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地元野菜の魅力を発信するイタリアンレストラン「ORA HARACUCE」。

GWや夏休みといった連休に多くの人が訪れる月岡温泉街。そのすぐ近くに「月岡わくわくファーム」があります。農産物直販所を中心に、お菓子屋さん、お蕎麦屋さん、農家レストラン、ジェラートショップなどが集まった複合施設です。今回紹介するのは、そのなかにある「TORATTORIA ORA HARACUCE(トラットリア オラ ハラクチェ)」という名のイタリアンレストラン。オーナーの山田さんにお店のこだわりを聞いてきました。ちなみに「オラ ハラクチェ」と言うのは、新潟の方言で「私はお腹いっぱいです」って意味です(笑)

 

 

有限会社 山田

山田 秀行 Hideyuki Yamada

1972年新潟市北区生まれ。慶応義塾大学卒業。銀行の仕事を経験し、家業の「鶏料理 鳥安」で働きはじめる。2005年に北区葛塚で古民家を使ったイタリアンレストラン「Trattoria NoraCucina」をオープン。2011年には「月岡わくわくファーム」で「TORATTORIA ORA HARACUCE」をオープンする。現在は新潟県内に5店舗の飲食店を展開。学生時代から続けているアイスホッケーを、今では親子二代で楽しんでいる。

 

東京では1,000円で売られている、豊栄産トマト。

——山田さんは「Trattoria NoraCucina(トラットリア ノラ クチーナ)」や「TORATTORIA ORA HARACUCE」といった飲食店を何店舗も経営していますよね。最初から飲食業に興味を持っていたんですか?

山田さん:私の両親が北区で「鳥安」という焼鳥屋を営んでいたんですよ。だから私もいつか焼鳥屋を継ぐのかもしれないと、子どものときはぼんやり考えていました。でも若い頃って東京で生活してみたいという憧れもあるじゃないですか。だから慶応大学に入って、東京で生活していたんです。

 

——東京で生活してみて、いかがでしたか?

山田さん:銀座や赤坂で地元の豊栄産トマトが、1皿1,000円の料理として提供されているのを見て驚きました(笑)。地元では朝採りトマトを200円くらいで売っているのに、東京に持っていくと1,000円で売れることに衝撃を受けましたね。田舎だと思ってバカにしていた地元を、見直すきっかけになりました。

 

 

——そんなことがあったんですね。大学を卒業してからの進路は?

山田さん:東京で就職しようか、新潟にUターンしようか迷いましたが、いつか自分で起業してみたいという気持ちがあったので、実家の焼鳥屋を継ぐため新潟に戻りました。ただ、その前に他の企業も経験しておいた方がいいと思ったので、地元の銀行で4年間働かせてもらいました。

 

——えっ、飲食店じゃなくて銀行ですか?

山田さん:はい。いずれ商売をやる上で、お金のことをしっかり知っておきたかったんです。おかげさまで、とてもいい勉強になりましたね。

 

——その後はご両親の経営する焼鳥屋さんで働いたんですね。

山田さん:そうです。地元で長い間親しまれてきたお店なんですけど、周りにいろいろと新しいお店ができはじめて、商売が伸び悩むようになってきたんです。私には飲食店の経験もないしお金もなかったので、どうやってそのピンチを打ち破ればいいのか悩みましたね。そのときに思い出したのが、東京では高額で提供されていた豊栄産のトマトなんです。

 

 

——どういうことでしょうか?

山田さん:東京では1,000円の価格がつけられるほど、豊栄産のトマトには価値があるわけだから、飲食店をやる上でそれは立派な武器になるんじゃないかと気づいたんです。そこで「鳥安」のメニューに地元のトマトを使ってみたんですが、お酒を飲んでいる男性客にはあまり響かなかったんですよ(笑)。そこで、女性のランチ客にターゲットを変更したんです。

 

——なるほど。それでイタリアンレストランを?

