種から育てたポップコーン、
「旅農笑人」のDIYキッチンカー。
その他
2025.11.29
有機農法で自家栽培したトウモロコシを使ったポップコーンを、DIYしたキッチンカーで販売している人がいる。そんな噂を聞き、澄み切った青空の下、紅葉が美しい五泉エリアまで「旅農笑人(たびのしょうにん)」さんに会いに行ってきました。
坪谷 純希
Junki Tsuboya(旅農笑人)
1988年加茂市生まれ。香川県のNGO団体で活動後、青年海外協力隊としてペルーに渡る。帰国後は五泉市役所で公務員として働き、2023年に「旅農笑人」を立ち上げて、農業を中心とした事業を展開している。2025年からは自作したキッチンカーで、自家栽培したトウモロコシでつくるポップコーンの販売をはじめた。
国際協力ボランティアとして
アジア各国の研修生と暮らした経験。
――こちらの屋号はなんと読むんですか?
坪谷さん:「旅農笑人」と書いて「たびのしょうにん」と読みます。旅するように自由な農業を楽しみ、皆様に笑顔を届けられる人になりたいという思いを込めました。
――なるほど。坪谷さんは農業をされているんですよね。
坪谷さん:はい、いろいろな野菜を農薬や化学肥料を使わない有機栽培で育てていて、そのなかのひとつがポップコーンの原料になる爆裂種のトウモロコシなんです。
――ではご自分で栽培したトウモロコシを使って、ポップコーンをつくっているんですね。最初から農家さんだったんですか?
坪谷さん:いえ、今は畑をお借りして農業をやっていますが、以前は国際協力活動や公務員をやっていました。
――国際協力活動というと?
坪谷さん:もともと困っている人を助ける活動をやりたかったんです。それで、まずは香川県のNGO団体で活動をはじめました。住み込みのボランティアスタッフとして、アジア各国から受け入れた研修生に農業を教える活動を手伝っていたんです。宗教や文化の違ういろんな国の人たちと一緒に生活するのは大変でしたけど、刺激もあって楽しかったですね。
――文化が違うと、いろいろ大変なこともありそうですね。
坪谷さん:自分の国の言葉しか話せない研修生も多かったので、コミュニケーションを取ることが難しいんです。教育環境の良くない国から来た研修生は、簡単な計算もできなかったりするので、計算から教えなければなりませんでした。
――もしかすると、坪谷さんもそのときに農業を学んだんですか?
坪谷さん:そうなんです。米づくりの他に野菜の有機栽培や養鶏を学ぶことができて、今ではとても役に立っていますね。その後、海外協力隊としてペルーに渡って活動をしたんです。

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南米ペルー、そして五泉で、
青年海外協力隊や公務員を経験。
――その後、活動の場としてペルーを選んだのはどうしてだったんですか?
坪谷さん:本当はアフリカで活動したかったんですよ。でも先輩からなかなか希望が通らないと聞いていたので、ペルーと書いておけば他の場所に配属されるんじゃないかと思ったんです。そしたら希望通りペルーに配属されました(笑)
――(笑)、ペルーではどんな活動を?
坪谷さん:20校ほどの小中学校を回って、親子に野菜づくりを教えました。収穫した農作物は調理して給食として食べるんです。ペルーではジャガイモ以外の野菜を食べる習慣がほとんどないんですよ。
――へぇ〜、そうなんですね。
坪谷さん:だからペルーで生活している間は、日本食が恋しくて辛かったですね。でも、おおらかで家族を大切にする国民性には、とても学ぶことも多かったです。
――日本へはいつ頃帰ってきたんですか?
坪谷さん:2017年に帰国しました。家族を大切にするペルーの国民性に影響を受けて、僕も実家に戻ることにしたんです。
――その後に農業をはじめたんですね。
坪谷さん:でもその前に、五泉市役所で公務員として働きました。
――えっ、それはまたどうして?
坪谷さん:組織で働いくことで社会経験も身につけておきたいと思ったんです。水道局と学校教育課で3年ずつ過ごしました。水道局で学んだ製図はキッチンカーなどのDIYで役に立っているし、学校教育課ではデザイン制作や動画編集を身につけることができました。

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ストーリー性のある商品を販売する
DIYで製作したキッチンカー。
――ポップコーンの販売に使っているキッチンカーって、もしかしてDIYでつくったんですか?
坪谷さん:今使っているものは三代目なんです。初代をつくったのは公務員時代で、軽トラックを利用したモバイルハウスをつくって、夏期休暇に中国地方や九州地方を巡りました。でも新型コロナウイルスの感染拡大で県外へ出かけるのが難しくなったので、二代目のモバイルハウスをつくって、県内の公園やキャンプ場の駐車場で寝泊まりしていたんです。
――そ、それはどうしてなんでしょう……?
坪谷さん:どうしてなんでしょうねぇ(笑)。人と違ったことをやりたんでしょうね。「一ヶ月間家で背中をつけて寝ない」というルールを決めたんですよ。でも、モバイルハウスのノウハウがキッチンカーをつくる上で役に立ちました。
――キッチンカーはどんなところで出店しているんでしょうか?
坪谷さん:五泉を中心とした道の駅やイベント会場で出店しているんです。出店情報はインスタグラムをはじめとしたSNSで告知しています。
――販売しているのはポップコーンだけなんですか?
坪谷さん:他にも自分で栽培したきゅうりやミニトマトをそのまま冷やして販売したり、農産物を使ったメニューを提供しています。ストーリー性のある生産物を使って、多くの人の紹介していきたいと思っているんです。今後は地震で被害のあった能登半島の生産物を使うことで、少しでも支援につなげられたらと思ったりもしています。

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いろいろな経験を身につけて
いつかは再び、国際協力の現場へ。
――農業やキッチンカー以外にやっている事業や活動はあるんですか?
坪谷さん:僕はずっとパラレルワークを目指していたので、いろいろな仕事をやっているんです(笑)。親子で自然体験ができる里山の整備を委託事業として請け負っていたり、竹細工の製造販売をしたり、そうした取り組みを動画配信したりしています。
――いろいろなことをされているんですね。
坪谷さん:できるだけ多くの経験を積んで、自分のできることを増やしていきたいんです。そしていつの日か、その経験を生かして、また国際協力の現場に戻りたいと思っています。国際協力の現場には公務員を定年退職した方もいるんですけど、とても生き生きと働いてらっしゃるんですよ。僕もいつかあんなふうになりたいと憧れているんです(笑)

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