さん:その上、オープンの直前で交通事故に遭っちゃって。それで車がダメになってしまって、さらにオープンが遅れてしまいました。神様から「店をオープンするな」って言われてるのかと思いましたよ(笑)。それでもなんとか去年の9月にオープンすることができたんです。
——オープンまでにいろいろ大変なことがあったんですね。お店を始めてからはどうですか?
熊倉さん:ひとりでやっているので、混んでくるとお客様をお待たせしてしまうのが心苦しいですね。まだまだ上手く回せていないなって実感することも多いので、できるだけお客様を長くお待たせしないようにしていきたいです。
——ひとりで全部やるのって大変ですよね。逆にお店をやってきて嬉しかったことはありますか?
熊倉さん:それはもう「美味しかった」って言ってもらえるのが一番です。自分では美味しいものを作っていると思っているけど、人が食べても美味しいのか心配ですからね。ある日、夫婦で来てくれたお客様がいて、旦那さんはとても無口だったんです。無言のまま黙々と食べていたんですが、食べ終わったら大きい声で「あー美味かった!」ってひとこと言ってくれたんですよ。嘘のない、心からの言葉に感じて、とても嬉しかったですね。

ゴマや山椒に力を入れて作っている、こだわりの担々麺。
——担々麺は黒、白、赤、汁なしの4種類なんですね。汁なし以外はどこが違うんですか?
熊倉さん:スープの分量やゴマの種類ですね。入れる豆乳の量なんかも違います。それで味わいや風味が変わってくるんです。「赤」はスタンダードな担々麺を食べたい人に向けて作っているんですけど、僕としては「黒」や「白」を食べてほしいんですよ。とくに黒ゴマの担々麺は、ぜひ新潟で流行らせたいという思いで作っています。
——その3種類は辛さも違うんですか?
熊倉さん:辛みの量は同じ分量なんですけど、「黒」と「赤」は辛みを感じやすいです。逆に「白」は豆乳のおかげで辛みもマイルドになっていますね。

——担々麺を作るときにこだわっているのはどんなことですか?
熊倉さん:担々麺って、ゴマの旨み、唐辛子の辛み、そして山椒のしびれが三位一体になった美味しさが魅力だと思うので、このバランスを大切にしています。僕はスープよりもゴマや山椒に力を入れているんです。どちらも自分で粒から挽くことで香りが変わってくるんですよ。ゴマは一般的な担々麺の倍の量を使っています。
——麺やトッピングもちょっと変わってますね。
熊倉さん:麺はきしめんみたいな太めの平麺を使っています。トッピングにはよく担々麺に使われているザーサイの代わりに、山クラゲで食感を出しているんです。野菜も普通は茹でたものを使うんですが、サラダみたいな生野菜を乗せているのでシャキシャキしたみずみずしさを楽しんでもらえます。
——いろいろこだわりの強い担々麺なんですね。でも辛さって、人によって感じ方が違うから難しいですよね。
熊倉さん:そうなんですよ。だから辛さを1辛から5辛までお好みで選べるようにしています。あとお客様の顔を見て辛さを調節することもあるんです。以前5辛を注文したお客様が、辛くて食べるのに苦労していたことがあったんです。それ以来、できるだけお客様と話をして辛さを決めるようにしています。辛過ぎて美味しく食べてもらえないっていうのは嫌ですからね(笑)

山椒に思い切りこだわった料理店をやるのが夢。
——今後やってみたいと思うことはありますか?
熊倉さん:まだまだずっと先のことになると思うけど、このお店が軌道に乗ってきたら人に任せて、僕は2号店を出したいんです。新しく始める2号店では僕のやりたいことを思いっきりやってみたいんですよ。
——やってみたいことって、どんなことなんですか?
熊倉さん:山椒をもっと効かせた料理だけを提供する、しびれ好きのためのお店をやってみたいんです。担々麺はもちろん、麻婆麺とか鶏とナッツの炒め物とかも食べてほしいですね。店名も「ビリビリジャンキー」にしたいんです(笑)
——もう名前ができてる……めっちゃいい名前ですね(笑)。最後に、この記事を読んでいる人に伝えたいことはありますか?
熊倉さん:見た目はいかついですけど、ぜひ気軽に話しかけてください(笑)

見た目はいかついけど、とても気さくにお話をしてくれる熊倉さん。取材の間もタレを作ったり、山椒を挽いたりと作業の手を休めることはありませんでした。「辛いのが苦手だけど担々麺は食べてみたい!」という人は、「麺処 担熊」の担々麺を食べてみてください。「辛くなくても美味しい担々麺」が待っていますよ。
麺処 担熊
新潟県新潟市中央区米山3-15-7
月・木・金・土曜:11:00-14:00/17:30-20:00
日・火曜:11:00-14:00
水曜休
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