幼稚園だった建物を再利用した
レトロな雰囲気の「喫茶ショパン」。

カフェ

2025.12.03

text by Kazuaki Yamazaki

今年オープンしたばかりの「喫茶ショパン」は、田んぼに囲まれたのどかな集落のなかにあります。実はこの建物は、昨年閉園した幼稚園なのだとか。どうしてこの場所で喫茶店をオープンすることになったのか、鈴木さんを訪ねてお話を聞いてきました。

Interview

鈴木 快

Kokoro Suzuki(喫茶ショパン)

2002年新潟市秋葉区生まれ。東京の音楽学校を卒業後、いくつかの飲食店で働きつつ旅行を楽しみながら人生経験を重ね、2025年に母親がオープンした「喫茶ショパン」を任される。趣味は旅行で、国内では北海道、国外では台湾が印象に残っている。

レトロな喫茶店として生まれ変わった
地域に親しまれ続けてきた幼稚園。

――こちらはかつて幼稚園だった建物なんですよね。

鈴木さん:「市之瀬幼稚園」があった建物です。1952年に開園してから70年以上にわたって地域に親しまれてきましたが、少子化の影響で昨年の3月に閉園しました。

 

――その建物で「喫茶ショパン」をオープンしたいきさつを教えてください。

鈴木さん:車椅子の販売や修理をおこなっている父の会社が、建物ごと土地を買い取って、それに伴って母がやっていたピアノ教室もこちらへ移りました。母は以前から喫茶店の経営に憧れていて、ピアノの発表会に使おうとしていたホールで喫茶店をオープンすることにしたんです。

 

――そうだったんですね。

鈴木さん:堅苦しい発表会ではなく、お茶を飲みながら音楽を楽しむ、サロンコンサートのような発表会をやりたかったんでしょうね。父の会社に車椅子の修理で訪れた方も、こちらでお茶を飲みながらお待ちいただけるんです。

 

――なるほど。家族みんなの役に立っているお店なんですね。喫茶店の雰囲気はアンティークというか、レトロというか……。

鈴木さん:私の好きなクラシックなイメージでまとめました。アンティークなミシン台をリサイクルしたテーブルなんかもあるんです。

 

――たしかに、ミシン台を利用したテーブルがありますね(笑)。建物もリノベーションしたんですか?

鈴木さん:建物はほとんど手を入れずに、幼稚園だった頃のまま使っています。以前は幼稚園と一緒に小中学校も併設されていた建物なので、地元の方々の思い出を残しておきたかったんです。

 

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ピアノ教室を運営する母の影響で、
幼い頃からピアノに親しむ。

――鈴木さんって「喫茶ショパン」をオープンする前はどんなことをされていたんですか?

鈴木さん:東京の音楽大学を卒業して、いろいろな飲食店でアルバイトをしながら、旅行を楽しんでいました。

 

――旅行がお好きなんですね。

鈴木さん:いろんな土地を旅行することで、非日常を味わえるのが好きなんです。海外を旅行する際は12週間くらい滞在して、現地の方と同じように生活をすることで、自分の知らない世界を体験することを楽しんでいます。

 

――へぇ〜、そんな旅行の楽しみ方もあるんですね。ところで東京の音楽大学ではどんな勉強をしていたんですか?

鈴木さん:ピアノを学びました。母がピアノ教室をやっていたので、私も4歳からやってきたんです。生まれたときからピアノがある環境で育ってきたので、いつからか自然とピアノを弾いていましたね。

 

――ピアノって、どんなところが魅力だと思います?

鈴木さん:ピアノを演奏するときは、自分ではなく曲のキャラになりきっています。自分自身とは違ったキャラを演じることができるんです。

 

――だから「演奏」なんですね。ピアノを演奏する機会はあるんですか?

鈴木さん:月一回「喫茶ショパン」のランチタイムに生ピアノの演奏をしているので、それを目当てにご来店くださるお客様もいらっしゃいます。生ピアノ演奏をきっかけに、少しでもピアノに興味を持ってくれる人が増えてくれたら嬉しいですね。

 

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修業を経て老舗から受け継いだ、
王道の喫茶店メニューが楽しめる。

――お店で提供している軽食やデザートはどこでレシピを覚えたんですか?

鈴木さん:新潟市東区にある老舗の喫茶店で、母が修業させていただき学んできました。ナポリタンやプリン、クリームソーダといった王道の喫茶店メニューをご提供できます。

 

――そのなかでも、おすすめのメニューを教えてください。

鈴木さん:「懐かしい」とご好評をいただいているのが「ナポリ風」です。昔ながらのケチャップで味つけしたナポリタンに、クリーミーなホワイトソースをかけたメニューになっています。

 

――熱々で身体があたたまりそうですね。デザートではどんなメニューがおすすめですか?

鈴木さん:「昭和プリン」も人気があります。昔ながらの固めなプリンなんですけど、弱火でじっくりと焼き上げているので舌触りが滑らかなんですよ。

 

――どちらも美味しそうです。老舗喫茶店から教わった以外に、オリジナルメニューもあったりするんですか?

鈴木さん:私のアイデアでつくったものや、季節限定メニューがあります。それから私も母も辛いものが好きなので、ナポリタンは辛さがお好みで選べるようにしてあるんです。

 

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目指しているのは
常連が頻繁に足を運ぶ、あたたかい店。

――お客さんはピアノや音楽の好きな人が多いんですか?

鈴木さん:もちろん、そういったお客様も多いですが、女子会を楽しまれる女性グループもいらっしゃいます。

 

――ドッグランやテラス席もあるから、ワンちゃんを連れたお客さんも訪れそうですね。

鈴木さん:ドッグランは土地が余ったので、うちで飼っている愛犬の運動場を兼ねてつくりました(笑)。テラス席にはリードをつなぐカラビナが用意してあるので、大型犬も一緒にご利用いただけます。室内でもケージに入れてくだされば小型犬の入店はオッケーです。

 

――どんなお店を目指していこうと思っているんですか?

鈴木さん:常連さんが頻繁に足を運んでくれるような、あたたかい雰囲気の喫茶店を目指したいですね。母の修業させていただいた喫茶店はいつもお客様にさりげないひと言をかけていて、それを見習って、居心地のいい空間をつくりたいです。

 

――これからは特に力を入れていきたいことは?

鈴木さん:クラシック音楽をもっと身近に感じてもらえるよう、音楽に触れるイベントを増やしていきたいです。それをきっかけに音楽に興味を持つ人が増えて、母の運営するピアノ教室に少しでも生徒さんが来てくれたらありがたいですね(笑)

 

――ちなみに鈴木さんは、どんな曲が好きなんですか?

鈴木さん:う〜ん……たくさんあり過ぎて……。ショパンやモーツァルトの穏やかな曲が好きですね。ちなみにショパンの曲って使っている音が少ないので、演奏中の失敗がバレやすいんですよ(笑)

 

喫茶ショパン

新潟市秋葉区市之瀬349-2

0250-25-7779

10:30-17:00

火水曜休(祝日の場合は変更あり)

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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