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ものづくり体験ツアーを通して、三条の魅力を外国人に伝える「KRaft」。

「ものづくりの街」として知られている三条市ですが、職人の高齢化や人手不足によって、廃業していく企業が多い現状です。そんな三条の地場企業を守るため、製品の素晴らしさを世界に伝えようと、外国人観光者に向けたものづくり体験ツアーを企画している「KRaft(クラフト)」という会社があります。足袋製品の倉庫だったという古い建物にお邪魔して、代表の横山さんから三条愛あふれるお話を聞いてきました。

 

 

株式会社 KRaft

横山 裕久 Hirohisa Yokoyama

1991年三条市生まれ。中央大学経済学部卒業後、三条市役所に勤務。2020年に市役所を退職し「株式会社side」を立ち上げ、2024年には「株式会社 KRaft」を設立する。カラオケが趣味でWANDSをよく歌う。

 

市役所を退職し、地場産業に寄り添う会社を設立。

——こちらは、ずいぶん大きな建物ですね。

横山さん:かつて三条市の特産品だった足袋の倉庫として使われていた築85年の建築物で、広さは900平米を超えます。市役所で働いていたときから気になっていたんですが、取り壊しの危機に晒されているということを知り、この建造物を残したいという使命感から手に入れることにしました。今はこの建物をリノベーションして、宿泊施設をオープンすることを目指しているんですよ。

 

 

——市役所に勤めていたんですね。

横山さん:三条市役所の商工課で、鍛冶技術をはじめとする地場産業のプロモーションを担当していたんです。そうしたなかで、三条に伝わる伝統産業の素晴らしさを知り、もっと多くの人に知ってほしいと思うようになりました。それで独立して「株式会社side」という会社を立ち上げたんです。

 

——公務員を辞めて独立するというのは、大きな決断だったのではないでしょうか。

横山さん:そうですね。でも市職員のままでいたら、いつかは人事異動で商工課を離れなければなりません。一生地域産業に携わっていきたいと強く決意して、独立することにしたんです。社名の「side」というのは、いろいろなものづくりに寄り添っていきたいという思いからつけました。ついでに僕の名前が「横山」なので……(笑)

 

 

——なるほど(笑)。「株式会社side」では、どんな取り組みをしてきたんでしょうか?

横山さん:『燕三条 工場の祭典』というオープンファクトリーイベントの事務局を務めたり、図書館等複合施設「まちやま」内の「鍛冶ミュージアム」設立に携わったりしてきました。また「燕三条駅」構内にある「燕三条こうばの窓口」の運営もお手伝いさせてもらっていて、ものづくりに関する相談への対応や地場企業のサポートをおこなっています。

 

ものづくり体験ツアーを通して、三条の魅力を伝えたい。

——「株式会社KRaft」を立ち上げて、インバウンドツアーに取り組みはじめたのはどうしてなんでしょう?

横山さん:地域創生事業をつくり出す「100DIVE」のプロジェクトに参加したことがきっかけです。「三条市に伝わるものづくり産業の魅力と価値を高め、伝えていく新たな仕組みをつくる」というテーマに取り組むなかで、多くの人に知ってもらうためには観光に力を入れていく必要があると気づきました。外国では日本製品の評価がとても高いので、外国からの観光者に向けた「ものづくり体験ツアー」をはじめたんです。

 

 

——体験ツアーをはじめてみて、難しいと思うことはありますか?

横山さん:日本の観光地としてはまったく知られていない地域ですので、外国人観光者の旅行先に選んでもらうことが難しいんです。そのためにも写真や映像をしっかり撮影して、SNSや海外の旅行サイトで紹介したり、旅行会社の商談会に参加して魅力を伝えるよう努めています。

 

——この建物も観光地になったらいいですね。

横山さん:まずは旅行の拠点が必要だろうと思ったので、体験ツアーより先に宿泊施設をここにつくりたかったんです。でもなかなかハードルが高いので、多くの外国人観光者が訪れてくれるようになって、続けていける見通しがついたらすぐにでもリノベーションをはじめるつもりです。それまではツアーのガイダンスなんかに使っていきます。

 

 

——三条の地場産業製品を展示しているんですね。

横山さん:新しい什器などは入れず、蔵にあったものだけを使って展示しています。一般開放はしていませんが、お問い合わせをいただければ、できる範囲内で見学に対応していきたいと思っています。

 

——とってもいい雰囲気ですよね。今後はどのように展開していきたいですか?

横山さん:地元企業や行政の力を借りながら観光地としての輪を広げていって、もっとツアーコンテンツを充実させたいと思っています。そうして三条に伝わるものづくりの素晴らしさが、全世界に届いてくれたら嬉しいです。

 

 

 

KRaft

三条市西四日町1−16−22

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