古町の「Person-A」で
自分の個性と魅力を引き出す眼鏡選び
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2025.11.13
「眼鏡が似合うオトナになりたいな……」と思っていたところ、古町の素敵な眼鏡屋さんを見つけました。「Person-A」という名のこのお店では、ちょっと個性的な眼鏡と出会うことができます。オーナーの長谷川さんに、お店をはじめたきっかけや眼鏡のことについて、いろいろ聞いてきました。
長谷川 隆大
Takahiro Hasegawa(Person-A)
1994年三条市出身。高校時代は演劇部に所属し、卒業後は「劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオ」の研修生として活動した後、眼鏡販売店で働く。今年、古町に自身のお店「Person-A」をオープン。猫が好きで、店内には猫のオブジェがたくさんある。最近、Vtuberの「儒烏風亭らでん」にハマっているんだとか。
偶然働きはじめた眼鏡屋さん。
そこで見つけた、眼鏡と演劇の共通点。
——今日はよろしくお願いします。まずは長谷川さんのこれまでを教えてください。
長谷川さん:中学生のとき、アニメにハマっていたのもあって、声の仕事がやりたかったんです。それまでは自分の高い声がコンプレックスだったんですけど、逆にそれを強みにできると思って。でも、ふと「声の仕事をするなら、身体を使って芝居ができないと」って思って、高校に進学してから演劇をはじめました。
——演劇をされていたんですか。それで、卒業後はいよいよ声を仕事に?
長谷川さん:でもそうはならなくて。卒業した年に、新潟市内で「劇団ひまわり」の新しいスタジオができたんですよ。演劇もいいなと思っていたので、そこに入ることにしました。5年半くらい所属して、演劇の勉強をしていましたね。
——劇団時代を振り返って、いかがですか?
長谷川さん:厳しかったですね……。今では考えられないくらい厳しい師匠に教えてもらいながら(笑)、ずっとシェイクスピアの演目をやっていました。やっていくうちに「自分には向いていないな」って感じるようになって。周りの友人は就職して給料をもらっているのに、自分は何もできてないって不安になってきたんです。
——ふむふむ。
長谷川さん:いよいよ「このままだと自分がダメになる」と思って、劇団を離れることにしました。ハローワークで仕事を探しているときに、「新潟伊勢丹」という言葉に惹かれて応募してみたら、そこがたまたま眼鏡屋さんで。
——眼鏡屋さんで働きたかった、というわけではなかったんですね。
長谷川さん:目は悪くなかったので、眼鏡になんて興味なかったんです。「長く働かないだろうな」って思っていたんですけど、眼鏡のことを知って販売していくうちに、演劇との共通点に気づいたんですよ。
——眼鏡と演劇、どんな共通点が?
長谷川さん:僕は人見知りで、人の目を見て喋れなかったんです。でも、眼鏡をかけることで、自分との間にワンクッション置けたような気がして、他人の目を見て自然に話せるようになりました。その感覚が、舞台の上で役を通して話していたときと、すごく似ていて。眼鏡っていうアイテムひとつで、いろんな自分を表現できるのが面白いなって思って、仕事にやりがいを感じるようになっていきました。

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ひとりひとりに丁寧に。
接客に対する、長谷川さんの思い。
——眼鏡屋さんというお仕事のどんなところに、特にやりがいを感じたのでしょう。
長谷川さん:フィッティングひとつをとっても、お客さまのお顔の形や見え方、好みやライフスタイルを考えながら提案していくんです。大変だけど、お客さまに喜んでもらえたときの達成感がすごく気持ちよくて。ひとりひとりと向き合って接客できるのがすごく楽しかったんです。でも大きなお店では、いつでもその接客ができるわけではなくて。
——接客の仕事ならではの悩みですね。
長谷川さん:お客さまが僕に気を使って帰っていかれるのが心苦しくて、ひとりのお客さまにもっとじっくり向き合いたいという気持ちが強くなっていきました。それで予約制のお店を自分でつくりたいと思うようになったんです。でも、すぐにお店をはじめる予定ではなかったんですよ。眼鏡メーカーで働いて、もっと学んでからやろうかなって思っていたんです。
──そうしなかったのには、どんな理由が?
長谷川さん:古町で古着屋さんをやっている友人から「やりたいと思ったときに、すぐやったほうがいいよ」って勧められたんです。実際にお店を持っている人からそう言われると、説得力があって。友人のお店もあったし、ファッションアイテムとして眼鏡を発信しやすい古町で、お店をつくりました。
——それがこの「Person-A」というわけですね。
長谷川さん:演劇では、名前のない役を「A」「B」「C」って呼ぶんです。名前はないけど、どんな役にもちゃんと人生があって、個性があるじゃないですか。ひとりひとりの個性を引き出せるように、「Person」 と「A」を合わせて名前をつくりました。このふたつの言葉をあわせると、「Persona」という言葉ができます。この言葉は、演劇で仮面、つまりは役を意味します。
——名前にも、演劇がつながっていたんですね!
長谷川さん:演劇をやっていた自分を忘れたくなかったんです。そのときの自分も、今の自分につながっていると思うので。お店が見える大きな窓には、「人生は舞台、人はみな役者」っていうシェイクスピアの言葉をいれました。


