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中華料理とスパイス香るスープカレーを味わう、新発田市の「香哩座」。

国指定名勝になっている新発田市の「清水園」。その中にあるご飯屋さん「米蔵ココロ」が、今年3月から「香哩座(かおりざ)」という中華料理とスパイス料理を提供するお店をはじめたんだそうです。店主の笠原さんは酒屋さんを営みながら「米蔵ココロ」のオーナーも務める多忙な方。料理に関してはまだまだ修業中だと話す笠原さんに、「香哩座」をはじめることになったきっかけや、お店で提供しているメニューについて聞いてきました。

 

 

香哩座

笠原 良弘 Yoshihiro Kasahara

1971年新発田市生まれ。東京で2年間働いたのち新発田に戻り、家業の「カモヤ酒店」に入る。2017年に清水園内で「米蔵ココロ」をオープン。料理長の奥さんを手伝いながら、オーナーを務める。今年3月に新発田市本町で「香哩座」をはじめる。

 

酒屋さんでつながったご縁からはじまった、「米蔵ココロ」と「香哩座」。

――外に向けて飾ってある中国面がいい味を出していますね。

笠原さん:あの中国面は結婚のときにいただいたんですよ。大学の先輩が絶対に使わないものをプレゼントしてやろうと思ったそうで、横浜の中華街で見つけて送ってきたんです(笑)。実際ぜんぜん使わなかったんですけど、一度だけ、あれを被って甥っ子を驚かしたことがあるんです。そしたらギャン泣きしてしまって。

 

――あらら(笑)

笠原さん:「トラウマになると悪いからもう被らないで」って姉に言われて、しばらくしまっていたんです。だけど今回中華料理をやることになったので、せっかくなら飾ることにしました。最初は店の前を通ってぎょっとする人もいましたけどね(笑)

 

 

――本題に入りますね。まずは「香哩座」をはじめることになった経緯を教えてください。

笠原さん:そもそも「米蔵ココロ」をはじめたのも、本業が酒屋なので、いろんな飲食店をまわる中で依頼をいただいたのがきっかけだったんです。こちらの場所もご縁のある方が中華料理店をやっていたんですが、今年の2月にやめることになって。料理は家でするくらいだったんですけどレシピを教えていただいて、3月から徐々にお店を開けるようになりました。

 

――じゃあ準備期間もあまりないままお店をはじめられたのですか?

笠原さん:今も修業の日々ですよ。「米蔵ココロ」の予約がないときにやっているので、あまりコンスタントに開けられなかったのもあって。ここに来てようやくいろんな準備が整ってきた感じですね。中華料理って火と油をすごく使うので、そこは大変ですね。

 

――酒屋さんと「米蔵ココロ」、それに加えて「香哩座」と、かなりお忙しいと思いますが……。

笠原さん:酒屋をやっていていろんな方とのつながりはあったんですが、消費者の方と直接お話しする機会が少なくなっていたんです。ここはカウンター席もあるし、いろんな方とお話ができて、つながりができるんじゃないかなと思っていました。そこは楽しみでもありましたね。

 

教わったレシピをより美味しくアレンジした、麻婆豆腐。

――中華料理は、前の店主さんから教わったレシピで作っているんですか?

笠原さん:教わったレシピをもっと美味しくできるんじゃないかと思って、工夫して作っています。そのへんは料理のプロである妻にも相談しながらですね。火の入れ方とか調理の順番とか、こうした方が麻婆豆腐の豆腐が崩れないんじゃないとか。前やっていた方の味になかなか近づけない部分があるかもしれないけど、逆にいい部分もあるのかなって思います。

 

――麻婆豆腐がイチオシだと聞きました。

笠原さん:前やっていた中華料理屋さんが「中華酒菜 香(シャン)」という名前だったので、そこで教わったレシピをベースにアレンジしたものが「香 麻婆豆腐」。それよりも辛さを乗せている「赤 麻婆豆腐」と、辛さ控えめの「白 麻婆豆腐」の3種類です。

