「習いごとをはじめたいけど、忙しくて定期的に通えそうにない……」、そんな方は多いのではないでしょうか。新潟市秋葉区の「音楽教室 KOKORONOTE」では、ピアノや歌などのレッスンを1回から受けることができます。音楽講師としてだけでなく、演奏活動でも活躍されている川内さんに、ご自身のこと、教室のことなど、いろいろとお話を聞いてきました。
音楽教室 KOKORONOTE
川内 菜央 Nao Kawauchi
新潟市出身。3歳からピアノをはじめ、中学生のときに音楽の道を目指し、新潟中央高校音楽科へ進学。その後は新潟大学教育学部でピアノを学び、卒業後は学校の講師や保育者養成学校の講師として働く。今年の5月に「音楽教室 KOKORONOTE」をはじめる。
——今日はよろしくお願いします。川内さんがピアノをはじめたのは、いつ頃なんですか?
川内さん:定かではないんですが、3歳のときだったと思います。当時、かけっこで転んだ私を見て、運動神経はないかもしれないと親が思ったみたいで(笑)。それでも、「何か得意なものを見つけてほしい」ということで、ピアノを勧めてくれました。
——そこから、今までピアノを続けられていると。
川内さん:小学校のときは、友達と遊びたい気持ちが強かったので、レッスンも週1回で、ゆるくやっていたんです。だから、嫌にならなかったのかもしれないですね。中学校に上がったとき、「ちゃんとやろう」と思って、レッスンをもっと頑張るようになりました。合唱コンクールの伴奏もさせてもらっていましたね。高校は、音楽科のある新潟中央高校に進学したんです。
——じゃあそのときから、すでに将来のことを考えていたのでしょうか。
川内さん:高校の音楽科のポスターを見て「ここに行こう」って思ったときには、音楽を仕事にしようと決めていましたね。無事に進学できたんですけど、私の担当の先生がとても厳しくて。「音楽科に入ったからには覚悟を持って」という言葉が今でも忘れられません。この先生にずっと教えてもらいたくて、卒業後は新潟の大学に進学しました。
——恩師と呼べる先生と出会ったんですね。
川内さん:大学では、ピアノの演奏をメインに学びながら、音楽の教員免許も取ったんです。将来は演奏も、ピアノを教えることもしたいと思っていたので。先生の影響で高校のときから歌もはじめていたので、大学の副科で声楽も学んでいました。
——大学卒業後は、どんなお仕事を?
川内さん:高校の非常勤講師を3年、保育者養成学校の講師を11年やっていました。保育者養成学校では、現場の先生方から「保育者になるためにこうあってほしい」というお話をたくさん聞いて、人の土台をつくることの重要さを感じましたね。
——学校の講師として働いていた川内さんですが、どうして今、自分の教室を持つことに?
川内さん:ひとりで教室を持って教えることもやってみたかったんです。保育養成学校をやめて、中学校や高校などの講師をしながら今年の5月に「KOKORONOTE」を立ち上げることにしました。
——「KOKOROTE」の名前の由来を教えてください。
川内さん:自分の気持や感情を「心の音」と捉えて、それを自由に表現できる場所にしたい、という思いを込めました。あと、「KOKORONOTE」の「NOTE」の部分と掛けて、音楽が自分の気持ち、心の音を書き留める方法になってほしいとも思っています。
——こちらは子どもから大人まで、ピアノを習える教室なんですね。
川内さん: ピアノをやりたい方なら、年齢性別問わず、どなたでも来ていただける教室になっています。というのも学生の頃から、合唱団の指揮をしていた先生についていって合唱団の伴奏をしたり、アンサンブルの勉強をしたりしていました。そこでは、いろんな年代の人が音楽を楽しんでいて。それを思い出して「あんな場所にしたいな」って思ったんです。だからこの教室では、ピアノだけではなく、歌や音楽理論も教えています。
──この教室では、1回からレッスンを受けられると聞きました。
川内さん:ピアノを習うというハードルを少しでも下げたかったんです。特に大人の方は、お仕事やご家庭の都合があって、定期的に通うのが難しい方も多いと思います。そんな方にも気軽に来ていただけるように、あとは、保育者を目指す学生もサポートしたくて。学校の試験対策として、音楽理論を習いに来てもらえるように、月謝ではなく単発のレッスンにしています。
——ここには、どんな方がピアノを習いに来ているんですか?
川内さん:この取材の後、レッスンに来られる方は、ずっとピアノが弾きたかったけど、自分ひとりではどこから練習したらいいかわからないと感じていらして。ピアノは未経験でも弾きたい曲は決まっていたので、ピアノ教室に通って基礎からコツコツやる、というよりは、最初から曲を弾くことを目指してレッスンを受けたかったみたいなんです。
——ふむふむ。
川内さん:その方の場合は、最初から弾きたい曲を練習しつつ、基礎が学べる練習曲もやってもらっています。「この曲をやりたい! 」という気持ちを大事にして、無理のないような練習方法を提案しているんです。
——基礎も学びつつ、自分のやりたいこともできる、と。
川内さん:やりたい曲が実現できるかどうかを判断するのに、保育者養成学校時代で、たくさんの生徒さんを教えてきた経験が活かされていると思います。生徒さんの「やりたい」という気持ちを尊重しつつ、その人の力量に合わせて、柔軟な提案ができるのは強みになっていますね。
——音楽を教える中で、川内さんが大切にしていることを教えてください。
川内さん:音楽を通して、他の分野にも視野を広げられるような教え方をしていきたいんです。以前、中学校で音楽を教えていたとき、生徒さんに「なんで音楽を勉強しなきゃいけないの? 」って聞かれたことがあって。それはきっと、音楽を学ぶことが他の分野に活かされていないからなのかな、と思ったんです。
——音楽は特に、他の教科との関わりが見えにくい気がします。
川内さん:でも実は、バッハがつくる音楽は数学的な要素があったり、歌詞が文学とつながっていたり、音楽の歴史は、日本史や世界史にもつながっていたり、というように関わりがたくさんあるんです。世界のいろんなことを知ることができるツールのひとつとして、音楽を捉えてもらえるように教えています。
——川内さんのこれからの目標は?
川内さん:教室としてはまだはじまったばかりで、これから何をするか、まだはっきり決まっていない状況を逆にいかして、いろんなかたちで音楽教育に関わっていきたいですね。あと、教えるだけじゃなくて、演奏活動も続けていこうと思っていて。
——「Aura」というユニットを組まれていましたね。
川内さん:子どもたちに豊かな音楽経験を届けて、音楽で社会を元気にしたい、という思いから活動をはじめました。今は子ども園や福祉施設で演奏をしたり、自主的にコンサートを開催したりしています。「音楽を教える仕事をするなら、常に自分の演奏を磨き続けなさい」っていう恩師の先生の言葉が大きく影響しているんです。
——その言葉、川内さんはどう捉えたのでしょう。
川内さん:教える立場として、生徒さんにいい背中を見せ続けていくことが大事なのかな、と思いました。これからも演奏と指導、どちらも大事にしていきたいと思います。
※その他テキスト代かかります
音楽教室 KOKORONOTE
新潟市秋葉区新津本町2丁目1-29 馬場ビル 3F