
新潟市西区でハンドメイドを教える「shishihana.flapowl(シシハナ・フラポウル)」。この教室の和田さんは、ワイヤーで花をかたどる「オルネフラワー」と、人形を飾る「ルルベちゃん」、この2つのレッスンを通して、誰もが自分らしく表現できる場所をつくっています。今回は和田さんに、教室をつくるまでのことや、レッスンのこと、教室のこれからなど、いろいろお話を聞いてきました。

shishihana.flapowl
和田 しのぶ Shinobu Wada
1980年富山県出身。看護師として東京で働いた後、結婚を機に新潟に移住する。子育ての中で「オルネフラワー」に出会い、制作をはじめる。2021年に自宅で「shishihana.flapowl」をはじめ、現在は2箇所のカルチャースクールでも教えている。ドライブが好きで、子どもと富山まで行くこともあるんだとか。

——今日はよろしくお願いします。まずは和田さんご自身のことを教えてください。
和田さん:ここで教室をはじめる前は、看護師として働いていました。父が入退院を繰り返している時期があったり、私自身もたびたび病院にお世話になることがあったりして、看護師という仕事が身近な存在だったんです。看護師さんと話しているうちにその仕事に興味が湧いてきて、高校卒業後は看護を学ぶために東京の学校に入ったんです。卒業後は、そのまま東京で看護師として働きました。
——そんな和田さんが、どうして新潟に住むことに?
和田さん:結婚を機に、新潟に引っ越してきたんです。新潟で子育てをする中で、「家の中でできることがないかな」って考えはじめて。そんなときに「オルネフラワー」に出会いました。これは、ワイヤーや金属の素材などを使った装飾品のことです。

——和田さんがこちらを知ったきっかけは?
和田さん:母の知り合いが「オルネフラワー」の教室のアシスタントをしていて、それを見ていた母が勧めてくれたんです。実家ではお花が常に家にあったくらい身近な存在で、幼稚園の頃、お花屋さんになりたいと思っていたくらい(笑)。「オルネフラワー」は、お花の形をつくるだけではなく、アーティフィシャルフラワーと組み合わせて作品がつくれることも魅力的でした。
——お花と合わせると、華やかな印象になります。和田さんは「オルネフラワー」の講師の資格も持っていらっしゃいます。
和田さん:10年くらい前に資格を取りました。でも、その後すぐ教室を開いたわけではなくて。最初は自分で好きにつくったり、知り合いに教えたりするくらいでした。子育てがひと段落したとき、「社会ともっと関われる場所が欲しいな」って思って。ちょうどそのタイミングで引っ越しをすることになって、自宅で教室をはじめようと思ったんです。
——そして「shishihana.flapowl」ができたんですね。
和田さん:「shishihana」は、私の名前の「し」を重ねたものに、小さい頃から好きだった「花」を合わせた言葉で、「flapowl」は、「羽ばたく」という意味を持つ「flap」と、フクロウの「owl」を合わせた造語なんです。教室での作品づくりを通して、生徒さんが前に進めるきっかけをつくっていきたいという思いを込めました。

——Instagramには「Craft with Grace」という言葉が使われていますが、これは?
和田さん:「優しく、しなやかに、自分らしく」という意味をこの言葉に込めました。生徒さんが自分らしく、上手い下手関係なく、作品づくりを楽しんでもらえる場所にしたくて。そこから、生徒さんひとりひとりが自分を認めてあげられるようになればよいなと思っています。
——つくるだけではなく、生徒さんの自己肯定感も上がるようにしたいんですね。
和田さん:そう思ったのは、子育てをしているときの経験が大きく影響しています。子育て中、誰にも相談できずに、落ち込んでしまった時期があって。そんなときに、その辛さを受け入れて、自分のことを認めてあげられる場所があれば、もう少し楽だったんじゃないかなって思ったんです。
——「shishihana.flapowl」でできることを教えてください。
和田さん:「オルネフラワー」と針や糸を使わずに、自分だけの人形をつくれる「ルルべちゃん」のレッスンをしています。認定講師を目指す方やがっつりと作品づくりをしたい方には自宅でのレッスンを、気軽に作品をつくってみたい方には、カルチャースクールで開講しているレッスンをおすすめしています。
——針も糸も使わないなら、気軽にできそうです。「オルネフラワー」は、とっても細かい作業が必要な気もするのですが……。
和田さん:実はそんなこともないんです。「オルネフラワー」はワイヤーを伸ばして巻くだけで、ちょっとしたお花ができるんです。よかったら、試しにやってみましょう。


——細いワイヤーを伸ばして巻く、これだけで花びらが1枚できました。
和田さん:ワイヤーをどれだけ伸ばすかによって、花びらの表情が決まりますし、巻いた後も、ワイヤーの位置や花びら自体のかたちを微調整することもできるんです。つくった後も、手直しができるのは「オルネフラワー」の利点だと思います。簡単な花びらも、たくさんつくって合わせると、とてもきれいなブローチがつくれるんですよ。

——自分でもできそうな気がしてきました、和田さんがレッスンの中で大事にしていることを教えてください。
和田さん:生徒さんに対して強制しないことです。最初につくり方の手順はお伝えしていますが、生徒さん自身が「可愛い」と思う配色やパーツの配置を尊重しています。生徒さんの自由な発想は、私自身にとってもすごく刺激になるんです。
——教室をやっていて、印象に残っていることはありますか?
和田さん:生徒さんが作品をつくって持ち帰ったとき、ご家族の方から「本当につくったの?すごいね」って褒めてもらえた、と嬉しそうに話してくださったのが、すごく嬉しかったです。たくさんの生徒さんが「意外と簡単だった」と言ってくださるときも、嬉しくてガッツポーズしています(笑)
——作品をつくりながら、和田さんとの会話もとても楽しいです。
和田さん:そう思ってもらえると嬉しいです。レッスンの間は、黙々と作業をする時間があったり、はたまた共通の話題で盛り上がったり、和気あいあいとした雰囲気でできています。中には、ご自身の悩みを話してくださる方もいて。自分がつくりたいと思っていた場所ができつつあるな、と感じています。
——ご自身の経験から生まれた場所が、かたちになってきているんですね。
和田さん:誰かに相談しにくい、っていろんな場合があると思うんです。私の場合は、子どもに障がいがあるのがわかって、価値観の衝突があったり、自分を責めてしまったりしたんです。同じような思いをしている人にとって、まず自分を認めていたわってあげることができる、そんなきっかけがつくれる場所にしていきたいと思っています。
——和田さんの今後の目標を教えてください。
和田さん:まずは、「オルネフラワー」と「ルルべちゃん」をもっとたくさんの人に体験してもらえるように、活動をしていきたいです。カルチャースクールは2時間で作品が完成できる構成になっているので、気軽に来てもらえると嬉しいですね。個人的には、障がいをもつ方がもっと活躍できるような場所づくりを、作品づくりを通してかたちにできればよいなと思います。今月末には、障がいを持つ方やそれに関わる人を対象にしたワークショップに、メンターとして出ることになりました。気になる方は「plume de hibou」という私のアクセサー制作のアカウントをチェックしてみてください。

shishihana.flapowl
新潟市西区