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生産者を応援し消費者に豊かな食生活を届ける、新発田の「やお家」。

初夏、野菜や果物などの青果物が充実する季節になりました。八百屋や市場、農産物直売所の店頭に色とりどりの農産物が並び、とても美味しそうですよね。今回は新発田市に昨年オープンしたばかりの農産物直売所「産直青果惣菜 やお家」にお邪魔して、社長の磯部さんから生産者が抱える問題や、農産物直売所を運営する思いについて、いろいろと話をお聞きしました。

 

 

産直青果惣菜 やお家

磯部 剛 Tsuyoshi Isobe

1986年村上市生まれ。新潟市の調理師専門学校卒業後、結婚式場で調理の仕事を経験。その後は農産物直売所で働き、2020年に独立して新発田市で「産直青果惣菜 やお家」をオープンする。趣味は最近はじめたというキャンプ。

 

旬の農産物や手作り惣菜、お弁当を売っている直売所。

——農産物直売所に来ると季節を感じることができますよね。今はちょうどサクランボが旬の季節なんでしょうか。

磯部さん:そうっすねー。あとはトマトかな。特に北区の「桃太郎トマト」が人気ですよね。いちごの「越後姫」がそろそろ終わりになって、これからは枝豆の季節を迎えます。桃太郎トマト、枝豆、越後姫は農産物直売所の三大商品なんですよ。

 

 

——たしかに人気ありそうです。野菜や果物の他にお惣菜やお弁当なんかも置いてあるんですね。

磯部さん:はい、うちのおにぎりやフルーツサンド、手作り惣菜は、商品にいろいろな「人」をのっけるようにしているんです。たとえば「やおむすび」というおにぎりには加治川米やミネラル工房さんの白いダイヤという塩を使って、具材に新潟たけうちさんの本造り鱒とか奥阿賀コンビリーさんのエゴマ海苔佃煮とかを使っています。「フルーツサンド」にも新発田市にある、ぱろぱとBAKERYさんのパンを使っているんですよ。こうやって、ひとつの商品にいろいろな生産者さんの作った食材を使うようにしているんです。

 

——ほう、農産物直売所ならではのお惣菜やお弁当っていう感じですね。

磯部さん:ただ、飲食店だったら注文が入ってから作れるんですけど、うちの場合は作って並べておかなければならないんです。どのくらい売れるのかが読めないから、毎日ロスとの戦いになってしまうんですよね。

 

美味しくても見た目が悪いと売れない、そんな農作物を助けたい。

——磯部さんは「やお家」をはじめる前はどんな仕事をしていたんですか?

磯部さん:僕はもともと食に興味があったので、新潟市の調理師専門学校を卒業して、結婚式場の調理師をやっていたんです。でももっと新潟という土地に根付いた、新潟でしかできない仕事をしたいと思うようになって。そう考えるとお米やお酒といった食農関係の仕事が思い浮かんで、農産物直売所で働きはじめたんです。

 

——じゃあここで働く前にも、他の農産物直売所で働いていたんですね。

磯部さん:そうなんです。でも働いているうちに、生産者さんや直売所に対してのいろいろな問題が見えてきたんです。それを解消したいという思いを持ちつつ、でも組織の中では会社の方向性に沿って運営しなければならないので、だんだん自分のやりたいこととのズレにジレンマを感じるようになってきたんです。

 

——例えばどんな問題なんでしょう。

磯部さん:とても美味しいトマトを作っている生産者さんがいるんです。トマト2kgを本来は1,000円から1,500円で販売しているんですが、生産のピーク時になると市場価格が200円〜300円に値段が下がってしまうんですよ。

 

 

——数が多くなると値段が下がるわけですね。

磯部さん:そうなんです。また、あるリンゴ農家さんでは「葉とらず栽培」という、わざと葉を取らないで残したままにする方法で栽培しているんです。光合成をさせることで蜜が集まり、とても美味しいリンゴができるんですが、葉っぱの跡がリンゴに残ったりして見た目は悪くなっちゃうんですよ。それを市場に出荷したらゴミ同然の扱いだったという話を聞いて、とてもショックを受けたんです。

 

——美味しくても見た目が悪いと売れないんですか。

磯部さん:市場では味よりも色や形、サイズで値段が決まってしまうんです。僕はそのことに疑問を持つようになって、本当に美味しいものを適正な値段で売って、生産者さんを応援したいと思うようになったんです。それで「産直青果惣菜 やお家」をオープンしました。

 

農産物直売所をはじめてみて感じた、苦労や喜び。

——自分で農産物直売所をはじめてみていかがでしたか?