山田さん:はい。当時の豊栄にはランチを食べられる洋食店がほとんどなかったんです。フレンチとイタリアンのどちらにしようかと思ったんですが、電話帳で調べてみたら阿賀北エリアにはイタリアンのお店が1軒もなかったので、イタリアンレストランをやってみようと思いました。

 

——古民家でレストランをはじめることにしたのは?

山田さん:イタリアンレストランって言うと、お洒落でかしこまったイメージがあるんだけど、地元の人たちが誰でも気軽に入れるようなお店にしたかったんです。それこそ、農作業の帰りにゴム長で入ってこれるような……。豊栄には古民家がたくさん残っていたので、いっそ古民家をレストランに使ったらいいんじゃないかと思いつきました。

 

——それが「Trattoria NoraCucina」だったんですね。

山田さん:そうです。当初、私はもっと大通り沿いでオープンすることを考えていたんですよ。ところが私の計画を知った地元の方々から、葛塚にある古い料亭の空き店鋪を勧められたんです。築100年の建物の上に樹齢90年の松の木もあるので、取り壊すのはもったいないということでした。地元の人たちに背中を押されるかたちで、その古民家を使ったレストランをオープンすることになりました。皆さんから強力なバックアップをしていただいたのでとても助かりましたね。

 

——当時は古民家とイタリアンレストランの組合せが新鮮でしたよね。オープンしてみていかがでしたか?

山田さん:「豊栄でイタリアンなんかやっても、うまくいくはずない」とか「あんな奥まった場所なんて誰も行かない」とかいろんなことを言われたので、半年くらいは誰にも会わないように引きこもっていました(笑)。ところがひと月ごとにお客様が増えていって、用意していた食器やカトラリーが毎月足りなくなるんです。本当にありがたかったですね。

 

月岡温泉でレストランをオープンした意味。

——この「月岡わくわくファーム」って、どういう場所なんですか?

山田さん:もともとここは、バブル景気の頃に作っていた別荘地だったんです。それが途中でストップしたままになっていたのを、農産物直販所をメインにした複合施設として再開発したんですよ。

 

——そうだったんですね。「TORATTORIA ORA HARACUCE」をはじめたのは?

山田さん:月岡温泉内ということもあって、県外から来る観光客にも、新潟の美味しい食材の魅力を発信できるチャンスだと思ったんです。農産物直販所が併設されていることで、より強く新潟県産野菜のアピールをすることができると考えたんですよ。

 

 

——県外の人には、新潟というとお米やお魚、お酒のイメージが強いですよね。

山田さん:そうなんですよ。だから新潟は野菜も美味いということを知ってほしいんです。それを伝えることが、私たちの月岡での役割だと思っています。

 

——それを伝えるために、料理でこだわっていることはあるんですか?

山田さん:地元エリアの新鮮で美味しい食材を使うことはもちろん、一から手作りすることにこだわっています。何度もリピートしていただけるよう、飽きられない工夫も心掛けていますね。料理の味が濃過ぎると飽きられやすいので、あまり濃くなり過ぎないよう注意しています。

 

 

——なるほど。確かに飽きられないことが、いちばん大事なポイントのような気がしますね。その他に心掛けていることはありますか?

山田さん:GWや夏休みには帰省してくる人が増えて、お孫さんたちを連れてくるおじいちゃん、おばあちゃんも多いので、子どもから年配の方まで誰もが満足してくださるようなお店を心掛けたいですね。

 

——これからも地元野菜の魅力を、いろいろな人に発信していただきたいです。

山田さん:ありがとうございます。価格競争に飲み込まれることなく、地元の人たちから必要とされるお店であり続けたいですね。そして、たくさんのお客様から愛されるお店を目指していきたいです。

 

 

 

TORATTORIA ORA HARACUCE

新発田市月岡408 月岡わくわくファーム内

0254-21-6000

11:00-14:30(土日祝日は15:00まで)

 

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