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眼鏡も、顔の一部。
その人の魅力を引き出す選び方。
——こちらのお店には、他のお店ではなかなか見ない個性的な眼鏡もあります。
長谷川さん:ここでは、普通とはちょっと違う眼鏡を置いていることが多いです。僕は眼鏡を、「見えるための道具」ではなくて「自分を表現するためのアイテム」として提案していきたいんですよ。「眼鏡でおしゃれをもっと楽しみたい」とか、「いつもの自分をちょっと変えてみたい」っていう方には、もってこいの眼鏡がたくさんあります。
——とても素敵な眼鏡が沢山なんですが……。どれが自分に似合うのか、わからないかもしれません。
長谷川さん:僕も一緒に選んで、その方に合いそうな眼鏡をご提案しています。似合う眼鏡をかけたときって、本当に感動するんですよ。その体験をどのお客さまにもしてもらえるように、目の形や眉の位置はもちろん、服装やライフスタイルにも合わせてご提案しています。
——実際にどんなふうに選んでくれるのでしょう。
長谷川さん: カウンセリングのときに、どんな服装が好きなのか、何系のお仕事をしていて、どのくらいの時間眼鏡をかけているのかなど、いろいろと聞きます。そこから今使っている眼鏡と似た雰囲気のもの、その方が好きそうなもの、個人的に僕がいいと思ったもの、の3種類の眼鏡をご提案しています。お客さま「らしさ」を引き出せるご提案を心がけています。
——メンテナンスもしてもらえると聞きました。
長谷川さん:眼鏡って使っていると、鼻が痛くなることってありますよね。あれは眼鏡を支えている、鼻と両耳の3点のバランスが崩れてきて起きるんです。このバランスを整えてあげるだけで、かけ心地が全然違うんです。ここで買っていただいた眼鏡はもちろん、ここで買っていない眼鏡もメンテナンスしますよ。

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人とのつながりを大切に。
眼鏡の楽しさを、広めていきたい。
——お店をはじめてみて、いかがですか?
長谷川さん:正直、まだ知られていないなって思うことが多いです。でも、お店をはじめて、人とのつながりの大切さを改めて感じました。伊勢丹で働いていたときのお客さまが、ここに来てくれたり、このお店を応援してくれる人が、知り合いにこのお店を紹介してくれたり。そういう人のつながりに、すごく助けられているんです。
——「Person-A」のこれからを教えてください。
長谷川さん:もっとお店に入りやすくなるように、いろんなことをしたいんです。やっぱり、眼鏡屋さんって入りづらいじゃないですか。だから眼鏡以外で、お店に入ってもらえるようなきっかけづくりをしたくて。コーヒーを飲みながら、似合う眼鏡をおすすめする会、みたいなイベントを開いたり、他のお店をコラボしたり、眼鏡屋さんの敷居が低くなるようにしていきたいんです。
——最後に読者のみなさんへ、ひとことお願いします。
長谷川さん:何より、眼鏡を楽しんでもらいたいです。「Person-A」は自分に自信をつけることができる場所だとも思っています。「自分に似合う眼鏡の形を知りたい」とか、「どんなものがあるか見てみたい」っていうだけでもいいので、気軽に来てもらえたら嬉しいです。

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