今年の2月、新潟大学医歯学総合病院のすぐ近くに新しいカフェ「michi(ミチ)」がオープンしました。一見、普通のお洒落なカフェですが、実はこちら、ただのカフェではないんです。いったい何が違うのか、店長の佐藤さんに詳しくお話を聞いてきました。
michi
佐藤 ひかる Hikaru Sato
1991年新潟市中央区生まれ。新大病院で医師事務として勤務。その後、西区にあるカフェで修行し、2021年2月に「michi」をオープン。音楽が好きで、以前は趣味のバンドでベースを担当していた。
——佐藤さんはどうしてこの場所でカフェをやろうと思ったんですか?
佐藤さん:この物件に一目惚れしたんです。あとは以前働いていた新大病院に近いっていうのも、理由のひとつです。病院には当時の知り合いもたくさん勤めているので。
——あ、そうだったんですね。病院ではどんなお仕事を?
佐藤さん:医師事務作業補助っていう資格を取って事務をやっていました。実は当時、離婚をすることになって、それで子どものことをどうしようって悩んだことが、このカフェをやろうと思ったきっかけでもあるんです。子どもを遅くまで預かってくれて、夕食も食べさせてくれる場所があればいいのに、って思ったんですよ。
——「michi」はただのカフェではないと聞きました。それって……。
佐藤さん:小学生を対象にした食事付きの学童保育をやっています。一般的な学童保育は18時半までしかやっていなくて、夕食もつかないんですよ。でもうちの場合は20時まで預かることができて、夕食を食べることもできるんです。事前にチケットを購入していただいて、子どもにチケットを持ってきてもらうので、お金を持ち歩く心配もありません。チケットには夕食つきの「ごはんチケット」と、夕食はつかない「おやつチケット」の2種類があります。
——へ〜、それは働いている親御さんにとっては嬉しいことですね。
佐藤さん:「子どもにとっては楽しく、親にとってはありがたい」って思われる場所になりたいんです。子どもたちがお父さんお母さんの帰りを待ちながら、家でひとりでカップ麺をすすっている姿を想像するとせつなくなってしまうので、少しでもそんな子どもが減ってくれたらいいなって思いますね。
——ガラス張りになっているから、明るくて開放的なお店ですね。インテリアもお洒落だし、何より居心地が良くて落ち着きます。
佐藤さん:ありがとうございます。内装は私の好みで、北欧のインテリアで揃えているんです。私が子どもの頃に大好きだった、おばあちゃんのお店を再現した空間なんですよ。
——おばあちゃんのお店?
佐藤さん:私の両親は共働きだったので、学校から帰るとおばあちゃんがやっていた美容室で、親が帰るまでの時間を過ごしていたんです。その店はとっても居心地が良くて、お店にあるピアノを弾いたり、宿題をしたりしていました。そのときの経験も、この店を始めることに大きく影響していますね。
——その居心地の良さを「michi」で再現したわけですね。
佐藤さん:落ち着いて過ごしてもらえるように、インテリアはごちゃごちゃさせず、シンプルにするよう心がけました。奥には子ども部屋みたいなカーペットの部屋もあって、プロジェクターでアニメを映すこともできますし、家庭のリビングみたいなソファ席も用意しています。ここにいる間は大人も子どもも、自分の家みたいに寛いで過ごしてほしいです。
——料理はどういうこだわりで作っているんですか?
佐藤さん:ひとことで言うと家庭料理です。栄養のバランスをしっかり考えて作っています。それから母の実家がある佐渡のお米を使っています。佐渡米ってみずみずしくって、もちもちした食感の美味しいお米なんですよ。その美味しさを皆さんに伝えたいから、定食はご飯を食べてもらえるようなメニューにして、ご飯に合わせた味付けをしています。
——メニューには「佐渡」っていう文字がちらちら見られますね。
佐藤さん:「佐渡産もち米のもち」とか「佐渡牛乳」とか、確かに佐渡推しのメニューが多いですね(笑)。でも本当に美味しいから、多くの人に味わってほしいんですよ。「佐渡牛乳」は佐渡以外では飲める機会も少ないので、ぜひうちの店で飲んでほしいです。
——おすすめメニューはありますか?
佐藤さん:うーん……「日替りカレー」でしょうか。毎日でも飽きずに食べてもらえるように、グリーンカレー、ココナッツ風味カレー、キーマカレーっていうように日替りにしてあります。基本はスパイスカレーなんですが、子どもでも食べられるように、調味料を足して食べやすくしてあるんです。ですから辛いのが苦手な方でも食べてもらえると思いまよ。もちろんご飯は佐渡米です(笑)
——佐渡米にカレーはよく合いそうです。ランチもやっているんですよね。
佐藤さん:はい。ランチはビジネスパーソン向けですので、限られたランチタイムに対応できるよう、とにかくスピーディーに提供することを心がけています。ですから朝のうちにある程度まとめて作っておくんです。ただお客様の数が読めないので難しいですね。
——お昼どきは大変そうですね。やっていて嬉しかったこととかありますか?
佐藤さん:月並みですけど「美味しかった」のひとことが聞けるのって嬉しいですね。家族にご飯作っても毎日のことだから言ってくれないんですよ。言ってくれるのはお客様だけです(笑)
——今後はどんなふうに店をやっていきたいですか?
佐藤さん:もともと学童保育をやりたくて始めたカフェなので、もっと学童保育を利用してもらえるようにしていきたいですね。ゆくゆくは他の校区にも同じようなカフェを展開していけたらいいなって思っています。
——最後になりますが、「michi」っていう店名はどんな思いでつけたものなんでしょうか。
佐藤さん:じつは、おばあちゃんがやっていた美容室の店名なんです(笑)。ここもあんなふうに居心地いい店になってほしいっていう思いで名付けました。それだけじゃなくて「寄り道」「帰り道」っていうイメージで「道」っていう言葉にも掛けてあります。マークをよく見てもらうと、佐渡の形になっているんですけどわかりますか? ちなみに佐渡を表している線はうちの子が描きました(笑)
michi
新潟県新潟市中央区医学町通2番町74-3 バンビル 2F
025-311-1589
11:00-20:00/金曜11:00-22:00/土曜18:00-22:00/日曜11:00-18:00
不定休