住宅街に現れた最先端カルチャーのショップ、謎の多き「iti」。

ファッション+アート。カルチャーショップと呼ぶ所以。

新潟市東区の住宅街。え、こんなところに…?と、思いもよらない場所に最先端のカルチャーを発信しているショップ「iti(イチ)」はあります。ショップまでの経路は、なんだか友人宅へ向かう道のりのよう。そんな謎めいた立地で販売されているアイテムはどれもエッジの効いたモノばかり。今回はオーナーのTAKUさんに、どんな考えでセレクトしているのか、どんなキッカケでショップをはじめたのか、謎の多きカルチャーショップについていろいろとお話をうかがってきました。

 

iti

TAKU

1990年新潟生まれ。長岡造形大学建築学科卒業後、家業である造園に携わりつつ、2015年にカルチャーショップ「iti」をオープン。現在は庭師でありショップオーナー。イベント主催も多く、多岐に渡った活動に注目。

 

あえてヘンテコな場所にオープン。住宅街にある理由。

――のっけから失礼な質問、すいません。どうしてこんな住宅街にお店を開いたんですか?

TAKUさん:「なんか住宅街に変な店があるな」と思って扉を開いたら、「ここは新潟?」と思えるような空間を作りたくて。あえてメインの立地ではなくて、ヘンテコなこの場所を選びました。

 

――確かに扉を開いてからのギャップはもの凄いですね。カルチャー色がめちゃくちゃ強いというか。アパレルからアート作品まで、いろいろなアイテムが並んでいますね。何屋さんなんですか?

TAKUさん:ファッション+アートを発信しているカルチャーショップです。普段のファッションもそうで、新潟では難しいと思われている最先端カルチャーのお店を目指しています。それと、お店だけだと発信が足らないのでイベントもいろいろとしています。

 

 

――カルチャーショップなんですね。イベントはどのような?

TAKUさん:最近では、古町にある「editors café(エディターズカフェ)」と合同で「TORICOM」という、ジェネレイションの壁をぶっ壊してナチュラルに遊べるような空間のイベントを開催しました。新潟で勢いのある若手バンド「E.scene(イーシーン)」「periwinkles(ペリウィンクルズ)」の演奏や、新潟の先輩たちがDJとして参加してくれたり、幅広い年代が楽しめるイベントでした。

 

――音楽を楽しむイベントなんですね。物販がメインだと思っていました。どうしてこのようなイベントを開催しているんですか?

TAKUさん:新潟をもっとカラフルにしたいんです。モノづくりだけでなく、音楽やバンドなど、こんなカルチャーがあるんだよって発信できるショップでありたいと考えています。なので、イベントも一種の情報発信。今後は、雑居ビルの屋上でライブペイント、ポップアップショップなども開催して、「新潟にはこんな人がいるぞ、新潟ってこんな場所なんだ」と知ってもらえるように準備しています。

 

インスピレーションで最先端を掴む庭師a.k.a.TAKU。

――なかなかエッジの効いたアイテムが揃っていますね。どのようなアイテムがありますか?セレクトする際のルールもあれば教えてください。

TAKUさん:現在は、新潟の作家さん4名、県外の作家さん10名、合計14名の方のアパレル、雑貨、アート作品を販売しています。基本的に内装にマッチするように考えて、「あっ!これはイイ!」と思ったインスピレーションを大切にセレクトしています。でも、自分の感覚は鈍くなると思っているので、東京を巡ったときに人だかりを探して、他人がどうリアクションしているかも指標にするようにしています。

 

――インスピレーションって大切ですよね。東京を巡るというのは?

TAKUさん:東京のアンダーグラウンドで活躍しているアーティストを新潟のイベントに呼びたいという思いと、地方に流れてこない作家さんの情報を得るために都内のギャラリーやイベントを巡っています。といっても、夏季は庭師の仕事が忙しいので、主に冬季がメインになっていますが。

 

 

――ん?庭師の仕事って、どういうことですか?