 

――麻婆豆腐だけで3種類もあるのは嬉しいですね。

笠原さん:麻婆豆腐はたまに持って帰って家で食べるんですけど、ご飯と一緒に食べると非常に美味しいですよね。お酒を飲むときって、ご飯はあんまり食べないじゃないですか。でも麻婆を食べるときは、やっぱり白いご飯もちょっと必要なんです。それで飲むっていう。好みでしょうけどね(笑)

 

チキンがほろほろになるまで煮込んだ、スパイスたっぷりのスープカレー。

――中華料理だけじゃなくて、スープカレーもあるようですね。

笠原さん:すごくこだわりを持ってスープカレーを作る方がいるんです。北海道で修業して「新発田の方にもスープカレーをいっぱい食べてほしい」と飲食店をされていたんですけど、商売をやめられて。私はその当時もう「米蔵ココロ」をやっていたので、「レシピを教えるからお店でスープカレーを出してくれないか」とお話をいただいたこともあったんですけど、「米蔵ココロ」のメニューもあるし、仕込みも大変だと思ってそのときはお断りしていたんです。

 

――「香哩座」をはじめることになって、そのスープカレーを出そうとなったわけですね。

笠原さん:「香哩座」をオープンするにあたって、中華料理もそうなんですけど、スパイスや香りを使う料理を作っていきたいという思いがありました。それならスパイスをふんだんに使ったスープカレーをお出ししようと思って、その方からレシピを教えていただいたんです。

 

 

――スープカレーって、仕込みにすごく時間がかかるイメージがあります。

笠原さん:20種類以上のスパイスを合わせて、それからスープの仕込みをするので、まあ時間がかかるんです(笑)。もとのレシピ通り6時間くらい煮込んで、より出汁の味が出るようにしたり工夫しています。チキンレッグはスプーンでほぐせるくらい柔らかいですよ。

 

 

――スープカレーも、より美味しくできるように工夫されているんですね。

笠原さん:私もそれまでは、レシピを教えてくれた方が作るスープカレーしか食べたことがなかったんですよ。だからレシピ通りに作ってみたものの、使っている道具も違えば厨房機器も違うし、材料も当時のものとは違うので、教えていただいたレシピのままでいいのかなという思いがあって。そこで北海道や東京に行って、いろんなスープカレーを食べたんです。

 

――よく勉強されたんですね。

笠原さん:もともとのレシピがとにかく辛かったんですよ。お店をはじめるときに、女性の方が入りやすいお店にしたいなと思って少しだけ内装を変えたんですけど、この辛さだと女性の方は食べられないんじゃないかなってくらい(笑)。だからスパイスの調合とか、入れる順番を工夫しました。辛さも選べるようにしたんです。

 

――辛さの名前が面白いです。「ごしゃける」とか、初めて聞きました。

笠原さん:よく1辛、2辛とかいいますけど、うちでは新発田らしい辛さの尺度をつけています。新発田に住んでいる方でも知らない言葉もあるようで、「これは聞いたことないね」とか言いながら楽しんでいただいています。「ほぱほぱ」か「がっと」あたりだと、スパイスの味を楽しんでいただけてちょうどいいんじゃないかな。「ごしゃける」はまだ出たことないですね。

 

 

――はじまったばかりの「香哩座」ですが、今後はどんなことにチャレンジしていきたいですか?

笠原さん:「遠くまで香りが届くように」という意味を込めて「香哩座」という名前にしたので、スパイスを使ったいろんな料理をお出しできればいいですね。自分で料理を開発するのは私には難しいんですけど、妻はその専門なので。中華も、レシピを教わったもののまだ出せていない料理もありますので、それも出せるようにしていきたいです。

 

 

 

香哩座

新発田市本町1丁目3-5 第5樫内ビル 1階

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