磯部さん:僕はこの仕事を10年やってきているので、ひと通りの仕事はなんでもできるんですが、一緒に働くスタッフは未経験者ばかりだったので、野菜に貼るシールの貼り方から、ひとつひとつ教えなければならなかったんです。予想外のことで大変でしたが、今ではみんな仕事を覚えて、一緒に頑張ってくれています。

 

——お客さんはどういう方が多いですか?

磯部さん:それまで僕が勤めてきた直売所は年配のお客様がほとんどだったんですよ。でも「やお家」に来てくださるのは、SNSの影響からか、30〜50代の女性が多いんです。客層がガラッと変わってしまったことで、それまでの経験が役に立たなくなってしまったんですよ。だから女性のお客様に合わせて、フルーツサンドやスムージーといったインスタ映えする商品を用意しました。

 

 

——今までと勝手が違うことで戸惑いも多かったわけですね。

磯部さん:そうなんですよ。でも新発田のお客様って、気さくに声をかけてくれたり、応援してくれたり、温かい人が多いんですよ。地域の人たちには本当に助けていただいてますね。

 

——新発田にオープンしてよかったですね。

磯部さん:本当にそう思います。僕たちもお客様に「豊かな食生活」をお届けしたいと思っているので、できるだけ生産者さんや農産物の裏側にあるストーリーをお伝えするようにしているんです。自分たちが食べる物をよく知ってもらうことが「豊かな食生活」につながるんじゃないかなって思うので。そのためにもお客様とコミュニケーションをとるようにしていますし、お店が地域のコミュニティになってくれればいいなと思っています。

 

生産者との関係を大事にし、「豊かな食生活」を届けたい。

——ちなみに扱っている農産物は磯部さんが選んでいるんですか?

磯部さん:うちは生産者さんが丹誠込めて作った農産物を、きちんと目利きした上で適正な価格をつけて売らせていただくだけです。お持ちいただいた商品をしっかり売らせていただくだけなんですよ。だから断るっていうのはタブーなんです。規格外のB級品だったら、どうやって売るか考えるのが僕らの仕事なんですよね。

 

——でも、タイミングによっては売れ残っちゃうこともあるんじゃないですか?

磯部さん:そこはお互い様ですから……。うちだって売り場に品物がないときは無理言ってお願いすることもあるわけだし。生産者さんに対していつもリスペクトの心を持って、感謝の気持ちを忘れないようにしなければならないと思うんです。もちろん、商品に対してのフィードバックはしています。例えば傷んでいたとか、味の感想とか。そうすることで生産者さんも気づくところがあるし、よりよい生産物につながると思います。

 

——今後はどういうふうに展開していきたいですか?

磯部さん:僕らは「豊かな食生活」を多くの人に届けたいと思ってやっているので、今後はより多くの人に届けられるよう、売り場を広げていきたいと思っています。そのためにも店舗を増やしていきたいですし、ネット通販も考えています。

 

 

生産者を応援し消費者の食を豊かにしたいという思いで、「産直青果惣菜 やお家」をオープンした磯部さん。その売り場には季節ごとの旬の野菜や果物、素材の味を大切に作られたお惣菜やお弁当が並べられています。皆さんもぜひ立ち寄ってみてください。毎日の食生活に変化があるかもしれませんよ。

 

 

産直青果惣菜 やお家

新潟県新発田市城北町2-8-33

0254-28-9700

10:00-19:00/土日祝日10:00-18:30

月曜・第一火曜・月末休

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