80年近くも温泉客に親しまれ続ける
「元祖きむらや」の瀬波まんじゅう。
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2026.03.31
村上市にある瀬波温泉は、海水浴も楽しめる温泉地として人気があります。その瀬波温泉を代表するお土産品といえば「元祖きむらやの瀬波まんじゅう」ではないでしょうか。新潟県民であれば、テレビコマーシャルを見たことがある方も多いかもしれません。今回は三代目店主の亮太さんから、お店の歴史や商品についてお話を聞いてきました。
木村 亮太
Ryota Kimura(有限会社きむらや)
1985年村上市生まれ。三代目店主。大学卒業後会社勤めを経て、家業の「元祖きむらや」を継ぐ。余暇には子ども達とのバスケットや家族旅行を楽しんでいる。
県外から足を運ぶファンのため
「瀬波まんじゅう」を受け継ぐ。
――木村さんは「元祖きむらや」の三代目店主さんなんですよね。
木村さん:はい、「元祖きむらや」は昭和23年に祖父が創業して、その後は会社員だった祖父に代わって祖母が店の経営を任されていたようです。
――おじいさんは、どうして温泉まんじゅうの店をはじめたんでしょう?
木村さん:会社の旅行で訪れた大分で温泉まんじゅうを食べて「瀬波温泉にも温泉まんじゅうがあったらいいんじゃないか」と思いつき、温泉まんじゅうの店をはじめたようです。
――それまで、瀬波には温泉まんじゅうがなかったんですね。まんじゅうの作り方はどこで覚えたんですか?
木村さん:祖父の兄が和菓子職人だったので、祖母と一緒に店をやっていたんです。
――なるほど。木村さんは最初から店を継ぐ意思があったんですか?
木村さん:ぼんやりと「いつか継ぐんだろうな」とは思っていましたが、ひとまずOA機器の会社に入社して営業をやっていたんです。でも、「元祖きむらや」のあんこ職人が抜けることになったので、勤めていた会社を退職して家業に就きました。
――やはり、歴史ある暖簾を守りたいという思いがあったんでしょうか。
木村さん:そうですね。県外から足を運んでくださる「瀬波まんじゅう」のファンのためにも、代々続いてきた味を守りたいという気持ちはありましたね。

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何個でも食べたくなるような
甘さを控えた薄皮のまんじゅう。
――まんじゅうの製造を覚えるときに、特に難しかった工程はありましたか?
木村さん:生地やあんこをつくるときの水加減ですね。分量は決められているものの、湿度によって変わるんですよ。こればかりは勘が頼りですから、経験を積んで覚えるしかないんです。
――数値化できない繊細な部分ですもんね。
木村さん:そうなんですよ。それから、最近では「あんこひじ」に悩まされていますね。
――「あんこひじ」って何ですか?
木村さん:テニスのスマッシュを打ち過ぎてひじを痛める「テニスひじ」ってあるじゃないですか。それと似たように、あんこをかき混ぜすぎてひじを痛めたんです。お医者さんからは「あんこひじ」だと言われました(笑)
――職業病ですね。そんな苦労をしながら作っている瀬波まんじゅうには、どんな特徴があるんでしょう?
木村さん:ひとつ食べたら満足するのではなく、ふたつみっつと手が伸びるように、甘さを控えめにして食べやすくしてあります。その分生地を薄めにして、あんこの量を多めにしてあるんです。
――まんじゅうの底からあんこが飛び出しているじゃないですか(笑)
木村さん:そうなんですよ(笑)。「包あん機」を使って生地であんこを包む作業をしているんですが、導入したのが全国でも当店が早かったようです。機械を使ったまんじゅうの試作を当店でやったそうですから(笑)

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お土産の定番「瀬波まんじゅう」と
町歩きのお供「米粉焼きドーナツ」。
――「瀬波まんじゅう」は3種類あるんですね。
木村さん:スタンダードな「糖蜜」をはじめ、「紫蘇」「抹茶」をご用意しています。「紫蘇」は生地に練りこまれた紫蘇の香り、「抹茶」は生地とあんこの両方に練り込まれた抹茶の香りをお楽しみいただける、上品なまんじゅうになっています。
――「瀬波まんじゅう」って、お店以外でも手に入れられるんですか?
木村さん:瀬波温泉内のホテルをはじめ、JR村上駅、岩船直売所でお買い上げいただけます。ただ「紫蘇」と「抹茶」は当店でしか扱っていないんですよ。
――そうなんですね。ところで「瀬波まんじゅう」以外にも商品はあるんでしょうか?
木村さん:平成26年から「米粉焼きドーナツ」をはじめました。ドライブや町歩きをしながら手軽に食べられるものはないかと考えていて、メーカーの展示会でドーナツをつくる機械を見たときにひらめいたんです。ちょうど米粉が盛り上がっていた時期だったので、米粉を使った焼きドーナツを考案しました。
――「焼きドーナツ」ということは、油で揚げていないんですね。
木村さん:そうなんです。ですから食べやすくて何個でも食べられますし、女性にも人気がありますね。米粉のもっちりした食感を楽しんでいただきたいです。
――「焼きドーナツ」も種類があるんでしょうか?
木村さん:常時8種類をご用意していて、そのうちの2種類は期間限定商品なんです。今は春なので「桜」ですし、夏になれば「レモン」、秋には「マロン」と「かぼちゃ」、冬は「ゆず」や「キャラメル」を提供しています。

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瀬波を代表するお土産として
変わらない味をつなげていきたい。
――木村さんが個人的におすすめしたい、瀬波の観光スポットを教えてください。
木村さん:日本海に沈む夕日が望める瀬波海岸です。特に秋の夕日はおすすめしたいですね。あと一年に一度くらい夕日で空が真っ赤になる冬の日があるので、機会があったらぜひ見てほしいです。
――見たいとは思うんですけど、一年に一度というのはかなりの難易度ですね(笑)。「瀬波まんじゅう」を買いに来るのは、やはり観光客が多いんでしょうか?
木村さん:そうですね。夏は海水浴で訪れたファミリー、秋は会社や町内の団体旅行で訪れた方々が多いです。「村上大祭」や「城下町村上 町家の人形さま巡り」といったイベントのときもお客様が増えますね。
――皆さん、お土産として「瀬波まんじゅう」を買っていくんですね。
木村さん:「お土産として渡した相手に喜んでもらえた」とか、「あんこ嫌いの子どもでも食べることができた」とかいったお客様の声には、とても励まされますね。「家へ帰るため高速道路に乗ったけど、車内で食べたら美味しかったから追加を買おうと戻ってきた」なんてお客様もいました。
――それは嬉しいでしょうね。話は変わりますが、店頭にあるマスコットもかなり古いんじゃないですか?
木村さん:あれは「お福さん」といって、もう40年前からお客様をお出迎えしてくれているんです。設置したばかりの頃は、録音した祖母の声でしゃべっていたんですよ。長年にわたり潮風にさらされてきたたせいで、顔にヒビが入ったので数年前に入院して美容手術を受けました(笑)
――お店もマスコットも歴史があるんですね(笑)
木村さん:お客様に求められているのは「いつまでも変わらない味」だと思うので、これからも変わらずに伝統をつないでいきたいと思っています。

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