TAKUさん:家業がフラワーショップと造園業を営んでいます。その造園業部門を継承して、庭師としての活動もしているんです。

 

――そうなんですね。急に雰囲気のだいぶ違ったワードが現れたのでビックリしました(笑)。造園業って、庭の手入れを?

TAKUさん:昔ながらの仕事として地域の住宅の庭の手入れはもちろんですが、鳥屋野潟近辺のラブホテルにある松とか高木の手入れも専属で請け負っています。ただ日焼けすると大変なんですよね…。肌が黒くなると取り扱っているアパレルと雰囲気が合わなくなってしまうので、日焼け止めは必需品です(笑)

 

甲冑を着て、立ち尽くしているおじさんのいるイベント。

――TAKUさんは、どうして「iti」で取り扱っているようなカルチャーにのめり込んだんですか?

TAKUさん:高校生のとき、都内で開催された大型のモノづくりイベントを観に行きました。選考とかなくて、出たい人なら誰でも参加できるイベントで。そこにはハンドメイドの甲冑に身を包んで、立っている時間と休んだ時間を計測しているおじさんがいたり、アウトサイダーアートもたくさん出品されたりしていたんです。とにかくぶっ飛んでいるなと新鮮に感じたのが、カルチャーにのめり込むスタートの瞬間でした。

 

――それはなかなか奇抜なイベントですね(笑)

TAKUさん:もちろん、ちゃんとしたモノづくりを発信している方もいましたよ(笑)。それで、その後、大学へと進み、都内のギャラリーを巡るようになりました。無名のアーティストや作家さんをピックアップするドープなギャラリー「ANAGRA TOKYO(アナグラトウキョウ)」をはじめ、見れば見るほどにこんな作品を新潟で発信したいと思うようになって、そんなアイテムが揃うショップをどうにか新潟でと思うようになりました。

 

 

――「iti」をオープンしたのは、いつですか?

TAKUさん:大学を卒業してから準備をはじめて、2015年にオープンしました。最初は自分にはこのくらいが精一杯だろうと、8畳くらいのスペースのショップを作りました。そこから段々と増築を繰り返して。冷凍トラックの荷台、荷台貨物、某カラオケボックスの一室を組み合わせて自作し、現在は2階建ての謎めいたショップとなりました(笑)

 

――組み合わせた部材もエッジが効いていますね(笑)。自作って、自分でこのショップを作ったってことですよね?

TAKUさん:大学では建築を専攻していたので、少なからず知識はあります。それを生かして自分の思い描く店作りをしてきました。

 

――そうなんですね。では最後に「iti」を通して知ってもらいたい、感じてもらいたいコトを教えてください。

TAKUさん:自分のインスピレーションから発信するアイテムはもちろん、イベントからも新しい発見を得てもらいたいです。アパレルや雑貨など、身に着けるアイテムも作家さんの作り出したアート作品だと思います。「アートを着てもらう」ことに重きを置いて直接的なアプローチができるように「iti」を知ってもらうためのイベント活動も怠りません。新潟だけでなく、都内も感じられる発信から、何かインスピレーションを得てもらえたら嬉しいですね。

 

文字のフォルムを意識した「iti」。

取材をするまでは、オーナーの名前に「イチ」が付いているものだと思っていましたが、出会ったのはTAKUさん。まったく違っていました。店名の由来をうかがうと『1点モノなどの意味から「イチ」としました。ただ、ローマ字にすると「ichi」じゃないですか。それだとフォルムが…と思ったので「iti」にしました』とのこと。アイテムのセレクトセンス、話している会話、本人の世界観。そのどれもが個性的で、エッジが効いています。「ここは新潟?」と思ってもらいたいと話していたように、新潟離れしたカルチャーショップです。

 

 

 

iti

新潟市東区江南6-5-7


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