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森とモノと人をつなぐ、阿賀野市の「Junshin 潤森」。

阿賀野市にある「Junshin 潤森(じゅんしん)」は、林業と木工をビジネスの柱にして、伐採、製材、加工、販売のすべてを手がける6次産業を実現しています。大きな丸太や手のひらサイズに輪切りされた切り株など、いろんなカタチの木材に囲まれながら、オーナーの成川さんに森への想いやこれからのことなど、いろいろとお話を聞いてきました。

 

Junshin 潤森

成川 潤 Jun Narukawa

1987年新潟市生まれ。日本自然環境専門学校卒業。新潟県内の森林組合へ入組。木製家具の製造と薪ストーブの販売を経験し、2014年に「森とモノと人をつなぐこと」を理念に「KIYA DESIGN(キヤ デザイン)」を起業。2021年6月、屋号を「Junshin 潤森」に変更。若い人にも林業の魅力を伝えるため、母校である日本自然環境専門学校の講師としても活躍。

 

日本ではまだ少ない、林業の6次産業を実現する「Junshin 潤森」。

——まずは、「Junshin」について教えてください。どんなことをされているんですか?

成川さん:分かりやすく説明すると……「林業×木工」の仕事をしています。といっても伝わりにくいかな……(笑)。「林業を生かした仕事づくりをすること」という考えのなかで、自分たちで木を育てて、その木からお皿やカッティングボードなどの木製食器を作って販売をしたり、まあ、いろんなことをしています。庭木の伐採や、薪木や丸太などの木材販売とかも。

 

——木製のカトラリーを製造販売しているだけかと思っていましたが、林業もやっているんですね。

成川さん:もともと山を守る仕事がしたくて、森林組合に就職したんですよ。林業の現場ではいろんな事情があって、木を切り倒してもそのまま放置せざるをえないケースがあるんです。それで、山の木を無駄にしないで活用するには、モノを作って付加価値を生むことが欠かせないと思って、「林業×木工」の仕事をはじめようと考えたんです。

 

 

——なるほど、木を無駄にしないために木製品を作って流通させているんですね。なんとなく「林業×木工」の仕事はイメージできました。でも「木が放置されてしまう」のは、どうしてなんでしょうか?

成川さん:放置される原因としては、外国材の価格競争に巻き込まれ国内の木材需要が落ち込んだので、林業従事者が激減したことがあります。木を切っても黒字にならない現状もあり、結果的に山を管理しきれなくなってしまうんです。

 

——なかなか難しい問題があるんですね……。

成川さん:そうなんです。それに、木を伐りに行くまでの作業道がないと、木の搬出もできません。作業道を作るのにもそれなりに予算が必要だから、補助金などでカバーできれば良いんですが、現実はなかなか難しいんですよね。Junshinでは、作業道がなくてもウィンチを使って山から木を引っ張り出すようにしています。価値の低い丸太であっても、正しい加工をして販売すれば、1本の木から最大限の価値を生むことができると考えたんです。

 

——木に価値をつけるために加工する。しかも材料を自分で採ってきて販売もする、ってことですね。すごい行動力!

成川さん:ありがとうございます。このサイクルで、林業の6次産業ができているんですよ。

 

 

——不勉強ですみません……、「林業の6次産業」って?

成川さん:1次産業の林業、2次産業の加工、3次産業の販売をすべて自分たちで行っている形態のことです。当工房のように林業の6次産業を実現しているのは、日本ではまだまだ多くありません。家具屋さんにしても、大工さんにしても、木を伐採することはしませんからね(笑)

 

——じゃあ、相当難しいことなんでしょうね。

成川さん:難しいというか、僕みたいに、林業も木材加工もできる人があまりいないんでしょうね。でも、林業と木工を両方するメリットは大きいんですよ。林業は天候に左右されますが、木工は年間を通じて仕事ができるのでうまく工程を組めば良い組み合わせになります。

 

——なるほど。

成川さん:森の木を切って、加工して、商品として販売する。これは、誰も損をしないサイクルなんですよね。山主も喜んでくれますし、商品を受け取ったお客様にも喜んでいただけます。そうすると、僕も嬉しいです(笑)。ちょっと大げさだけど、自分たちは森から商品を作っているから、森とお客さんのつなぎ役だと思っているんです。

 

森から収益を生むことで、林業の未来を明るくする。

——成川さんは、どんなきっかけで林業に興味を持ったんですか?

成川さん:「山を守る仕事をしよう」と思って森林組合に就職して、林業の現場を経験したことがきっかけですね。なかなかハードな仕事でしたけど、自然の中で働ける喜びは大きかったです。

 

——森林組合での仕事のなかで、何か思い出に残っていることはありますか?

成川さん:そうですねぇ……、雪の重みで倒れた木を起こす「雪起こし」かな。15㎏もある縄を3つ担いで、山の急斜面を移動する作業で……。辛かったです(笑)

 

 

——15kgを3つ……45kg。考えただけで大変そう……。

成川さん:林業って、危険な仕事なのに働く環境が整っていない部分があるから、なかなか人材が集まらないんです。でも、僕は日本の林業をもっとよくしていきたいから、これから活躍する若い人の育成ができればと思って、母校の「日本自然環境専門学校」で講師もしているんです。まだまだ手探りだし、ひとりでできることは限られているけど、何か役に立てることがきっとあると思うんですよね。

 

——日本の林業のために講師なんて、使命感を感じますね。

 

林業、家具屋、薪ストーブ。すべて木でつながっている。

——起業するまでは、成川さんはどんなことをされていたんですか?

成川さん:森林組合で3年間働いて、その後は木工家具を作る会社で働きました。そこで木工機械の扱い方を学んだことが、今の仕事につながっています。それから、家具を作ると余ってしまう端材をどうにかしたくて、端材が活用されている薪ストーブ会社でも働きましたね。

 

——林業、家具屋、薪ストーブ。ぜんぜん違う仕事のようで、ちゃんと木でつながっているんですね。

成川さん:そうですね(笑)。「木を生かしたい」という信念はずっと持ち続けています。きっと、死ぬまでずっと変わらないでしょうね。

 

 

——起業してからは、すぐに木製カトラリーの販売を?

成川さん:はい。今では木製食器・雑貨を都市部の店舗に卸したり、飲食店から直接注文をもらったり、新潟の企業とコラボしたりと、いろいろな仕事をさせてもらっていますが、最初の1、2年は生活に苦労するほど大変でした……。

 

——最後にこれからの展望を教えてください。

成川さん:山を生かすために、木を加工して販売するサイクルを日本全国に広げたいから、まずは「Junshin 潤森」を法人化することを目指しています。ひとりでやれることには限界があるから、人材を増やして、たくさんのお客様にも喜んでいただいて、もっと事業を大きくしたいですね。

 

 

 

Junshin 潤森

新潟県阿賀野市女堂1534-1

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