「いつもと同じ味」を求めてお店に通う人もいれば、「毎回違った味を求める人」もいると思います。あなたはどちらのタイプでしょうか? 新潟市北区にオープンした「創造ダイニング あつまる」のオーナー・山本さんは、そのどちらにも対応したいと葛藤してきました。
創造ダイニング あつまる
山本 忠雄 Tadao Yamamoto
1974年埼玉県生まれ。居酒屋からはじまりイタリアンレストラン、エスニックレストラン、中華料理店などで経験を積み、転職したホテルでも宴会料理をはじめ、アジアンカフェ、フレンチレストランなどを経験する。2024年に独立して新潟市北区で「創造ダイニング あつまる」をオープン。
——オープンおめでとうございます。まずは山本さんの料理経験についてお話を聞かせてください。
山本さん:僕は夜間学校に通いながら、新潟市内の居酒屋でアルバイトをしていたんです。ホールスタッフとして入ったのに、人手が足りなかったのか調理補助をやることになりました(笑)。これが料理人としてのスタートですね。
——そこではどんな経験をしたんでしょうか?
山本さん:親方には我が子みたいに、本気で叱ったり可愛がったりしてもらいました。料理よりも人としてどうあるべきかを教わった気がしますね。あと10人いれば10通りの料理があるから、料理に正解はないということも教わりました。これは後々になって僕の料理に影響を与えた言葉ですね。親方のおかげで今の自分があるので、感謝の意味を込めて親方の好きだったウイスキー「バランタイン」をこのお店で扱っているんです。
——いい師匠に出会うことができましたね。
山本さん:親方には独立して焼鳥屋を開業したいという夢があったので、弟子を早く一人前に育てるために、ひとりずつ順番に料理を教えはじめたんです。ところが僕の番になる直前に、体調を崩して亡くなってしまったんですよ。
——それは残念でしたね……。
山本さん:その後はエスニックやイタリアン、中華料理、和食のお店で経験を積んで、30歳を過ぎた頃に紹介したいただいたホテルで働くことになりました。
——ホテルではどんな仕事をしていたんですか?
山本さん:洋食宴会の部署からはじまって、ホテルが経営するイタリアンカフェ、アジアンカフェ、中華料理店、フレンチレストランで働きました。アジアンカフェでは店長と料理長を兼任して大変でしたけど、いろいろ勉強になりましたね。
——ほとんどのジャンルを経験しているじゃないですか(笑)。ホテルで働いている間、特に勉強になったことって何ですか?
山本さん:毎月、新しい料理を考えて上司たちの前でプレゼンをするんですが、味は褒められるのに盛り付けは「ダサい」と言われるんですよ(笑)。だから盛り付けを重点的に勉強しましたね。
——いろいろな料理を経験していますけど、覚えるのは大変じゃなかったですか?
山本さん:覚えるのが大変だった反面、作れる料理が増えるのは楽しかったですね。おかげで、今は作りたい料理があリ過ぎて大変なんですよ(笑)
——この場所でお店をオープンしたのは?
山本さん:本当は中央区周辺でオープンしたいと思っていたんですけど、条件に合う物件がなかなか見つかりませんでした。そんなときにこの物件を勧められて、理想の中央区周辺ではなかったけど、ここで頑張ってみようと思ったんです。
——どんなお店にしようと思いました?
山本さん:今までの料理経験を生かして、オリジナリティのある創作料理を提供する店にしようと思ったんです。でも地元の方には定番のメニューが喜ばれるので、カツカレーやオムライスといった馴染みやすい洋食メニューをメインにして、そこに創作的な中華料理やエスニック料理も提供するスタイルにしました。
——いろいろな料理を経験してきただけあって、対応できる料理の幅が広いですね(笑)
山本さん:ありがとうございます。いろんな料理に挑戦したかったので、オープンしてからずっと毎月メニューを変えていたんですよ。お客様にもいろんな料理を召し上がっていただき、飽きずに通い続けてほしいという思いもありました。
——毎月メニューが変わるというのは画期的ですね。
山本さん:ところが「前に食べた料理がまた食べたくて来たのに……」っていうお客様がいらっしゃって。定番メニューと期間限定メニューを分けることにしたんです。
——いろんなタイプのお客さんがいるから、難しいところですよね。どんな料理を定番メニューにしていく予定なんですか?
山本さん:「トムヤムクンのフォー」は定番メニューに加えようかなと思っています。すっきりと飲みやすく作ったトムヤムクンベースのスープに、お好みでココナッツミルクを加えていただくことでコクが出るんです。麺にもこだわりがあって、5mmの平打ち太麺を使っています。
——酸味と辛味が夏にぴったりですね。こちらは人気メニューなんでしょうか?
山本さん:そうですね。でもいちばん人気があるのは「フレッシュ野菜の混ぜご飯」なんです。ライスの上に水菜、豆苗、パクチー、ネギをいった野菜を乗せて、その上にグリーンカレー、シーズニングソース、ナンプラーで炒めたひき肉をトッピングします。それをかき混ぜてお召しあがりいただくメニューで、地元のおばあちゃんにも好評なんですよ。
——それも美味しそうですね。今後やってみたいことは何でしょう?
山本さん:現在デザートメニューとして提供しているプリンの、テイクアウト販売を考えています。それだけじゃなく、いろいろなスイーツにも挑戦していきたいんですよ。
——最後になりますが、店名の「あつまる」にはどんな思いが込められているんでしょうか?
山本さん:僕は今までいろんな人に助けてもらいながら生きてきて、このお店をはじめることができたと思っているんです。だからこれからも人の縁を大切にしていきたいと思っています。人が集まって心が温まる店になってくれたらいいなという思いを込めて、この「あつまる」という店名をつけました。
創造ダイニング あつまる
新潟市北区木崎1111-3
090-4622-5005
11:00-15:00(14:30L.O)/17:00-21:30(21:00L.O)
火曜休