この夏、エクレアをメインにした「cafe & sweets CACHE-CACHE」という洋菓子店が見附市にオープンしました。早速お邪魔してショーケースの中を覗いてみると、カラフルで大きめのエクレアがずらりと並んでいて、本当に美味しそう! 店長の本間さんから、オープンのいきさつについてお話を詳しく聞いてきました。
cafe & sweets CACHE-CACHE
本間 厚気 Atsuki Honma
1990年長岡市(旧和島村)生まれ。新潟市の製菓専門学校を卒業。大阪府や長岡市の洋菓子店、東京都の結婚式場でお菓子作りの経験を積み、2021年7月に見附市でオープンした「café & sweets CACHE-CACHE」の店長として営業を任される。読書や食べ歩きが趣味。
——本間さんがお菓子作りをはじめた頃のお話から、まずは聞かせてください。
本間さん:どちらかといえば、お菓子を食べる方が好きだったんですよ。だから「自分でお菓子が作れたらいいな」と思ってお菓子職人の道を選びました。お菓子職人って、なんとなくお洒落で華やかなイメージがあるじゃないですか。でもそれくらいの軽い気持ちで新潟市の製菓専門学校に入ったら、まわりはお菓子作りが本当に好きな人ばかりだったので、自分とまわりの温度差がすごかったんです(笑)
——でも勉強するうちに、本格的にお菓子作りに没頭するようになっていったんですよね?
本間さん:そうですね。最初はお菓子作りの細かい作業が苦手だったんですけど、自分でお菓子が作れるようになるのが嬉しくって、だんだんお菓子作りの仕事が好きになっていきました。
——卒業してからはお菓子屋さんに?
本間さん:はい。県外での生活に憧れがあったので、大阪の洋菓子店で働くことにしました。でも誰ひとり知り合いがいない土地でひとり暮らしをするのは、自分にとって相当きつかったです。ただ、洋菓子店の同期スタッフたちが温かく支えてくれたので、なんとか頑張ることができました。同期は最初は14人いたんですけど、僕が辞めるときには5人まで減っていたんです。それほどきつい職場だったんですよね。朝早くから夜遅くまで長時間働かなければならないですし、先輩たちも厳しかったんです。実は僕もお菓子作りの仕事を辞めようと思って、新潟に戻ってきたんですよ。
——あらら……そうだったんですか。新潟に戻ってからは他の仕事を?
本間さん:でも、結局洋菓子店で少し働いてから、今度は東京に行って結婚式場の洋菓子部門でウェディングケーキや披露宴のデザートを作りました。何がやりたいのか考えてみたら、自分にはお菓子作りしかなかったんですよね。
——東京での生活はどうでしたか?
本間さん:東京にいた頃、よく飲みに行ったお店があって、そこでいろいろな方と知り合うことができました。新潟出身の方とも出会って、「新潟を盛り上げたい」という夢を語り合ったりもしたんです。そんな矢先に専門学校時代の先生から「cafe & sweets CACHE-CACHE」のオーナーを紹介してもらったんですよ。空いている建物でお店をやってくれる人を探しているということでした。
——お、それで新潟に帰ってきて「cafe & sweets CACHE-CACHE」をはじめることになったんですね。
本間さん:はい。お店のことは自由にやらせてくれそうだったので、挑戦してみようと思いました。
——よく見るとケーキは売っていないんですね。
本間さん:周辺にケーキ店が多かったので、オーナーからケーキ店にはしないでほしいと言われていたんです。でも、僕はずっとケーキを作ってきた人間なんですよね(笑)
——(笑)。
本間さん:あと、洋菓子店のショーケースってほとんどが横型だと思うんですけど、この店のショーケースって縦型なんですよ。そこに入れて売ることができる、彩りのいいお菓子ってなんだろうって考えたら、エクレアを思いついたんです。それで、エクレアをお店のメインにしようと決めたのがオープンひと月前でした。
——じゃあいろいろな制限のなかで、エクレアをメインにしたお菓子屋さんが生まれたんですね。オープンしてみて反響はいかがでしたか?
本間さん:建物は1年前からずっとここにあって、ときどきオーナーが使っていたんです。それで開店のお祝いのお花をお断りしたもんだから、お店がオープンしていることに誰も気がつかなかったみたいです(笑)。地元情報誌で紹介してもらうようになってから、ようやくお店の存在を知っていただくことができました。
——(笑)。それにしてもカラフルなエクレアですね。
本間さん:ショーケースに並べたときに映えるよう、色合いには気を使っていますね。5種類くらいなので、全種類まとめ買いしてくださるお客様も多いんです。だから化粧箱を開けたとき見た目が美しくなるよう、同じ色がかぶらないように気をつけています。緑は抹茶やピスタチオ、赤はベリー、茶はティラミスというように、味を連想できる色にしてあるんですよ。
——きれいだから贈り物にもぴったりですね。エクレアの他にはどんなお菓子があるんでしょうか。
本間さん:1本売りのバウンドケーキも何種類か作っています。しっとりして口溶けがいいのが特徴です。エクレアと同じようにデコレーションにちょっと凝っているので、見た目も華やかです。あと添加物をできるだけ使わない焼菓子もあります。
——お店をはじめてみて、感触はいかがですか?
本間さん:オーナーはこの店で利益を得ようとは考えていないんですが、僕は任された以上結果を出したいと思っています。だから売り上げをスタッフにもオープンにして、一緒に喜んだり落ち込んだりできるように共有しているんですよ。自分たちがやったことは、いい結果も悪い結果も全部返ってくるんですよね。うちではケーキの予約を受けてはいないんですけど、バースデーケーキの予約に来られたお客様がいたんです。「エクレアに使っている生クリームが美味しかったので、ケーキを作ってくれないか」ということでした。しっかり仕事をやっていれば、見ていてくれる人はいるんだなと思いましたね。
——それはとても大事なことですよね。今後はどんなふうにお店をやっていきたいですか?
本間さん:お店のことをもっと知ってもらって、たくさんの人を呼べたらいいなと思います。それが町をもっと盛り上げる力になればうれしいですね。そのためにも、お店を使ったワークショップなんかもやっていきたいです。
——最後に、本間さんの個人的な夢もお聞きしたいんですが……。
本間さん:オーナーは若い人の夢を応援したいという考えなので、僕には「café & sweets CACHE-CACHE」で実力をつけたら、卒業して独立してほしいと言っているんです。僕のまわりにも最近は独立する人が多いので、いつかは自分がオーナーになって独立したいですね。
café & sweets CACHE-CACHE
見附市芝野町1206
0258-86-8554
10:00-18:00(カフェ13:00-17:00)
火曜休