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「人の手が感じられる」もので、暮らしを提案する「A(e)_STORE」。

衣食住にまつわるお店が集まった『NEST3』。以前は「食」のパートを担う「TACOS FACTORY」さんにお話を聞きました。今回は、「衣」「住」に関わるセレクトショップ「A(e)_STORE(エーストア)」の小野さんに、お店をはじめるまでのことや、小野さんが選ぶ商品について、お話を聞いてきました。

 

A(e)_STORE

小野 巧太 Kouta Ono

1987年新潟市出身。大学を卒業後、「CRUSH & COMPANY」で働き、販売や開発に15年間携わる。その後『NEST3』内で「A(e)_STORE」をはじめる。趣味は自転車とキャンプ。

 

好きなことを仕事に。小野さんのこれまで。

——小野さんは長年、ファッション業界で働かれていたんですね。

小野さん:もともとアルバイトしていた「CRUSH & COMPANY」で、大学を卒業してから15年ほど働いていました。販売の仕事からはじめて、店長、マネージャーも経験させてもらいました。その後は開発業務にも携わらせてもらって。自分たちで企画・立案して新規事業を立ち上げることができたのは、すごくいい経験になりました。

 

——そもそも、小野さんがファッションに興味を持ったきっかけは?

小野さん:中学生のときですね。当時、母親に服を買ってもらっていました。で、当時付き合っていた子とデートをするとき、毎回同じ服を着ていたんです。今でも覚えていますよ、オレンジのナイロンパーカーにデニムの組み合わせでした(笑)。2,3回目くらいで「それしか持ってないの? 」って言われちゃったんです。

 

——鋭いひとことが(笑)

小野さん:何も考えずに、ただそれを着ていたんですがショックを受けましたね。そのときからいろんなファッション誌を読み漁りました。当時は流行りとかファッションの情報は雑誌でしか得られなかったので。そこからどんどん、ファッションにのめり込んでいったんです。

 

 

——ご自身のお店を持ちたいという思いはあったのでしょうか。

小野さん:この業界で働きはじめてから考えていました。僕、大学ではリハビリを学んでいたんです。でも、ファッションが好きで「卒業後もこの業界で働きたい」と言ったとき、両親に猛反対されて。「自分のお店を持つこと」をゴールにして反対を押し切ったので、いずれは自分のお店をつくろうと思っていました。

 

——お店をイチからつくる中で、これまでの経験はとても活きてきたのではないでしょうか。

小野さん:前職の開発の仕事は、特に活きてきましたね。新規事業は社内ベンチャーを立ち上げてつくったんです。今まで会社ではやったことのない取り組みだったんですが、ゼロからお店をつくって、その後の店舗運営にも関われたことは大きな自信になりました。このお店がスムーズに出せたのも、前職での経験のおかげかもしれません。

 

——「A(e)_STORE」は『NEST3』よりも先にオープンしていましたね。

小野さん:昨年の9月にこの場所を紹介してもらって、11月に出店を決めて、2月にオープン、というイレギュラーなスケジュールでした。それでも、販売のときからお世話になっていた方や、知り合いが支えてくれたおかげで、無事にお店をオープンすることができました。

 

大切にしているのは、人の手が感じられる、あたたかさ。

——「A(e)_STORE」という名前には、どんな思いが込められているのでしょう。

小野さん: 「A」は組み立てるという意味を持つ、「ASSEMBLE」の頭文字を取っています。ここに置いている商品は、売れる売れない関係なく、僕がお客さまに届けたいものなんです。それを3次元に選んで、生活を組み立てほしいと思っていて。

 

──3次元に選ぶ、というと?

小野さん:例えばグラスを買うとき、大量生産された同じ商品は、ひとつひとつ、よく見て選ばないじゃないですか。今は検品の精度もすごく上がっていて、個体差はほぼないと思うんです。それが僕にとってはすごく無機質に感じるし、「道具」だなと思うんです。ただ使うためにものを買うのは、2次元的な選び方だなと思っていて。

 

 

——ふむふむ。

小野さん:ここでグラスを買おうとすると、同じ名前と値段のグラスでも薄さや丸さが少しずつ違うので、お客さまはひとつひとつ吟味して選ぶんですよ。そうやって選んだものって、買った後のことも想像してもらえるし、愛着が湧きますよね。ここでは、そういう立体的な選び方をしてもらえるような商品を置いています。

 

——なるほど。こちらでは、雑貨や食器、服など幅広いアイテムに出会うことができます。

小野さん:アイテムを選ぶときに大事にしているのは、時代やトレンドに流されることなく、長い間愛用できることと、人の手が感じられるものであることです。器やお皿は特にそうなんですが、多くの工程を手作業でつくっていることで生まれるムラって、優しさやあたたかさを持っていると思うんです。

 

 

——ハンドメイドや工芸品の良さは、そこにあるかもしれませんね。

小野さん:それに加えて、服は職人さんがつくっていて、日本製であることを大事にしています。日本製の服はずっと使っていたいくらい、使い心地が良くて、長く愛用できるデザインが多いんです。お客さまの中には1年に12着だけ買って、何年も愛用してくださっている方もいます。

 

——今までとは違う消費のあり方ですね。

小野さん:服は特にトレンドがはっきりとしていて、それに合わせて楽しむのもいいと思いますが、どうせ着るなら長く使えて気分を上げてくれるものをご提案していきたいですね。

 

「A(e)_STORE」だから提案できる、暮らし方。

——日用品も置いてあるんですね。

小野さん:「服はここで買って、日用品はここで買う」 みたいに、買うものによってだいたい場所が決まっている人って多いと思うんです。でも、僕は「A(e)_STORE」にしかないもので生活を提案したくて。ここでは、定期的に企画展も開催しています。

 

——そこには、どんな狙いが?

小野さん:年間の企画展を通して、「毎回少しずつ買ったら、こんな生活ができますよ」っていう提案をしています。企画展を僕の提案する「暮らし」のファンになってもらえたら嬉しいですね。

 

 

——これからの「A(e)_STORE」をどうしていきたいですか?

小野さん:まずはブレずに、このままお店として続いていくように頑張ります。ゆくゆくは、新潟で活動している作家さんを応援できるようなイベントを使ってやっていきたいんです。「A(e)_STORE」が中心になって、『NEST』全体が盛り上がるようなこともできたら面白いですよね。いいものをお届けするのはもちろん、文化を発信できるようなイベントも考えていますよ。

 

——とても楽しみです。

小野さん:セレクトショップだし、『NEST3』の中でも奥まった場所にあるので、敷居が高いと感じている人も多いと思います。でもそんなことはなくて、1,000円台で買えるものもありますし、『NEST』に来たついでにフラっと立ち寄ってもらえたら嬉しいです。

 

 

 

A(e)_STORE

新潟市中央区女池神明3-14-3

11:00-18:00

火曜定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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